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災害備蓄の保管、調達、管理を企業がサブスク利用できる「あんしんストック」

町の機能として災害備蓄がある社会の実現目指すLaspy

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ASCII STARTUP 今週のイチオシ!

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 日本企業の大きな課題の1つが災害対策だ。災害だけでなく、新型コロナウィルスのような未知の脅威に対する対策のニーズも高まってきている。

 そんな中、アスキーは2021年11月19日、IoT/ハードウェアビジネスの体験展示・カンファレンスイベント「IoT H/W BIZ DAY 2021 by ASCII STARTUP」をオンラインにて開催。広い意味での「災害」に対して、対策もしくは活用できるプロダクトやソリューションを持つ企業6社がプレゼンするピッチイベントを行った。そこで優勝したのが株式会社Laspyである。今回は、同社のプロダクトについて、代表取締役社長 藪原拓人氏にお話を伺った。

株式会社Laspy 代表取締役社長 藪原拓人氏

“日用品のストックがないと心配”な性分から生まれた事業

 Laspyが展開する「あんしんストック」は、防災備蓄の保管管理・提供を一括して担うサービスだ。主に企業向けに提供している。

 同社の設立は2021年2月5日。代表取締役社長の藪原氏は、新卒でSMBC日興証券に入社し、金融の新規事業企画を担当。その後、KDDIで財務の仕事を経験した。そんな中、新しいビジネスのアイディアを考えつく。

「私は心配症で、災害や新型コロナに関係なく、ハンドソープなどのストックがなければ駄目なタイプなのです。実際、コロナ禍でハンドソープやトイレットペーパーが2カ月くらい買えませんでした。必要な時に必要なモノが手に入らないのはとてもストレスです。解決する方法は備蓄なのですが、スペースの問題もあります。自分専用の備蓄庫がほしい、でもそんなサービスは世の中にないので、それならば作ってしまおうと考えました」(藪原氏)

Laspyが展開する「あんしんストック」

災害備蓄が持てない企業の課題をサブスクで解決

 藪原氏のアイディアを具現化した「あんしんストック」は、民間用の防災備蓄の共同保有のプラットフォームだ。サービスの本格始動から1年が経過し、現在は役員2名、正社員2名、大企業からの出向者と顧問の計7名でチームを組んでいる。

 企業は従業員のために、災害時のための備蓄を用意しなければならない。例えば東京都であれば、東京都帰宅困難者対策条例17号で、「事業者に従業者(アルバイト・パートを含む)の一斉帰宅の抑制と従業者の三日分の食糧等の備蓄についての努力義務を課します」と決められている。

 しかし、きちんと防災備蓄ができている企業は少ない。備蓄が足りない問題は備蓄の販売という手段では解決できない、と藪原氏は語る。備蓄を持てない理由を解決する必要があるという。

 地震など予期しない災害が発生すると、一瞬で食料調達合戦が始まり、コンビニなどの在庫はすぐになくなってしまう。しかも、3日分の防災備蓄と言っても、単純にかさばるし、重いのがネックだ。例えば、飲料水は1人1日3リットル必要なので、80人分を3日分なら720リットル必要になる。一つのパレット(荷役台)に700kg以上が載っていると、そもそも持てないし、運べない。一般的なオフィスの耐荷重は平米あたり300~400kgなので、パレットの1つも置くことはできない。

 もし、自社倉庫などを確保できても、備蓄を購入したり入れ替えたりする管理の手間がかかる。食料の保存期間が7年間だとして、期限内ではあるが6年半前の食料を本当に食べたいのか、というと厳しいものがある。すると、適切なタイミングで譲渡したり、売却したりして、フードロスを発生させないタイミングで入れ替える必要がある。

防災備蓄所得までの流れ

 これらの問題を解決できる仕組みが「あんしんストック」だ。オフィスから数十メートルという近距離に備蓄を保管しておき、災害が起きたら、すぐに自分たちで取りに行ける。例えば、16人分の備蓄であれば、ごはんとパン、クッキーを50食ずつ、水は1.5リットルのペットボトルを96本、それ以外に簡易トイレやアルミブランケットを含め、総重量は233.6kg。かご台車に入っているので、2人で押せば簡単に社内に移動できる。

 備蓄場所を複数の顧客でシェアする場合は、スマートロックで管理する。あらかじめ渡している番号で自社の備蓄にのみアクセスできるようにしているのだ。

 多くの備蓄品は常温保存が可能だが、この常温は明確な定義がない。とは言え、夏などに高温になりすぎると影響が出てくる可能性があるので、「あんしんストック」側で設定した温度域の中で保管しているそうだ。もちろん、消費期限の管理もきちんと行い、適切なタイミングで入れ替えを行う。

 災害時に消費した備蓄は、年に2回までであれば追加コストなしに再調達する。顧客にとっては初期コストがかからず、災害発生時にもコスト変動なしで利用できるメリットが

 一方で、大手企業の3割くらいでは、備蓄の管理はまかせたいが、やはり備蓄は自分のオフィスに置いておきたいというニーズがある、と藪原氏は言う。「そこでマネジメントコースを用意し、備蓄スペースを当社に貸与していただき、サービスを提供しています」(藪原氏)

 近隣にスペースを確保し、「あんしんストック」がすべてを管理するオールインワンコースの料金は1人当たり月額550円から。マネジメントコースはスペースのコストがかからないので、少し安くできるという。企業側は必要な人数分の金額だけをサブスクリプションで毎月支払うだけでいい。

 この価格の根拠は自分で管理する際のコストから算出した。例えば、坪5万円のオフィスに備蓄セットを置いた場合、備蓄の中身と管理コストをブレイクダウンして合計すると月当たり1200円くらいになるという。その約半分ということで550円と設定し、そこにサービススペックを合わせているそうだ。

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