Siriに特化した操作。良いところと不便なところ
Apple Musicで聴きたい楽曲の検索・再生は、ミュージックアプリを立ち上げなくてもSiriを起動してコマンドを入力すればどの画面からでもできる。
曲やアーティスト、アルバム、プレイリストの名称だけでなくApple MusicのエディターがVoiceプランのために、ムードやアクティビティをテーマに作成したプレイリストも追加された。例えば「車で帰宅のプレイリストを再生」「集中のプレイリストをかけて」「ワークアウトのプレイリストを聴きたい」といったリクエストをSiriに伝えればいい。
さてSiriの操作だが、もっともシンプルなのは「Hey Siri」と話しかけてからリクエストを声で伝える方法だ。ミュージックアプリを起動して、画面下のメニューから「今すぐ聴く」を開くと、トップに「Siriにはなしかけてみてください…」というセクションが並んでいる。これがVoiceプラン独自の新しいユーザーインターフェースだ。
各パネルにはSiriに話しかけて、音声によるリクエストを正確に伝えるための見本となるフレーズが記されている。テキストに書かれている通りに読めば、Siriから期待した通りの応答が得られる確率が高い。
iPhone/iPadの場合、ミュージックアプリ内での移動や楽曲の検索にはタップ操作が併用できる。ところが、やはりタップ操作には限界がある。検索して見つけた楽曲を「タップして再生」しようとすると、30秒間だけ聴けるプレビューの再生が始まり、Voiceプランからのアップグレードに誘導するバナーが表れる。ここでタップ操作ができてしまったら、980円の個人プランと使い勝手の上ではほぼ遜色がなくなってしまうので、インターフェースの設計としては妥当だと言える。
検索からたどり着いた楽曲はSiriにお願いして再生する。でもここからはちょっとしたコツが要る。あるアーティストの目当ての楽曲が、異なるアレンジで複数のアルバムに収録されている場合、「アーティスト/アルバム名/曲名」を正確に伝えなければならない。筆者も何度かトライしてみた。音声入力によるリクエストだけでは難しいので、アクセシビリティの中にある「Siriにタイプ入力」の機能が役に立った。
ただし、テキストタイピングを使って正確に曲名までSiriに伝えたはずが、アルバムの最初の楽曲から再生されてしまったり、狙いを定めて楽曲を再生するのはやはり至難のワザ。日ごろApple Musicを個人プランで利用している筆者としては、タップして選曲ができる有り難みを痛感してしまう。
自分の好きな音楽を、じっくりと曲順なども吟味しながら聴きたい方はやはり個人プランを選ぶべきだと思う。Voiceプランにはユーザーが好きな曲を集めたユーザー自身のプレイリストを作成したり、良く聴く楽曲をライブラリに保存する機能がない。Voiceプランは、どちらかと言えばApple MusicをBGM的に“ながら聴き”できる音楽サービスとして楽しめれば良いという人に向いているのではないだろうか。