2月17日、インテルはInvestor Meetingを開催し、ここで製品やプロセス、財務状況に関するアップデートをアナリスト向けに実施した。
今回のミーティングは、特に昨今インテルがIDM 2.0の確立にあたって猛烈に投資(製造設備の拡充や工場そのものの新設)に突っ走っており、その一方で売上そのものは微増(779億ドル→790億ドル)に留まり、粗利率は56%から55.4%に後退、純利益は209億ドル→199億ドルとむしろ減っているという財務状況にあるため、現在の投資が将来の売上や利益にどうつながるかをきちんと財務アナリストなどに説明するための大事な機会である。
当然その核になる部分はプロセスであり、今後の製造プロセスがどこまで順調に量産に向けて進んでいるかをアピールする必要がある。昨年7月、Gelsinger氏がCEOに着任して半年弱というタイミングでIntel Acceleratedというイベントが開催され、この時点でのプロセスの動向が紹介された話は連載626回と627回で紹介したが、今回はそのアップデートをまずお届けしたい。
まず下の画像が今回改訂されたロードマップである。連載626回でそれぞれの登場時期を説明したが、全体的にやや前倒しになっているのがわかる。
具体的にはそれぞれの量産開始時期が以下のようになっており、Intel 4とIntel 18Aがそれぞれ半年前倒しされているのがわかる。
| インテルのロードマップ | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| プロセッサー | 2021年のロードマップ | 今回のロードマップ | ||||
| Intel 4 | 2023年前半 | 2022年後半 | ||||
| Intel 3 | 2023年後半 | 2023年後半 | ||||
| Intel 20A | 2024年前半 | 2024年前半 | ||||
| Intel 18A | 2025年前半 | 2024年後半 | ||||
| 各プロセッサーの進捗 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| Intel 4 | Meteor LakeのCPUタイルがすでにテープアウト(物理設計が終わって製造にかかれる状態) | |||||
| Intel 3 | 最初のサーバー向け製品のテストウェハーを現在ファブで製造中 | |||||
| Intel 20A | 現在はIPのテストウェハーを現在ファブで製造中 | |||||
| Intel 18A | 今年前半に、ファウンダリーの顧客向けにテストチップを製造する予定で、後半には最初のIPシャトルを実施する予定 | |||||
ここで、現状量産に近いのはIntel 4だけである。要するに細かな検証はほぼ終わり、次はいよいよ本番に向けて量産準備が整いつつあるという段階だ。
Intel 3はまだ量産に先立って、ある程度大きな規模の回路(“Lead server product”)というあたり、おそらくはXeon向けのCPUチップレットの試作品だろう。あるいはとりあえずIntel 4で製造される予定のMeteor LakeをIntel 3で試作してみるといった話かもしれない。
もともとIntel 3はIntel 4の改良型という話であり、現状はまだIntel 4の準備が整ったという話でIntel 3の検証はまだ完全ではない。今後、より大規模なダイをラインに流すなどして、性能や歩留まりなどをしばらく検証する必要があるが、ただある程度の規模のダイサイズを製造できる程度には進んでいる、と読み取れる。
Intel 20Aはまだ量産云々の話以前である。“IP Test Wafers”ということは、現在はダイを構成する部品(それこそメモリーコントローラーやUSBなどの雑多な周辺回路以外にも、CPU内部で使うレジスターファイルやクロック・ジェネレーター およびディストリビューター、さまざまなバッファー、など)を単体テストするための試験用ウェハーを順次流して、特性や耐久性、寿命などを確認しているという段階である。
これが一通り確認できて、初めてこれを組み合わせて物理設計ができるようになるわけで、その意味ではまだ先は長い状態であるが、逆に言えばIPテストができるということは、基本的なトランジスタの動作や配線の構築などは確認できているという意味になる。
その先のIntel 18Aであるが、今回Gelsinger氏はまさにその18Aの最初のウェハーを披露した。こちらはこれからまさにトランジスタの動作や配線の構築などを検証するためのものとなる。こんな形で、Intel 4/3/20A/18Aが順調であることをアピールした。

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