実験2. ペットボトルの下の方に穴をあけたドッキリ
初めの実験で水面から下にいくほど水が勢いよく出ることがわかったので、これを利用して簡単なドッキリ装置を作ってみたいと思います。
水が勢いよく出たペットボトルの下の方に、間隔をあけながら小さな穴をいくつかあけていきます。
穴をふさいだ状態で水を入れて蓋をしっかりと閉めると、穴から水が飛び出ない状態となります。穴があいているのに水が出てこなくて不思議です。こうすると、なんの変哲もないただの水の入ったペットボトルのように見えます。この状態で、例えば机の上においておきます。
しかし!水を飲もうと蓋をあけると…!
ピュー!!水がペットボトルの下の方にあるいくつもの穴から勢いよく飛び出て、あたりがびしゃびしゃになりました!蓋を緩めることによって水面に大気圧がはたらくため、水が飛び出てきます。四方八方に穴をあけておけば、どの方向に水を持ったとしても、水が出てくるのでドッキリが成功しやすくなります。※本当にびしゃびしゃになりますので、ドッキリのマネはしないでくださいね。
実験3.マリオットの瓶
穴から水面までの距離が小さくなると、水圧は小さくなっていきます。実際に実験をしてみると、同じ穴から出る水の勢いは、穴から水面までの距離が小さくなると弱まっていきました。
しかし、穴から水面までの距離が変わっても水の勢いを一定にする方法があります。このしくみは、フランスの物理学者マリオットが考案したことから「マリオットの瓶」と呼ばれています。身近なあるものを使うだけでできますので、実験してみましょう。
今回使うものは、ストローです。
ペットボトルの蓋にきりやはさみの先端を使ってストローがとおる大きさの穴をあけ、穴にストローを通します。蓋に穴をあける時も手を切ったりしないように注意して作業してください。
ストローと蓋の間から空気がもれるようであれば、接着剤やグルーガンで塗り固めてください。
穴をあけたペットボトルに、穴を抑えながら水を入れて、ストロー付きの蓋をします。ストローがペットボトルの中に入った状態です。蓋に穴をあけてストローをさしていないものと比べてみると、ストローをさした方は、水の量がストローの下端にくるまでは水の勢いが一定になりました。ストローをさしていない方は、最初は水の勢いがよく、水の量が少なくなると勢いが弱くなりました。
ちなみに、穴の高さとストローの下端の高さを同じにすると、水が穴から出なくなります。ストローの下端を穴より高く設定することで、穴からストローの先端との高さに応じた勢いで水が飛び出ます[1]。
このマリオットの瓶がどのようなことを目的とした給水装置として使えるか、子ども達と考えてみると盛り上がると思います。

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