Jollaはロシアとの関係を整理する方向に
もう1つ、今回のロシアによるウクライナ侵攻で気になるフィンランド企業がある。Jollaだ。
Jollaは、LinuxベースのモバイルOS「Sailfish OS」を開発する企業だ。Nokiaが進めていたプロジェクト(「MeeGo」)を引き継ぎ、そのNokiaの元社員が中心となって設立した。Firefox OSなど第3のOSが出てきた2013年に登場。ほかがプロジェクトを打ち切る中で現在もOSアップデートを続けている。
Jollaを最後に取材したのが2019年のMWC(「Xperiaでも使える第3のモバイルOS「Jolla」 ライセンス事業の加速で生き残りを図る」)のこと。共同創業者兼CEOのSami Pienimaki氏はこのとき、ロシアの通信企業であるRostelecomとのビジネスを強調し、これが黒字化につながるという期待を語っていた。Rostelecomはロシア政府が約45%出資する上場企業だ。
2月25日、Sailfish OSのフォーラムにロシア国営企業との関係について公式な声明文を求める嘆願が書き込まれた。Jollaは翌日、「ロシアと活発に事業をしておらず、輸出もしていない」と回答している。すでに昨年中にロシア関連事業は縮小しているとのこと。財務状況を心配する声に対しては、自動車セクターで成長していると記している。
Jollaの取締役会長を務めるSamuli Simojoki氏はLinkedInで、同社最大の株主が間接的にRostelecomとなる状況を作ったことを反省しているとし(https://www.linkedin.com/posts/samulisimojoki_putinin-hy%C3%B6kk%C3%A4ys-ukrainaan-pakottaa-meist%C3%A4-activity-6904001201180934144-lb4d)、2021年にロシア事業を縮小したことからロシアから売り上げを計上することはないものの、資本の問題を解決していくという考えを示した。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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