カメラのレンズなんて好きなものを付けて好きなように撮ればよいわけだが、街や公園や旅行先でばったり出会った猫を撮るのなら、広角からちょっとした望遠まで撮れるズームレンズは必須だ。人と猫。どの距離感で対峙するか、どの距離から撮れるかは猫次第だからである。人にできることは猫を脅かさないようにじっと待って、ほほえみかけるくらい。OMの場合は前回使った12-100mm F4がいい。
もう1本持っていくなら、中望遠の明るい単焦点レンズを選ぶ。被写体を同じような大きさで捉えたい場合、広角だと背景が広く入っちゃうし遠近が強くなってしまう。望遠すぎると背景は狭くなってすっきりするけど立体感が弱くなる。
そう思うと、中望遠の単焦点レンズってほどよい距離感で姿形をきれいに撮れていいのだ。わたしがマイクロフォーサーズ機で愛用しているのはシグマの56mm F1.4 DC DN。コンパクトで軽くて安いのがいい。今回は全部このレンズで撮った猫だ。オリンパスから45mm F1.2というスゴいレンズも出てるけど、気軽に使うにはちょっとヘビーだからね。
しかもけっこう寄れるので家の猫を撮るのにもいい。冒頭写真がうちの黒猫ミル。洗面台に飛び乗ったところを撮ったのだった。顔のアップを撮るときもイケる。縦位置にしてちょっとカッコよく、人を撮るときみたいに撮ってみた。AFは猫瞳検出におまかせ。黒猫って暗いところでは単なる黒猫なんだけど、光の当たり方でちゃんと立体感が出るのだ。
いい感じにキリっとなったけど……、黒猫ならではの毛についた細かい埃が目立つ結果に。難しいもんですな。
もう1枚うちの猫をってことで、老猫になりつつあるかふか。とっさの撮影でもレンズを向ければなんとかなるってやっぱ猫瞳AFは良いですわ。
ここで2匹の猫が仲良く遊んでたりなめ合ってたりしてる写真が欲しいところなのだけど、うちの2匹の猫はなかなか仲良くなってくれない(かふかの方がミルを避ける)のでしょうがない。なので残りは違う猫で。
住宅街を歩いてたら、猫が2匹並んでちょこんと座ってるのを発見したのである。正確にいえば、とことこ歩いてるチャシロがいるなと目で追ったら、もう1匹の猫の横にちょこんと座ったのでこれはシャッターチャンスだ、と。フェンスを避けるべく地面ギリギリにカメラを置いてモニターを開いて狙ってみた。
単焦点レンズらしさを楽しむなら、背景がちょっと抜けてる方が大きくボケてくれて楽しい。白っぽい猫は背景を暗くするとより映えるのだ。まあ、前回と同じ猫なのだけど、レンズが違うということで。
お次も前回と同じ猫だけど、ぐぐっとアップで。
前回の写真と比べるとボケ具合が全然違うのがわかるかと思う。そういう写真を撮りたいときに中望遠の単焦点レンズはいいのだ。最後は動きのある写真を、ということで「保護猫シェルターQUEUE」で撮った歩く猫を持ってきた。
にしても、猫AFがあると良いですな。神経を使うフォーカスをある程度カメラ任せにできるから(まだ完璧ではないけど)、そのぶん、より集中すべきところに集中できるようになっていく感がある。OMシリーズもここまできてくれたと思うと、感慨深い。
■Amazon.co.jpで購入
-
古地図とめぐる東京歴史探訪 (SB新書)荻窪 圭(著)SBクリエイティブ
-
デジタル一眼レフカメラが上手くなる本 基本とシーン別の撮り方60上原 ゼンジ、桃井 一至、荻窪 圭(著)翔泳社
-
古地図でめぐる 今昔 東京さんぽガイド荻窪 圭(著)玄光社
筆者紹介─荻窪 圭
老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
この連載の記事
-
第865回
デジカメ
4つのカメラを搭載したサムスン電子「Galaxy S24 Ultra」は猫の顔アップもピシッと撮れる -
第864回
デジカメ
”猫撮影の基本”第3弾! 背景やボケ具合をコントロールするとよりイメージどおりの写真が撮れる -
第863回
デジカメ
”猫撮影の基本”第2弾! 広角と望遠の特性を知って使い分けると写真のバリエーションがぐっと広がる -
第862回
デジカメ
構える高さを工夫すると猫写真は大きく変わる! 新年度なのであらためて猫の撮り方ノウハウをご紹介 -
第861回
デジカメ
10年前に撮った猫とまさかの再会! 数年ぶりに出会っていた猫たちの写真をライブラリーから探し出した -
第860回
デジカメ
膝の上で気持ちよさそうにしている猫を親指シャッターやアクロバティックな体勢で自撮り! -
第859回
デジカメ
富士フイルム「X100VI」は発売前から大人気! 歴代「X100シリーズ」で撮った猫写真を集めてみた -
第858回
デジカメ
ぱぱっと設定できて程良い距離感で猫が撮れる! 富士フイルム「X100VI」は楽しい趣味カメラだ -
第857回
デジカメ
噛んだり、テレビを見たり、眠ったり……うちの黒猫ミルならではの瞬間を狙ってみた -
第856回
デジカメ
望遠に強い「OM SYSTEM OM-1 Mark II」+100-400mmレンズで寝ている猫を“どアップ”で撮影 -
第855回
デジカメ
ロゴが「OM SYSTEM」に変わった「OM-1 Mark II」を持って早速猫撮影へ - この連載の一覧へ