格安データ通信SIMを買って格安に使い倒す! 第196回
iPhoneなどデュアルSIMのスマホで発生した緊急通報の問題って何? より安心安全に使う方法を考える
2022年01月23日 12時00分更新
SIM2枚を同時に利用できるDSDV(Dual SIM Dual VoLTE)に対応するスマートフォンが増えている。iPhone(XS/XR以降)もそんな1台で、nanoSIMに加えて、本体に内蔵しているeSIMとの組み合わせでのデュアルSIMの利用が可能だ。
デュアルSIMは、活用すれば非常に便利な反面、緊急通報で問題が生じるケースが報道され、安心して使えないと思っている人もいるのではないだろうか。そこで、安心安全に使う方法を考えた。
iPhoneでの不具合はデータ通信料を安くする
「ワザ」を使わなければ該当しない
最新バージョンのiOSではすでに修正されているが(iOS 15.2以降)、昨年9月にiPhoneでのデュアルSIM利用時に緊急通報(110/118/119)で問題があることが発覚した。具体的には通常の音声通話回線のSIMとデータ専用回線のSIMを組み合わせて使っており、モバイルデータ通信をデータ専用のSIM側に設定していた場合に緊急通報ができないというものだ。
音声通話機能があるメイン回線ではなく、サブのデータ専用回線でデータ通信を利用するというのは、主要キャリアのSIMとMVNOの格安SIMなどを組み合わせる使い方が考えられる。この使い方は通信料金を安くするワザとして広く紹介されており、実践している人も多いはずだ。
iPhoneの場合、nanoSIMに主要キャリアのSIM、eSIMに格安SIMとなりそうだが、国内でeSIMに対応したデータ通信専用のサービスとなるとほぼIIJmioしかないため、IIJmioのeSIMを使っていなければ問題ないと思われがち。しかし、nanoSIM側にデータ専用SIMを使い、eSIM側に音声通話SIMの場合も同様の問題が発生していたと思われる。
グーグル「Pixel 6」でもiPhoneと同様の問題が発生している
Androidスマートフォンでもグーグルの「Pixel 6」と「Pixel 6 Pro」で同様の問題が発生している。やはり、データ専用SIMを「モバイルデータ回線」とすることで、緊急通報が発信できない場合があるという。なお、こちらの問題は記事執筆時点でいまだに解消されていない。
回避法としては両方のSIMをともに音声通話回線にするしかない。たとえば主要キャリアの契約をメインにし、データ用のサブにはpovo2.0や楽天モバイルといった音声通話機能もある回線にすれば問題は発生しなくなる。
現在はMVNOの格安SIMでも、音声通話SIMとデータ専用SIMの料金差は100~200円程度。povo2.0のようにデータが格安で、かつ音声通話も可能な回線もあるため、該当するケースは必ずしも多くないとも思われる。
純粋に2回線待ち受けをする場合に問題が発生する
シャオミ「Redmi 9T」
iPhoneとPixel 6では、片方をデータ専用回線にして、データ通信を安く使うという「ワザ」を使ったときに発生する問題で、両方とも音声SIMの場合は発生しない。
しかし、シャオミ「Redmi 9T」の問題は少し違う。Redmi 9Tは物理SIMを2枚同時利用できるスマートフォンだが、通話発信のたびにSIM1かSIM2のどちらを用いるか選択する設定をしており、直前の発着信がSIM2だった場合に緊急通報ができない場合があるとのことだ。
たとえば、仕事とプライベートで別の電話番号を使っているが、スマートフォンを1台にしたいためにデュアルSIM機を導入しているという人はいるだろう。
その場合、両方の番号に着信があり、また発信する場合も、相手ごとに電話番号(仕事の番号かプライベートの番号か)を切り替えるというのは一般的な使い方のはずだ。こうした状況で、直近がSIM2で発着信していると問題が発生してしまう。回避法は発信設定のSIMをどちらかに固定するというものだ。
もちろん、これは不具合としてソフトウェアアップデートで改善されるべき問題だろうが、やはり記事執筆時点ではまだ解消されていない。
Redmi 9Tは発売から1年近く経過した機種だが、入手しやすい価格に対して、低価格機の枠を超えた十分なパフォーマンスを持っており、現在でもおすすめ度の高い機種である。しかし、不具合が解消するまでは、デュアルSIM機能を目当てに購入するのは控えておいたほうがいいだろう。
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