東京都 デジタルサービス局 デジタルサービス推進部(旧 次世代通信推進課note)連動企画 第81回

海底光ファイバーケーブルの強靭化に関する取組を紹介します!

文●次世代通信推進課

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※新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。

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 東京都 デジタルサービス局 デジタルサービス推進部です。(旧 次世代通信推進課note)。デジタルサービス局は、デジタルの力を活用した行政を総合的に推進し、都政のQOSを飛躍的に向上させるため、新たに設置した組織です。その中で、ネットワーク推進課は、東京の成長戦略やICT利活用の更なる推進のため、2019年(平成31年)4月に新たに設置された組織です。その中で、次世代通信推進課は、TOKYO Data Highwayの構築を推進し、いつでも、誰でも、どこでも「つながる東京」の実現に向け、取り組んでいます。

 都民の皆様がどこにいてもサクサクつながる環境を構築するため、全国初となる5Gアンテナ基地局を搭載するスマートポールの試行設置や通信事業者が5Gアンテナ基地局を設置しやすいように、行政財産を開放するなど様々な取組みを展開しています。こうした日々の取組みを都民の皆様に情報発信していきます。

■前回の紹介記事はこちら 都庁のデジタル化ってどうやって進めているの? ~各局サポートの仕事紹介~

※過去の連載記事はこちら:東京都 デジタルサービス局 デジタルサービス推進部ネットワーク推進室(旧 次世代通信推進課note)連動企画

 皆さんこんにちは! 島しょ通信担当です。

 今回は、海底光ファイバーケーブルの強靭化に関する取組について紹介させていただきます。是非、最後までご覧いただけますと幸いです。

 さて、本題に入る前にクイズコーナーです!

 皆さん、ユニバーサルサービス制度って聞いたことありますか?

 国民生活に不可欠な通信サービスである、加入電話、公衆電話、緊急通報は日本全国で提供されるべきサービスとして、ユニバーサルサービスに位置づけられており、法令に基づき日本全国であまねく提供されることになっています。

 そこで問題です。

 これら電話のユニバーサルサービスを維持するために1つの電話番号で一か月あたりいくら負担しているでしょうか。(2022年1月~12月適用分)

A 約0.2円  B 約2円  C 約20円

 答えは記事の最後にあります。

 ヒント:携帯電話の請求明細書にユニバーサルサービス料として記載されています。

都の海底光ファイバーケーブル整備について

 小笠原諸島の父島・母島、伊豆諸島の5村6島(利島、新島、式根島、神津島、御蔵島及び青ヶ島)は、人口規模が小さく民間事業者による海底光ファイバーケーブルの整備が進んできませんでした。このような状況を改善するため、都はこれらの島へ海底ケーブルの整備を行ってきました。

 小笠原村は、平成23年7月に超高速ブロードバンドサービスの提供を開始し、伊豆諸島の5村6島は、平成29年7月から順次サービス提供を始め、令和元年度末に5村6島全島の超高速ブロードバンド化を完了しました。

海底ケーブルの強靭化対策

 令和2年度には、海底ケーブルで大島、利島、新島、式根島、神津島、御蔵島及び三宅島の各島々を大きなリング状のネットワークでつなぐ、ループ化を完了しました。

 このループ化により、仮に一箇所でケーブルが損傷したとしても、通信が逆回りに自動で切り替わり、途切れることなく通信を継続することが可能になりました。

強靭化対策検討のための委員会の設置

 都ではこのように島しょの超高速ブロードバンドの安定化・強靭化に向けて取組を行っていますが、伊豆諸島では厳しい海象条件や海底の地形状況もあり、荒天等により海底ケーブルが切断される被害が数度ありました。

 こうした状況を踏まえ、これまでの整備内容を検証し、海底ケーブルの安定化を図ることを目的とした専門家による委員会を今年度も設置し、利島や御蔵島における強靭化対策検討を行っています。

対策検討のための様々な調査

 委員会では、海底ケーブル安定化の検討を行うため、海洋部、陸上部で様々な調査を行っています。現在も調査を実施しているところですが、昨年度の「インターネット環境改善事業検証委員会」で実施した海洋調査について、どのような調査を行ったのか、少しだけ紹介させていただきます。専門的な内容になりますが、「こんな調査をしているんだな~」ということを知っていただければ幸いです。

 海洋調査では、転石と海底ケーブル損傷の関連性を検討するために、海底面の地形や転石の大きさと分布、水深を調査しました。

 陸から水深約 5m までの浅瀬の範囲は船舶を使った調査ができないため、ドローンによる空撮調査、水深5m から約30m までの範囲はマルチビーム測深器とサイドスキャンソナー(*1)という特殊な機器を船舶に装着し調査を行いました。

 *1 海底に向け音波を扇状に発射し、反射した音波を捉えることで海底地形を把握する機器

 この別々のデータを合成して、下記のような結果が得られました。(結果は利島の例です。)

海底面の地形図(利島)

転石密度図(利島)

転石サイズ図(利島)

 海底の状況がエリアによって異なること、水深10~20mのエリアは一部を除き転石密度が高いこと、水深5~20m のエリアは一部を除き比較的大きい転石が点在していることなど様々なことが調査の結果明らかになりました。

 海に実際に潜ることなく、水深、海底の石や砂の状況、転石の分布率やそのサイズなどが、ここまで精緻に分かることに驚きました。

おわりに

 今回は、海底ケーブルの強靭化対策検討のために、昨年度実施した調査の内容を、少しだけ紹介させていただきました。今年度も、利島・御蔵島における対策検討を引き続き実施し、島しょの超高速ブロードバンドサービスを支える海底光ファイバーケーブルの安定化に向けて取り組んでいきます。

 ここで紹介した島しょ地域の情報通信基盤整備及び保守、運用管理に関する情報は、デジタルサービス局ホームページでも公開をしていますので、是非ご覧ください。

https://www.digitalservice.metro.tokyo.lg.jp/tokyodatahighway/island.html

クイズの答え…B 約2円

 先日閉会した国会で「改正電気通信事業法」が可決されました。この法案によりブロードバンドサービスもユニバーサルサービスに位置付けられました。

 ブロードバンドサービスが、生活の利便性を向上させるための欠かせないサービスとなっているということを実感し、海底ケーブルの維持管理の重要性を改めて感じました。

◆この記事は、下記より転載しています
https://note.com/smart_tokyo