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Ryzen 7 6800U搭載でAAAタイトルも快適に動作する10.1型小型PC「GPD WIN Max 2」を天空がお披露目

2022年08月17日 10時00分更新

文● ジサトラハッチ 編集●ASCII

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 株式会社天空は、8月17日に秋葉原にある日本初のUMPC専門店であるハイビーム 秋葉原にてGPD社の新製品「GPD WIN Max 2」をお披露目した。GPD WIN Max 2はコアがZen 3+でRDNA 2世代のGPUを備えたAMD「Ryzen 7 6800U」(8コア/16スレッド、最大4.7GHz)を搭載した10.1型(2560×1600ドット)の小型PC。

 本機はクラウドファンディングサイトIndiegogoにて出資を募っていた製品。当初はインテル「Core i7-1260P」(12コア/16スレッド、最大4,7GHz)搭載版も出資対象であったが、RDNA 2アーキテクチャーのRadeon 680MによるRyzen 7 6800Uの高い描画性能の人気が高く、今では対象外となっている。

 実際にZoomで出席したGPD社代表のwade氏は、記者からの質疑応答でCore i7-1260P搭載モデルを選択した人は全体の1%ほどだったと回答。IndiegogoにてCore i7-1260P版を選択した人には、Ryzen 7 6800U搭載版への変更や返金にも応じるコメントした。

GPD WIN Max 2

 CPU以外はLPDDR5-6400MTのメモリー、PCIe 4.0対応のSSDを採用と、小型PCながらAAAタイトルのゲームもフルHDなら快適に遊べるスペックを有する。また、従来のGPD WIN Maxと異なり、ディスプレーが狭額縁デザインとなり、8型たっとGPD WIN Maxと同等のフットプリントで10型ディスプレーを搭載している。

左が初代GPD WIN Max、右がGPD WIN Max 2

 また、従来機がステレオスピーカーだったところ正面2つ、左右に2つの4チャンネルスピーカーを内蔵。実際にいくつかのゲームが動作している際の音を聴いたが、7型のディスプレーを備えてキーボードのないゲーム機型の小型PCよりも、広がりのあるより臨場感の高いサウンドでゲームが楽しめるようだった。

 加えて、ジョイスティックはドリフト現象が発生しにくいとされるホールセンサーを新たに採用。ユーザーからの要望も多かったことで、一部のゲームに採用されているジャイロ操作にも対応しているという。

 GPD WIN Max 2は従来のGPD WIN Maxと同じく、ジョイスティックや十字キーといったゲームパッドの操作系がキーボードの上に配置されている。従来機はこのまま使うしかなかったが、GPD WIN Max 2では本体背面に収納可能なジョイスティックカバーを取り付けることで、一見一般的ノートPCに見えるような工夫もある。

本体背面に2枚のジョイスティックカバーが収納できる。マグネットにより、力を入れなくてもスッと仕舞えるし、簡単に取り出せる

ジョイスティックカバーはマグネットでピタッとゲームパットのキーの上を覆う。ゲームをプレイしない際は保護カバーとしても役立ちそうだ

 キーボードのキーピッチは16mm。さすがにフルサイズとはいかないが、7型や8型の小型PCよりはやや余裕があり、文字入力もメールくらいの短文なら、割と快適に入力できそうだ。ディスプレーは10点マルチタッチに対応、Surface互換のペン入力も可能だ。

 さらにGPD WIN 3やGPD Pocket3でも採用されていた電源ボタンでの指紋認証にも対応する。重量は約1030g。200万画素のWEBカメラを内蔵し、ビデオ会議などにも利用できる。100WのPD高速充電にも対応し、100Wの充電アダプターも付属する。高速充電時は、20分で50%の充電を可能としている。バッテリー駆動時間は公称最大14時間。

重量はスケールで計測しても公称とほぼ同じ

 GPD社は長らくモバイル通信には対応予定がなく、外出先ではテザリングを推奨していたが、こちらもユーザーからの要望が多かったため、GPD WIN Max 2ではLTE搭載モデルも用意されている。加えて、Wi-Fi 6+Bluetooth 5.2に対応する。

 小型のPCながらもインターフェースも豊富で、左側面にはマイクロSDカードスロットと、フルサイズのSDカードスロットを搭載。右側面にはUSB 3.2 Gen 2(Type-A)×2、背面には3.5mmイヤホンジャック、USB 3,2 Gen 2(Type-A)、HDMI 2,1、USB4(Thunderbolt 4)、USB 3.2 Gen 2(Type-C)を備える。

画面は7型などのゲーム機型よりもUIが見やすく、4チャンネルのスピーカーにより、このサイズの割には迫力あるサウンドが楽しめる

本体底面の左にSIMスロットが、右には一般的なType 2280よりも短い2230のM,2 SSDを入れてストレージを拡張できるスロットが備わっている。そのスロットのすぐ上には、左右1つずつ任意にキーを設定できるボタンも実装されている

 天空では発表と同時に予約が開始され、2022年10月末に出荷予定とのこと。価格は以下のとおり。早期予約した人にはキャンペーン特典としてオリジナルケースがプレゼントされる。

 GPD社はこれまで世界初のジョイスティック内蔵のPC「GPD WIN」を発売したり、法人向けに小型筐体には大型なタッチパッドを備えた「GPD Micro PC」、Webカメラを初めて内蔵し、テレワーク需要に応えられる「GPD P2 MAX」とニーズに合わせて数々の製品を市場に投入してきた。しかしながら、GPD WIN Max 2はインターフェースも豊富で、今までの各シリーズの良いとこ取りをしたような全部入りの製品となっている。

 しかしながら、一番の魅力はRyzen 7 6800Uの高性能な内蔵GPUにより、ゲームプレイ性能だ。今までのゲーム機型のPCは、ビデオカードを搭載したハイエンドなゲーミングPCでは、快適にあ遊べない、いわゆるAAAタイトルは解像度や画質設定次第では、一応動作しているといった製品が多かった。

 しかしながら、GPD WIN Max 2は実際に会場で先日発売されたばかりの『Marvel’s Spider-Man Remastered』や人気の高い『ELDEN RING』、ビジュアルが美しいレースゲームとして知られる『Forza Horizon 5』といったタイトルも、解像度や画質設定の詳細は分からないが、もっさりとは動かず快適に動作していた。

 価格だけ見ると、dGPUを搭載したゲーミングPC並みではあるが、最新のインターフェースを詰め込み、小型で持ち運びもラクで、立ちながらでもゲームがプレイできるようなモバイルPCと考えたら、もう5~10万円高くても不思議ではない製品だ。

 ハンドバックに入るようなモバイル性は、より小型でキーボードを付属しないゲーム機型のPCに負けるが、モバイルの中では迫力のある10.1型のディスプレーを持ち、多少の文字入力の作業もでき、外出先でもAAAタイトルを快適に遊べて、モバイル通信も選択したい、といった欲張りな人には非常に魅力的な1台ではないだろうか。

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