東京大学、アリゾナ大学、京都大学、名古屋大学の共同研究チームは、現在世界最大の銀河サーベイであるスローン・デジタル・スカイ・サーベイ(SDSS)から得られた銀河の3次元分布のデータと、宇宙の大規模構造の理論模型を比較。ダークマターの総量、および現在の宇宙の凸凹の度合いを表す「宇宙論パラメーター」を、先行研究を上回る精度で測定することに成功した。
東京大学、アリゾナ大学、京都大学、名古屋大学の共同研究チームは、現在世界最大の銀河サーベイであるスローン・デジタル・スカイ・サーベイ(SDSS)から得られた銀河の3次元分布のデータと、宇宙の大規模構造の理論模型を比較。ダークマターの総量、および現在の宇宙の凸凹の度合いを表す「宇宙論パラメーター」を、先行研究を上回る精度で測定することに成功した。 研究チームは、国立天文台のスーパーコンピューター「アテルイⅡ」を用いて、さまざまな宇宙論パラメータを仮定して宇宙の構造形成シミュレーションを実行。その大規模データをニューラル・ネットワークに学習させることで、任意の宇宙論パラメーターに対する理論計算を高速かつ高精度に実行できるソフトウェアを開発した。 直接数値シミュレーションを用いて任意の宇宙論パラメーターに対する理論計算をするには、現実的な時間では完了できないほど膨大な計算量が必要となる。今回はニューラル・ネットワークに基づくモデルを用いることで、初めてこのような解析が可能となった。今回開発したエミュレーターの手法を、「すばる望遠鏡」の超広視野多天体分光装置による銀河地図に用いることで、ダークマターの総量やダークエネルギーの性質などの解明につながる可能性もあるという。 研究成果は、米国の物理学専門誌、フィジカルレビューD(Physical Review D)にオンライン掲載された。(中條)