このページの本文へ

東大・NTTなど、量子計算機のノイズを効率的に除去する新手法

2022年07月07日 06時50分更新

文● MIT Technology Review Japan

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

東京大学、NTT、産業技術総合研究所、大阪大学の共同研究チームは、量子コンピューターによる量子多体計算アルゴリズムに伴う起源不明のエラーを効率的に除去する手法を開発した。低精度の量子状態同士に量子もつれを導入することで、演算を高精度化する一般的枠組みを提唱するものであり、量子情報技術の発展だけでなく、量子多体現象を深く理解する上でも大きな役割を果たす。

東京大学、NTT、産業技術総合研究所、大阪大学の共同研究チームは、量子コンピューターによる量子多体計算アルゴリズムに伴う起源不明のエラーを効率的に除去する手法を開発した。低精度の量子状態同士に量子もつれを導入することで、演算を高精度化する一般的枠組みを提唱するものであり、量子情報技術の発展だけでなく、量子多体現象を深く理解する上でも大きな役割を果たす。 研究チームは今回、起源不明のノイズの影響を受けた量子状態を複数個並列に準備したうえで干渉させれば、ハードウェアにおけるノイズの影響とアルゴリズム自体に内在する誤差のいずれも抑制できることを発見。ハードウェアへの負担を最小限に抑えて計算エラーを抑制できる新たなフレームワークを構築し、従来の手法に比べて、精密な計算が可能になることを示した。 量子コンピューターにおいて、演算を精密に実行するための最も大きな障壁が、外部環境との相互作用やハードウェアの不完全性などによるエラー・ノイズの抑制だ。特に、ノイズの情報が一切得られない場合に、いかにしてその影響を除去するかが、「ノイズあり中規模量子コンピューター(NISQ)」を実用化する上での課題となっている。 今回の手法は、演算精度が比較的低い量子ビットを多数備えている量子コンピューターにおいて、大きな威力を発揮するという。研究成果は、2022年7月6日に、米国科学雑誌、フィジカル・レビュー・レターズ(Physical Review Letters)のオンライン版に掲載された。

(中條)

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ