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特撮アクションの第一人者、坂本浩一監督が語る今後の展望

2022年08月30日 12時00分更新

文● 原田健 撮影●永田正雄

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特撮アクションに対する思いを語ってくれた坂本浩一監督

 「第12回衛星放送協会オリジナル番組アワード」授賞式が7月21日に東京都内で開催され、番組部門「バラエティ」ジャンル最優秀賞の「24時間まるごと 坂本浩一の特撮アクション 特別番組」がグランプリを受賞した。

 同イベントは、一般社団法人衛星放送協会が会員社の制作した優れた番組や話題性のある編成企画、番組宣伝、広告事例を表彰するもので、同番組は「ウルトラマン」「仮面ライダー」「スーパー戦隊」という“特撮三大ヒーロー”を手掛けてきた坂本監督の代表作からアメリカ時代に手掛けた貴重な作品まで24時間ノンストップで放送するというもの。また、作品と作品の間には、フリーアナウンサー・笠井信輔による坂本監督への特別インタビューも放送され、坂本監督自ら、実演を交えながら特撮アクションを徹底解説している。

 今回、授賞式後の坂本監督にインタビューを行ない、グランプリ受賞の感想や番組での裏話、今後の展望などについて語ってもらった。

――グランプリおめでとうございます! 受賞の感想は?

「ありがとうございます! この業界に入って長いのですが、賞とかアワードにはなかなか縁がない生活をしていたので、バラエティジャンルの最優秀賞だけじゃなくまさかグランプリまでいただけるとは信じられませんでした。本当に身に余る光栄です!」

――番組の企画を聞いた時の心境は?

「最初にこの企画のことを聞いた時は『本当に?』とびっくりしました。自分の作品はアクションが多く1本1本のカロリーが高いので『(24時間も)見続けたら疲れちゃうんじゃないか…』と心配になったくらいです(笑)」

――ファンの方々の反応はいかがでしたか?

「番組が発表された時には、ファンの方々から『おめでとうございます!』というような声をいただきました。加えて、やはり『これ見たら疲れるんじゃないの?』という声も結構ありましたね(笑)」

――特別インタビューでは、ご自身の活動を年表で振り返っていらっしゃいました。

「表にしてみると『やっぱ本数多いなぁ』と感じましたね。自分は無我夢中で駆け抜けて来たので、そこまで本数は意識していませんでしたが、改めて見てみると『数多くの作品に関わらせていただいたんだな』という自分の中での驚きと皆様への感謝の気持ちがあふれました」

――同番組のアクション解説で初公開したものは?

「ウルトラマン、仮面ライダー、スーパー戦隊、ガールズアクションなど、各キャラクターの違いや、そのアクションの違いをどのように組み立てて行くのかを、実際に動画で動いて解説するというのは初めてでしたね。やはりアクションは実際に見ないと説得力がないので、ちゃんと解説できる機会を与えていただきすごくうれしかったです」

――作品の裏側を見せるというのは、いわば手の内を見せることになるかと思うのですが、そういった意味での抵抗感などはなかったのですか?

「特撮作品に関して言うと、“子供の夢を壊しちゃいけない”というところで見せられない部分はありますが、どうやってその作品を作っていくかというテクニカルな面に関しては、ぜひ見ていただいて興味を持っていただければと思います。何かに影響されてこの道に進むきっかけになることが多いですが、自分の場合はジャッキー・チェンでした。今の自分の立場としては、次の世代や未来の人たちを育てなくちゃいけないという面もあります。今回のような番組を見て興味を持った方々が映像業界を目指したり、アクションに興味を持ったり、特撮に興味を持ったりする機会になればいいなと思っています」

――これまで人生を賭して貢献してきた特撮アクションに対する思いは?

「自分の原体験として、物心ついた頃から『ウルトラマン』や『仮面ライダー』、『スーパー戦隊』を見て育ってきました。誰に教わることもなく子供心に本能で『カッコいい!』って感じていたんです。物事というものは大人や親に教わって習っていきますが、“ヒーローをカッコいいと感じる”ことは、誰からも教わらずになぜか自分で感じ取るものですよね。それって人間の本能の中にあるものなのかは分かりませんが、その部分に訴えかけられる番組が特撮だと思います。子供が見て思わず本能的にまねしてしまうような作品、しかもそれが自分が子供の頃に見ていた作品で、今は自分で監督しているという光栄さをすごく感じています。そんな素晴らしい作品を次の世代に届けたいという思いはすごくあります」

――坂本監督作品は子供だけでなく大人も魅了されるものばかりですが、監督の考える特撮アクションの醍醐味を教えてください。

「やっぱり見終わった後の爽快感や見心地感はすごく重要だと思っています。アクションや特撮作品のいいところって、見終わった後に元気が出たり、体を動かしたくなるところにあると思うんです。昔は“子供番組”という子供が見るものと思われていましたが、今は子供から大人まで、家族揃って楽しめるジャンルとして確立されています。たくさんの方々に楽しんでいただきたいですね」

――演出のこだわりは?

「アクションに関して言うと、迫力を出すために実際に当てるということですね。アクションにも色々な流派があって、自分が弟子入りした倉田保昭先生は元々香港でアクションスターの座を築かれた方で、本当に当ててアクションのすごさを見せるというスタイルです。その精神を受け継いで自分のアクションも実際に当ててます。ちゃんとしたプロテクターをつけながら実際に殴り合うというような練習を積み重ねて… という感じで迫力を出すのが自分のこだわりです」

――スタントマンを経て監督になられたという経験は演出する上でかなり活かされているのでは?

「そうですね。現場でアクションを撮る時に、経験上『これぐらいだったら大丈夫』と判断はしやすいですね。役者にしてもスタントマンにしても、実力を見ていてどこまでできるかを見極めて、その実力に合わせたアクションを構成しています」

――今後の目標や展望は?

「自分たちの世代は、ブルース・リーやジャッキー・チェン、真田広之さんがいたりと、常に憧れの対象となるアクションヒーローがいました。それがアクション映画を好きになる理由になっていました。でも今の時代、憧れの対象となるアクション俳優っていないですよね。もちろん『キングダム』や『るろうに剣心』もアクション映画としてヒットしていますが、自分たちの時のように“ジャッキー・チェンになりたい!”という感覚とは違う気がします。やはり自分の作品を見た方々が、憧れて『アクションをやりたい』って思ってくれるような作品をどんどん作っていきたいですね」

――最後にファンの方にメッセージをお願いします。

「本当に皆様のおかげでこれだけたくさんの作品に関わることができて、しかもこんな素敵なアワードまでいただけました。これも皆様が応援してくださったからです。これからも気を引き締めてより一層頑張っていきますので、引き続きよろしくお願いします!」

【放送情報】
BLACKFOX: Age of the Ninja
放送日時:9月23日(金)23時5分~
チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送後に「24時間まるごと 坂本浩一の特撮アクション 特別番組」を放送

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