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IPv6のローミング事業者の脱却の鍵はパートナーシップ

JPIXとの合併でなにが変わる? 鶴新社長に聞いた次のJPNE

文●大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

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今年4月に日本ネットワークイネイブラー(JPNE)の新社長に就任した鶴昭博氏にインタビュー。30年に渡る通信企画の半生を振り返ってもらった前半に引き続き、後半では次のJPNEについて話を聞く。JPIXとの合併を発表し、IPv6のローミング事業者から脱皮するJPNEが目指すモノとはなにか?(以下、敬称略 インタビュアー ASCII編集部 大谷イビサ)

日本ネットワークイネイブラー(JPNE) 代表取締役社長 鶴昭博氏

IPv6サービスの伸びは鈍化している

大谷:まずはJPNEの現状や課題についての認識をお話しいただけますか?

鶴:去年の10月にJPNEに来て、11月に開催されたJPNEの10周年記念パーティで挨拶をする機会をいただいたのですが、そのときに指摘したのはIPv6サービスの加入者数の鈍化です。

このダウントレンドってコロナ禍の特需で見逃していたところがあります。たとえば2020年の4月くらいって、伸びているように見えるのですが、コロナ禍で需要を先食いしてだけで19年度から徐々に増加率が減少していました。

考えてみれば当然のことで、FTTHは一巡してますし、IPoEの事業者も増えているし、価格競争も激しい。だから、記念パーティでは「次の成長の柱を見つけて、第二の創業期とすることができなければ、次の20周年記念パーティを迎えることができなくなる。もう一度社員一丸となってがんばりましょう!」と話したんですよね。

大谷:けっこう厳しい認識ですね。

鶴:この傾向はやはり社長交代以降、顕著に表れています。だから、先ほど順調に数百万回線レベルになった話をしましたけど、市場での存在感を維持し、更に引き上げていくのが、僕のミッションだと思っています。

大谷:なるほど。シンプルに加入者を増やしていくことなんですね。

鶴:はい。加入者なのか、シェアなのか、利益なのか、売上なのか。とにかくさまざまな経営指標をきちんと改善していくことにこだわっていきたい。とはいえ、大変なのは事実。以前、1万回線とるのと、IPv6サービスが珍しくなくなった今1000回線とるのは意味合いが違っていますから。

メインの顧客であるISPと新しいインターネットビジネスを作る

大谷:既存のサービス以外の新規事業の方向性はあるんでしょうか?

鶴:社会や企業がDXやデジタル化に取り組む中で、インターネットを使って既存のなにかを置き換え、新たなビジネスを創造するという機会は数限りなくあります。だから、法人向けにサービスや体制を強化したいと思っています。SOHOや中小企業などのボリュームゾーンを中心に、われわれがパートナーの商材をかき集めて、チャネルを使って世に出していきたいと。種はいくつか蒔いており、そのうち2つくらいは芽が出そうです。

1つはVPNです。JPNEってIPv6の会社なんですが、IPv4をIPv6ネットワークで使えるサービスや、IPv4アドレスをそのまま使うことができるサービスも提供しています。これらのサービスをうまく使って、VPN提供を拡大したいと考えています。

大谷:2つ目はなんでしょうか?

鶴:はい。ゼロトラストネットワークやマルウェア対策などのセキュリティサービスも強化していこうと考えています。VPNとゼロトラストは相反するようにも見えますが、実際の導入を考えるとハイブリッドになるのではないでしょうか。セキュリティは当然、既存ユーザーへの追加サービスにもなるので、相乗効果があると思います。

大谷:このほかにも新規事業は進めていく予定ですか?

鶴:昨年からは非通信分野の新規事業として、法人向けフィットネスサービスの「FitYou」のβサービスも始めていますし、マンションISP向けにアカウント課金のプランを提供しています。とにかく、売れるカードを増やしていきます。

大谷:でも、実際にどのようにサービスを進めていくのでしょうか?

これは私たちもv6プラスのサイトを運営するにあたって日々悩んでいるところでもあるんですが、JPNEさんって基本ホールセール業者じゃないですか。要は直接のお客さまはISPで、ISPが個人や法人にv6プラスのインターネット接続サービスを提供するという形態ですよね。今の鶴さんの話だと、エンドユーザーってISPより先にいる企業ということですか?

鶴:それはグッドクエスチョンかもしれません。

JPIXとの合併の話もありますが、われわれのメインのお客様はもちろんISPの方々になります。だから、法人向けソリューションを展開しているISPのお客様への本業貢献としてまずは展開していくことを考えています。前述したVPNやセキュリティのサービスに関しても、われわれが直販でとれるとは思っていません。

われわれのB2B2C、B2B2Bのサービスは10年以上に渡って培ってきたもの。さまざまなチャネルを開拓できているので、次のインターネットビジネスを作れると思っています。1つは今までやってきたVNEというローミングサービスだし、1つはトラフィックを交換するIXの事業。これに加えて、VPN、セキュリティ、エッジクラウドなども加えていきたいと考えています。

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