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コロナ禍でのメンタルヘルス問題への取り組みも言及

買い手は訪問営業にこだわっていないーHubSpot Japanの調査に見る営業現場の変化

2022年02月21日 11時30分更新

文● 末岡洋子 編集●大谷イビサ

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 さまざまな影響を与えている新型コロナ、営業も例外ではない。HubSpot Japanの調査によると、買い手は「訪問・リモートどちらでも良い」という人がこの1年で1.5倍に増えた。これからの営業はどうあるべきか、また社内のメンタルヘルス問題にどう取り組むべきか、HubSpot Japanが自社の取り組みを交えて考察した。

HubSpot Japanのマーケティングチーム マネージャー 亀山將氏、シニア マーケティングディレクター 伊佐裕也氏、代表・カントリーマネージャー 廣田達樹氏

コロナ禍で営業の意識や実態は変わったのか?

 HubSpot Japanはコロナ前の3年前より、「日本の営業に関する意識・実態調査」として、BtoBの営業について調べる年次調査を行なっている。3回目となる今年は、約1550人の売り手、約520人の買い手を対象とした。

 HubSpotは調査のハイライトとして、以下の3つを挙げた。

1)買い手は「訪問・リモートどちらでもよい」が昨年の1.5倍に急増。
2)購買意思決定において最も重要な要素は「信頼できる企業であること」。
3)営業組織における課題は「モチベーション維持」がトップ。メンタルヘルス向上への取り組みについては経営者と営業現場に意識ギャップがある。

 順番に見てみよう。

売り手ほど買い手は対面にこだわっていない?

 1)では、日本でも営業スタイルが対面ありきではなくなってきていることがうかがえる結果となった。

 好ましい営業は訪問かリモートかを売り手と買い手に聞いたところ、訪問型が好ましいという回答は、売り手も買い手も2020年より増えた。売り手は57.3%、買い手は40.4%が訪問型と回答している。リモートを好ましいとする回答は、売り手は12.8%で昨年の21.8%から減少、買い手も38.5%から21.2%に減った。

 HubSpotが着目するのは、「どちらでもよい」だ。「どちらでもよい」と回答する買い手は、38.4%。これは2020年の26.5%から約12ポイント、1.5倍の増加となる。

売り手が考える好ましい営業スタイル、買い手が考える好ましい営業スタイル

 「コロナが終わったら好ましい営業スタイルは?」という問いに対しても、買い手の41.4 %が「どちらでも良い」と回答。訪問型の38.3%を上回った。

コロナ収束後の好ましい営業スタイル 回答

 調査結果を紹介したHubSpot Japanのマーケティングチーム マネージャー、亀山將氏は、「法人営業における買い手側の買い方に対する考え方はより柔軟になったといえる」と述べる。売り手ほど買い手は訪問営業を望んでいない点も興味深い。

 では法人営業の現場はどのぐらいリモートなのか? 売り手営業のうち、基本的に内勤・内勤での営業活動が外勤より多いと回答した割合は38.1%、前回(2020年12月)の45.3%より減少しているものの、2019年(コロナ前)の27.4%より多い状態が続いている。また、リモート営業の機会が増えたという回答は49.3%、減ったは6.6%だった。リモート営業に対する社内での評価・重視度についても、31.5%が「上がった」と回答しており、「感染拡大状況に合わせて営業スタイルは変化するものの、リモート営業の定着が進んできている」(亀山氏)としている。

あなたの現在の業務スタイルは以下のうち、どれにあてはまりますか

リモート営業、成功のポイント

 リモート営業における課題をたずねたところ、「相手側の感触がわからず失注が多発」「和やかな雰囲気が作れない」などが挙がった。これに対して亀山氏は、「訪問型営業をオンラインで再現するのではなく、オンラインならではの工夫をする意識が重要」と述べる。その点、HubSpotはコロナ前からリモートを主体とした営業活動を展開しており、その経験から、「オンライン商談におけるストレスの多くは映像ではなく音声が原因と言われている」と亀山氏。そこで「発言後に3秒の間を置くことで相手が発言しやすくなる」とアドバイスした。

 また、リモート営業のメリットである移動時間の削減を活用し、「前後の1時間を商談の準備や振り返りの時間としてブロックしておく。これにより前の予定が長引いてバタバタと商談に入るといった事態が避けられるし、準備により商談の質を上げられる」と伝えた。

 HubSpot Japanでシニア マーケティングディレクターを務める伊佐裕也氏は、「営業する側は相手の希望する営業スタイルを決めつけない」と助言する。どちらでも良いと考える買い手が増えていることから、「ヒアリングを行ない、相手をしっかり理解しようという意識が大切」と述べた。

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