横浜国立大学の研究チームは、ダイヤモンド中の窒素空孔中心(NV中心)からなるスピン量子ビットを、光、マイクロ波およびラジオ波を用いた独自手法で高空間分解能かつ高忠実度に制御することに成功した。ダイヤモンドを用いた大規模集積量子メモリーおよび量子プロセッサーの実現につながる基礎技術として期待される。
横浜国立大学の研究チームは、ダイヤモンド中の窒素空孔中心(NV中心)からなるスピン量子ビットを、光、マイクロ波およびラジオ波を用いた独自手法で高空間分解能かつ高忠実度に制御することに成功した。ダイヤモンドを用いた大規模集積量子メモリーおよび量子プロセッサーの実現につながる基礎技術として期待される。 研究チームが今回新たに考案したのは、量子ビットの選択的なアクティブ化と非アクティブ化において、ランダムアクセス制御に光を使用し、量子制御にはマイクロ波およびラジオ波を使う、「光アドレス量子ゲート」と呼ばれる手法。同手法では、ダイヤモンド中の窒素空孔中心(NV中心)からなるスピン量子ビットの電子スピンおよび核スピンが持つ3つの異なるエネルギー準位構造に着目。余剰なエネルギー準位を光シュタルク・シフト(光を当てることでエネルギー準位がシフトする現象)によってチューニングし、スピン量子ビットの量子ゲートをアクティブ化、または非アクティブ化する。 今回、実証した手法によって、密集したNV中心の一つひとつを高精度で制御することが可能となるという。スピン量子ビットをマイクロ波およびラジオ波を使用して量子制御する従来の手法は、高忠実度の制御はできるが、空間分解能が低いため、集積化されたNV中心を個別に制御することはできなかった。 研究成果は、ネイチャー・フォトニクス(Nature Photonics)のオンライン版に2022年7月28日付けで掲載された。(中條)