このページの本文へ

自動実験ロボとデータ科学の連携で材料開発を効率化=NIMS

2022年03月23日 15時58分更新

文● MIT Technology Review Japan

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

物質・材料研究機構(NIMS)の研究チームは、独自開発の電気化学自動実験ロボットとデータ科学的手法を組み合わせた新しい材料探索手法を確立。本手法をリチウム空気電池用電解液の材料探索に適用することで、充放電サイクル寿命を約2倍向上させる電解液材料を開発することに成功した。

物質・材料研究機構(NIMS)の研究チームは、独自開発の電気化学自動実験ロボットとデータ科学的手法を組み合わせた新しい材料探索手法を確立。本手法をリチウム空気電池用電解液の材料探索に適用することで、充放電サイクル寿命を約2倍向上させる電解液材料を開発することに成功した。 研究チームは、これまでに電解液の調合と電池性能評価を、人力の100倍以上の速度で実施できる電気化学自動実験ロボットを独自に開発してきた。今回、自動実験ロボットにより得られる大量の実験データに対し、ベイズ最適化に代表されるデータ科学的手法を適用することで材料探索を効率化する手法を開発。約1万種類以上の電解液材料の評価を実施し、リチウム空気電池の充放電サイクル数の向上を実現する電解液材料を発見した。 リチウム空気電池の充放電サイクル数を増大させるための電解液材料の開発においては、添加剤と呼ばれる微小濃度の成分をどう選定するかがカギとなる。だが、化合物の候補や組み合わせの数が膨大であるため、研究者の経験や勘に基づく試行錯誤的なアプローチに頼っており、合理的な材料設計が困難であった。NIMSの研究チームは、自動実験ロボットとデータ科学的手法を組み合わせることで、従来の試行錯誤的アプローチの解消を試みた。 本研究成果は2022年3月22日に、セル・レポーツ・フィジカル・サイエンス(Cell Reports Physical Science)誌にオンライン掲載された。今回NIMSが確立した手法は、さまざまな蓄電池用電解液の材料探索に適用可能であり、今後の次世代蓄電池の開発に寄与することが期待される。

(中條)

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ