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オヤジホビー-ワタシが好きな物はみんなも好き、かもしれない- 第322回

証拠品収集キットの「証拠品封印テープ」は普段使いもできそう

2022年03月13日 17時00分更新

文● むきみ(@TK6506) 編集● ASCII

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証拠収集キットのテープと箱をご紹介

 事件の捜査で見つかった数々の証拠品は、犯罪の立証にとても重要な役割をもっています。そのため取り扱いには厳重な注意が必要で、警察庁から出ている証拠物件に関する通達でも「滅失、毀損、変質、変形、混合又は散逸することのないようその取扱い及び保管には特に慎重を期さなければならない」と記されています。

 もちろんアメリカでも管理は徹底されていて、証拠能力を失わないようにするためのアイテムがいろいろ存在します。そのうちの代表的なものを集めたのが前回まで2回に渡ってご紹介してきた「Evidence Packaging Kit」。3回目の今回はテープと箱です。

残りのアイテムたち
・1 - Box BreakAway Evidence Tape, 1-3/8” x 108'
・1 - Evidence Box, gun
・1 - Evidence Box, Knife
・1 - Buccal Swab Collection Kit
・箱入りBREAKAWAY証拠品テープ 1-3/8インチ×108フィート 1巻
・銃用証拠品ボックス 1箱
・ナイフ用証拠品ボックス 1箱
・口腔内粘膜採取キット 1セット

製品説明とは違うテープが入っていました

 まずは前回説明を飛ばしたコレ! BreakAway Evidence Tapeです。

 購入時にサイトに載っていた写真を見ると、EVIDENCEという文字が繰り返し書かれているテープのようです。最初に紹介した紙袋は閉じる方法がなかったので、これで封をします。

内容物リストにあるテープとは違い、「SAWTOOTH EVIDENCE SECURITY TAPE」というテープが入っていました

 ところでこのテープ、ちょっと引っかかるのは、販売サイトの製品説明と実際に入っていた物が違うんですよね。内容物一覧のリストでは「BreakAway Evidence Tape, 1-3/8” x 108’」となっているのに、パッケージには「SAWTOOTH EVIDENCE SECURITY TAPE 1-1/4”W x 108’L」と書かれています。

 BreakAway Evidence Tapeっていうのが「証拠収集時に使う特殊なテープ全般」を指す言葉である可能性もありますけど、テープ幅が違うことからすると、別の製品と考えた方が自然です。

別の製品に変更になったようです

 試しに両方検索してみたところ、いずれも製品がヒットしました。やはり別の製品のようです。

 見つかったBREAKAWAY EVIDENCE TAPEは幅1.375(1-3/8)インチ、SAWTOOTH EVIDENCE SECURITY TAPEは幅1.25(1-1/4)インチでサイズも合っているので、まず間違いなさそうです。

 両製品はメーカーが異なり、BREAKAWAYはFORENSICS SOURCEという会社の製品で、セットに入っているテープは注射器を入れるチューブと同じTRITECH FORENSICSの製品でした。

 どちらの会社も「forensics」という単語が入っていてややこしいですけど、forensicsは科学捜査や法医学、犯罪捜査における分析・解析、証拠収集のような意味の単語で、両社ともそういった分野に関する製品を提供しています。BREAKAWAYはFORENSICS SOURCE社の商標(TM)、SAWTOOTHはTRITECH FORENSICS社の登録商標(R)とのことです。

 販売サイトの写真に写っているテープも届いた物と同じパッケージなので、間違えて入れられているわけではなく、以前はBREAKAWAY EVIDENCE TAPEだったのがSAWTOOTH EVIDENCE SECURITY TAPEに変更されたのに、リストを修正していないのかもしれません。海外サイトではありがちな話ですよね。

手で簡単にカットできます

 箱から出ている白い紙を引っ張ると、中から「EVIDENCE」と書かれた透明なテープが出てきました。

白い紙はテープの剥離紙。引っ張ると自動的にテープが剥がれてきます

 箱のフチのところで勝手に台紙から剥がれるようになっています。breakaway=分離なので、もしかしたらこういう仕組みのテープをbreakaway tapeっていうのかな? とも思ったんですけど、検索するとBREAKAWAY EVIDENCE TAPEばかり出てくるので違いますね。一般名詞ではなく固有名詞のようです。

テープは透き通っています。なぜか紙製だと思い込んでいたのでちょっと意外でした

 テープにはEVIDENCEの文字はおよそ11.4cmごとに繰り返し印刷されていました。4.5inchなのかな。

 その上には注射器用チューブに付属していたシールやビニール袋と同じく、「TO BE OPENED BY AUTHORIZED PERSONNEL ONLY」と書かれています。この注意書きからも、やはり証拠品を入れた袋などに封をするためのテープであることがわかります。封をした人のサインと日付を書く欄があり、下の白い部分にメモを書くことも可能です。

フチのギザギザのおかげで、力を入れなくても手でスッとカットできます

 テープの素材は手で切ることができるのが特徴のアセテート。縦方向は切り始めにグッと力を入れないと切れませんが、横方向はフチにギザギザがあるため簡単に割けて、全く力がいりません。ポテチの袋なんかと同じですね。どうりで箱にテープカッターが付いていないわけです。

 一瞬、「手で切れるんじゃ簡単に開けられちゃうじゃん、ダメじゃん」と思いましたが、このテープは開封できないようにガッチリと封をするのではなく、開封されていないことを証明するためのものなので全然問題ありません。

偽造防止のSAWTOOTH

 登録商標の「SAWTOOTH」はノコギリ歯のことで、このギザギザに付けられた名称です。ポテチの袋と違うのは、カットのしやすさだけでなく偽造防止にもなっている点。貼ってあるテープを無理に剥がそうとすると、この部分から裂けていくようになっています。

 また、溶剤に溶けやすい染料で印刷されているため、科学的に改ざんしようとすると溶け出して汚れてしまい、ひと目でわかるようになっています。

大型の拳銃も入れられる専用の箱

 「Evidence Box, gun」は押収した拳銃を入れる箱です。内寸がおよそ幅33.5×奥行き20.5×高さ5cmぐらいあり、相当大型の拳銃でも入ります。

証拠品の拳銃を入れる紙製の箱。デザートイーグルが描かれています

 パッケージに描かれているのはデザートイーグルらしき銃のサイドビュー。デザートイーグルは使用する弾丸のサイズによってバリエーションがあり、一番上のモデルは拳銃用としては最大級の.50AE弾という弾を発射することができます。.50は直径0.5インチのことで、直径だけでいえば戦車やハンヴィーなどに載せられているM2重機関銃の12.7mm弾に匹敵します。

下半分には証拠品のデータ記入欄と移動記録蘭

 パッケージの左下にあるのは紙袋やビニール袋と同じく、事件番号や機関名、収集者の記入欄です。違うのはMakeとModel、Serial No.の欄がある点。銃のメーカーとモデル名、シリアルナンバーを記します。

 右下の「CHAIN OF POSSESSION」は直訳すると所有の連鎖。誰がいつ誰に渡したかを順に記録していく欄です。袋などに書かれていた「Chain of Custody」(CoC——証拠保全、証拠保管の連続性)と同じ意味で使われているのではないかと思います。

サイド部分には事件番号を記入します

 箱の手前と左横には「EVIDENCE」と「Handle With Care」の注意書きと共に、事件番号を大きく書くようになっています。Handle With Careは普通の荷物でもよく見る「取扱注意」です。なんせ中身は銃ですからね。

ナイフも専用の箱へ

 もうひとつの箱、「Evidence Box, Knife」はナイフを入れる箱です。

ナイフ専用ボックス。こちらにはサバイバルナイフの絵

 ナイフは詳しくないので製品名はわかりませんが、刃の背にセレーションというノコギリの歯が付いたサバイバルナイフのイラストが描かれています。

 箱の内寸はおよそ幅41×奥行き8×高さ5cm。「刀か?」っていうぐらいめちゃくちゃデカいナイフは無理ですけど、大型ナイフも十分入る大きさです。データ記入欄は拳銃の箱からMakeとModel、Serial No.を外した物になっていました。サイド部分は拳銃の箱と同じです。

 拳銃の箱もナイフの箱も密封するシールはなかったので、袋と同様にSAWTOOTH EVIDENCE SECURITY TAPEを使うんだと思います。

 これらの箱はひとつずつしかないからパトカーの備品として保存しておきたいけど、テープは108フィート(およそ33m)もあるのでちょっとぐらい使っちゃってもいいかもしれません。EVIDENCEという文字が目を引くし、透明なので、例えばクリアファイルにワンポイントとして貼ったりするとか。紙袋も大中小合わせて75枚もあるから、袋と一緒に普段使いもできそうです。

 次回、もうちょっと続きます!

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