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抗ウイルス薬、耐性ウイルス出現リスク低く=東大らが動物実験

2022年06月19日 06時05分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学などの研究チームは、新型コロナウイルス オミクロンBA.1株に対する抗ウイルス薬の効果および耐性ウイルスが出現するリスクについて検証し、その結果を公表した。抗ウイルス薬はメルクの「モルヌピラビル」と、塩野義製薬の「S-217622」(臨床試験中)を使用した。

東京大学などの研究チームは、新型コロナウイルス オミクロンBA.1株に対する抗ウイルス薬の効果および耐性ウイルスが出現するリスクについて検証し、その結果を公表した。抗ウイルス薬はメルクの「モルヌピラビル」と、塩野義製薬の「S-217622」(臨床試験中)を使用した。 研究チームは、BA.1株に感染させたハムスターに上記の抗ウイルス薬2種類を投与し、その効果を検証した。その結果、どちらの薬剤も肺におけるウイルスの増殖を大きく抑制し、鼻における増殖もやや抑制することが分かった。 耐性ウイルス出現のリスクは、免疫抑制剤シクロホスファミドを投与し、ウイルスが体内から長期間排除されないモデルを作って検証した。免疫抑制状態のハムスターにBA.1株を感染させ、抗ウイルス薬を5日間投与すると、投薬終了後2日目には肺でのウイルス量は有意に少なかった。ただ、投薬終了後9日目のウイルス量は抗ウイルス薬未投与のハムスターと同程度だったことから、5日間の投与では体内から完全にウイルスを排除できない可能性があるという。投薬終了後9日目のハムスターの肺から分離したウイルスは抗ウイルス薬に対して高い感受性を示しており、耐性ウイルスが出現し、体内で優勢になるリスクが低いと考えられるという。 研究成果は6月15日、「ネイチャー・マイクロバイオロジー(Nature Microbiology)」誌にオンライン掲載された。

(笹田)

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