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業務を変えるkintoneユーザー事例 第144回

情報共有はできているか? 書籍から得た思想とノウハウをいざ実践へ

課題がないことが課題!? 探り当てた3つの課題を新人エンジニアが“スケスケ化“で解決

2022年07月25日 11時00分更新

文● 指田昌夫 編集●MOVIEW 清水

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 kintoneのユーザーが事例を披露する「kintone hive nagoya 2022」の4人目は、コラボスタイルのエンジニアである石川ナナ氏が登壇。所属チームの業務課題掘り起こしからkintoneの活用に至る道のりを講演した。

コラボスタイル 石川ナナ氏

kintoneを使った課題解決に憧れたが、自社には課題がない?

 コラボスタイルは「ワークスタイルの未来を切り拓く」という理念のもと、「Collaboflow(コラボフロー)」というワークフローのクラウドサービスを開発、販売する企業である。コラボフローは、脱ハンコとペーパーレスを実現するクラウド型のワークフローシステムで、直感的で使いやすいインターフェイスが評価され、業務の効率化やテレワークを推進する企業で導入が進んでいる。石川氏はコラボフロー開発チームのエンジニアで2021年に入社後、フルリモートでの勤務が続いたが、ようやく2022年の1月にチームメンバーと対面できたという。

 kintoneは、2014年から同社に導入されていたが、石川氏がkintoneのことを本格的に出会ったのは、2021年の「Cybozu Days 2021」にリアル参加したときだったという。kintone hiveの本選である「kintone Award」を聴講し、kintoneがどんなものかを知った。「アワードに登壇された6社のかたは、それぞれ抱えている課題が違っているのに、kintoneというたった1つのツールで解決していることに驚いた。kintoneはすごいと、そのとき思った」(石川氏)

 自分もkintoneで課題解決したい。そう思った石川氏は、帰宅後に何ができるか考えてみたものの、同社には目に見える問題がないことに気がつき、愕然とする。「実は開発部では、kintoneではなく専用のツールを使って情報管理をしていたため、業務は順調に回っていた。それでも、なんとかkintoneを使ってみることはできないか必死で考えた」(石川氏)

kintoneを活用しようとしたら、目に見える問題がないことに気づいた

 まずはkintoneについて学ぶ必要があると考えた石川氏は、「サイボウズ商店」でkintoneの知識資格取得対策、業務改善のポイントなどが書かれた書籍を購入し、読み漁った。その中の1冊が、石川氏をkintone開発者へと導き、業務改善につなげたという。その書籍とは、『わがままがチームを強くする』(青野慶久氏監修、サイボウズチームワーク総研著)だった。

3つの課題が発覚。そして「スケスケ化」が始動!

「この本を読んで、情報をオープンにする重要性を認識した。そこで、自分のチームにも情報をオープンにできるスペースを取り入れたいと思い、どんな情報がオープンにできるかを考えてみた」(石川氏)

 石川氏は書籍から、普段のルーチンワークで何の問題もないと思っていても、情報共有ができているかという視点で見直すと、課題が浮かび上がるということを学び、自分たちのチームにあてはめてみた。すると、開発チームの中にも、3つの大きな課題があることがわかった。

視点を変えることで3つの課題が浮かび上がった

 最初の課題は、開発の実績値をテキストベースで管理していたことだった。「特に問題だったのは、開発案件の計画、完了などの数を週に一度人の手で集計して、入力していたことだった。これは、開発部にあるまじきアナログ作業だということがわかった」(石川氏)

 2つ目の問題は、開発部以外の人間が、開発部の業務内容を把握することが難しいことだった。「開発専用のツールを使っていたことで、開発部以外の人が開発状況を知るには、開発チームのメンバーに直接聞くしかなかった」(石川氏)

 そして3つ目は、開発チームは9人のうち7人がフルリモートワークの環境で、チーム内のオンラインコミュニケーションは非常に密に行なわれていたものの、他部署との接点がほぼないことだった。

「この本を読んで、問題がないと思っていた職場に、目に見える問題があったことがわかった。ならば、それをkintoneで解決しようと考えた」(石川氏)

 kintoneはもともと同社で全社員が使えるようになっていたため、誰でも情報が見られる状況を作るのが容易だった。「情報を誰でも、いつでも見られるようにすることを、みんなが笑ってしまうような名前で表現したくて『スケスケ化』と名付けた」。ここから、石川氏による怒濤の情報スケスケ化計画がスタートする。

あえて、笑ってしまうようなネーミングとして「スケスケ化」と名付ける

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