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第1回 大河原克行の「2020年代の次世代コンピューティング最前線」

スパコン富岳が4期連続4冠を獲得した意義とは

文●大河原克行 編集●ASCII

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 日本は、現在、世界最先端のスーパーコンピュータを有している。

 兵庫県神戸市の理化学研究所に設置されているスーパーコンピュータ「富岳」は、2021年11月に発表された世界のスーパーコンピュータに関するランキングである「TOP500」、「HPCG(High Performance Conjugate Gradient)」、「HPL-AI」、「Graph500」のすべてにおいて、2位に大差をつけて1位を獲得したからだ。

 このランキングは半年ごとに発表されており、富岳が4冠を達成したのは、2020年6月、2020年11月、2021年6月に続いて、4期連続となった。

 この4冠には大きな意味がある。

 4つのランキングは、それぞれに求められる性能が異なるにも関わらず、いずれもトップになっているからだ。

 理化学研究所 計算科学研究センターの松岡聡センター長は、「富岳は、特定のシミュレーションに計算能力が発揮されるのではなく、性能と汎用性を両立している。そして使い勝手もいい」と前置きし、「スーパーカーと同等か、それ以上の性能を持つファミリーカーを実現したともいえる」と比喩する。

 スーパーカーは性能が高いが、日常の買い物の用途などには使いにくい。だが、買い物にも最適なスーパーカーを実現したのが富岳だというのだ。

「クルマに例えるならば、『どれぐらいのスピードがでるのか』という指標と、スーパーに買い物に行って、『どれぐらい荷物を積めるのか』といった性能をカバーするものになっている」

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