元ウォーカー総編集長・玉置泰紀の「チャレンジャー・インタビュー」番外編
知られざる親水の名所、日本橋茅場町の亀島川で夏祭り!
水都東京・未来会議と亀島川みずべまつり実行委員会は2022年7月9日~10日の2日間、東京都中央区の日本橋茅場町にある亀島川沿いで、水辺に親しむイベント、「亀島川みずべまつり」を開催する。
筆者も委員で参加している水都東京・未来会議は、かつて水の都だった江戸~東京が戦後、特に1964年の東京オリンピックでのモータリゼーションに振った開発の中、舟運が衰え、川に蓋がされ暗渠が増え、防災の観点から、地盤沈下が進む中、カミソリ堤防がそそり立つなど、水辺が遠くなったことを憂い、新しい技術や発想を持って、安全安心でなおかつかつてのように水に親しむ街、東京を復活させるべく活動を続けている。
親水エリアを作るには、洪水や高潮の脅威が無いことが重要で、川の両端を水門で守られている亀島川は、水辺に近づける環境が用意された、とても恵まれた場所であり、これからの水辺を楽しむ空間を試していくにはもってこいの場所。しかし、現状では、認知度はあまり高くなく、利活用が進んでいないのが実情であり、今回、この素晴らしい条件のそろったエリアで、様々な水辺の楽しみ方を、固くなく、お祭りとして楽しみながらトライアルしようとして企画された。多くの人が関心を寄せることで、利活用が進むかも!そして、ここ亀島川から、東京の水辺が変わるかもしれない?!
水辺好きが集まる新拠点から舟運実験、親子で楽しめる体験型イベント、街歩きまで、楽しさてんこ盛りのお祭り
2日間には以下のように、数多くのイベントが予定されている。それぞれの開催日時は公式サイトで確認を。
① 水辺拠点が続々!
・水辺東京未来会議のPR拠点「亀島川サロン」の設置 (東京グレイトカヤックツアー(TGKT)の事務所を利用)
・亀島川カフェの設置(雁木型護岸を活用し水辺テラスカフェ)
・水都東京未来会議ギャラリー設置(水都東京未来会議・東京発掘プロジェクトの成果発表)
・水辺関係者出会いの場、マスコミやメディアへの広報の場、地元関係者の休憩拠点(焼き鳥屋も活用)
② 舟運の社会実験に挑戦!
・防災船着場と係留桟橋を活用した日本橋~亀島川の舟運実験(電気ボートなどを活用)
・亀島川新名物・樽さっぷは必見。
③ 水辺をアクティブに楽しむ体験型イベントの実施(施錠管理されている護岸や桟橋を公開して実施)
・カヤック、SUP などの体験教室を開催(TGKT が主催、海外や地元親子連れの参加呼びかけ)
・釣り体験教室、水辺観察教室を開催(プロや大学生にも協力依頼中、地元親子連れの参加呼びかけ)
・手漕ぎボートの体験教室(法政大学協力大学生や地元親子連れの参加呼びかけ)
④ 地元の魅力再発見町歩きツアーを実施
・テーマ別町歩きの実施(スリバチ会長の霊雁島再発見ツアー、新川下り酒ツアーなど)
⑤ 水辺パーティーの開催(候補地:ウォールストリート)
・水辺関係者(研究者・行政・メディア・デべ・舟運関係者など)一堂に会する場を用意する
水都東京・未来会議の委員で、今回のお祭りの発案者でもある皆川典久氏は、東京スリバチ学会会長でもあり、地形から街を読み解く達人として有名だが、今回の狙いを以下のように語る。
「亀島川を”水都東京”の先進事例として社会実験を行い、水辺の魅力を地元から広く発信したいと思います。また、水都東京・未来会議の活動も、この機会に広報し、防災と水辺活性化を両輪にした街づくりについても知ってもらいたいです。そして、何より、水辺関係者に多く集まってもらい、交流の場を用意しますので、志を同じくする人が出会えるお祭りにします。
亀島川は、水門に守られ水辺が近いにもかかわらず利活用が進まないのはもったいないです。我々が考える、東京の川を大きく変えるアイデア”墨田川バリア”(高波が押し寄せてくると浮上して、ゲートが閉じる仕組みの、ロンドンにあるテムズバリアをイメージ)の設置効果を伝えるにも絶好のサンプルになります。会議のメンバーには、地元と繋がりのある関係者が多いのも、取り組む理由です。日本橋など都心に近いので、たくさんの人に来てもらいたいです」
皆川典久(東京スリバチ学会 会長)
1963年群馬県生まれ。東北大学工学部建築学科卒業。2003年に東京スリバチ学会を設立、凹凸地形に着目したフィールドワークを主催し、観察と記録を続けている。2012年に『凹凸を楽しむ東京「スリバチ」地形散歩』(洋泉社)を上梓、翌年には続編を刊行。独特な視点は今日における「地形ブーム」の先駆けとなった。2012年から4年間、東北大学非常勤講師として復興支援にも協力。2015年には町の魅力を発掘する手法と取組みが評価され、東京スリバチ学会としてグッドデザイン賞を受賞した。地形マニアとして、タモリ倶楽部やブラタモリなどのTV番組に出演。専門は建築設計・インテリア設計・都市計画。江戸・東京研究センターの客員研究員も兼務。また、今回、亀島川新名物・樽さっぷなどで大活躍の、ミズベリングプロジェクトディレクター(ミズベリングは国交省などが全国で仕掛ける水辺活性化のプロジェクト)の岩本唯史氏も水都東京・未来会議のメンバーで、以下のようにお祭りの意義を語る。
「亀島川はとっても短い川ですが、江戸時代には物流の中心地でした。酒やみりん、お酢などの輸送で、現代にも通じる食文化を育んだ場所です。そのような場所をうまくいかせるなら、東京はどんな素敵な場所になるのだろうかといまからワクワクしています。かつて物流の中心だった場所が、いまは文化や歴史だけではなくひとの生活を彩る場所になるというのは、日本だけではなく世界中で起こっていることです。このイベントを機会に、亀島川という茅場町駅のすぐそばに流れる川の潜在力を知っていただけたらと思います」
岩本唯史氏(ミズベリングプロジェクトディレクター)
ミズベリングプロジェクトディレクター/(株)水辺総研代表取締役/水辺荘共同発起人/建築設計事務所RaasDESIGN主宰。一級建築士。水辺の魅力を創出する活動をライフワークとしている。全国の水辺の魅力アップに奔走する。東京建築士会これからの建築士賞受賞(2017)、まちなか広場賞奨励賞(2017)グッドデザイン賞金賞(ミズベリング、2018)■公式サイト
※各イベントの日時など詳細は公式サイトを確認
・亀島川みずべまつり
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