お金の「履歴と証拠」があるかどうかが要点
昼職をしながらのギャラ飲みが「副業に当たる?」「確定申告した方がいいの?」という「相談しにくいお金の問題」について、高橋創税理士がアンサー。
私はキャバクラに勤務している“キャバ嬢”の女性たちの確定申告もアドバイスしています。コロナ禍では、収入が大きく下がっている方もしっかりと稼いでいる人もいます。どのあたりが勝負の分かれ目なのか、私にはまったくわかりませんが。
さて、夢愛さんの相談についてですが、迷う余地なく申告はしないといけないでしょうね。
私は今まで「バレないだろう」と考えて申告をしなかった方が、税務署からの問い合わせの電話を受けて青ざめている姿をたくさん見てきました。バレる可能性として考えられる1つめはアプリの運営会社から税務署に情報が提供される場合。ちょっと前にもそんなニュースがありましたよね。運営会社も好き好んで提供をするわけではありませんが、やむなく差し出すようなことは大いにあり得ます。
2つ目は相手方が夢愛さんたちへのギャラを経費としている場合です。経費とする場合には相手先がはっきりしていなければいけませんから、相手方への税務調査に巻き込まれる形でバレてしまうこともあります。領収書を書いたりしていた場合にはなおさらです。
アプリを使わず領収書も書かず、現金のやり取りだけであれば安全だと思うかもしれません。しかし、報酬を預金通帳に入れてしまうと履歴が残ります。昔から税務署は夢愛さんのような現金商売者の売り上げに対して、厳しく見ていますよ。
バレたあとには追徴課税が待っています。その際には根拠となる数字が必要ですので、もしもの時のために、帳簿をつけて売り上げの管理をした方がいいでしょう。それがモチベーションにもつながるはずですから。
納税という痛みは伴いますが確定申告はした方がいいと私は考えています。お金に関して自覚的になりますし、いずれ独立した時に、夢愛さんの糧になってくれるはずですから。
監修者紹介――高橋創税理士(髙橋創税理士事務所)
1974年東京都生まれ。東京都立大学経済学部卒業。専門学校で所得税法の講師,会計事務所勤務を経て2007年に新宿で髙橋創税理士事務所を開設。税理士業の傍ら新宿ゴールデン街のバー「無銘喫茶」の経営なども行う。
著書に『桃太郎のきびだんごは経費で落ちるのか? 日本の昔話で身につく税の基本』(ダイヤモンド社,2021年)、『「知りたい!」がすぐひける 小さな会社の経理・人事・総務』(西東社,2022年)などがある。
髙橋創税理士事務所 https://takahashi-hajime.jp/
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