第6回 読んでおきたい、SokoPの「Google Cloud 実践ガイド」

仮想マシン深掘り、金融機関のAnthos Config Management活用事例――など、厳選してご紹介!

ぜひ観ておきたい! SokoPの「Google Cloud Next '21おすすめセッション」

文●SokoP(浦底博幸)/Google Cloudパートナーエンジニア 編集● ASCII

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 みなさん、こんにちは。Google Cloudのパートナー エンジニア「SokoP」こと浦底(@urasoko)です。今回は先日開催された「Google Cloud Next '21」のセッションから、筆者が独断で選んだおすすめセッションをご紹介いたします。

 なお今回ご紹介するのはすべて英語のセッションですが、オリジナルの英語字幕(Closed Caption、CC)がついていますので、聴き取りが難しくても、テキストを可読な速度で流したり、英語字幕をベースにした自動翻訳を表示したり、気になる部分は繰り返し再生したりなど、アーカイブの利点を存分に活用してご視聴いただければ幸いです。

クラウド活用“きほんのき”、Google Cloudの仮想マシンについて深く知る

 クラウドを活用していくうえで、仮想マシンにどのようなタイプがあるか、また仮想マシンが備える機能にどのような特徴があるかを知っておくことは重要です。Lift & Shiftのアプローチでは当然のことながら、各種マネージドサービスを活用するうえでも、マネージド サービスのベースとしてインスタンスが活用されているものや、オプションでマシンタイプの設定が可能なもの、マネージド サービスやインスタンス上で展開されるコンテナなど、サービスの仕様だけでなく、そのベースとなるインスタンスを深く理解することが、それらのサービス群を運用も含めて使いこなすために必須です。

 Google Cloud Next '21でも、正しいマシンタイプの選択に有益な、最新のマシンタイプの紹介も兼ねたセッションがございましたのでご紹介します。

★ 【おすすめセッション①】
 「Choosing the right VM family type for your workload」

出典:Google Cloud Tech YouTube チャンネル「Choosing the right VM family type for your workload」(2021/11/6)

● おすすめの理由
 ・ Compute Engineが備えるオプション、ディスク、ネットワークの仕様を知ることができる
 ・ 各マシンタイプの特徴とともに、適するワークロードも紹介している
 ・ カスタムマシンタイプの他、Compute Engineの他機能も紹介している

 Compute Engineのマシンタイプは、単純なスペック照合だけではなく、みなさんがお望みのワークロードに合わせて適したものを選ぶ必要があります。正しく選択、カスタマイズすることで、性能もさることながら、真の費用対効果も生み出せます。既存の基盤やプラットフォームの設計をベースにクラウド移行を検討することも必要ですが、本質的にサービスとして提供すべき機能を、Google Cloud独自の機能で実現することによって、結果的にGoogle Cloudの最大限の活用にも繋がります。これからGoogle Cloudの活用を検討されているみなさんも、すでにGoogle Cloudを活用されているみなさんも、あらためてのご視聴をおすすめします。

クラウドにおけるリソース管理の原則、ツールや機能よりも大切なことは

 次におすすめするセッションは「How Goldman Sachs manages Google Cloud resources with Anthos Config Management」です。タイトルからはGoogle Cloudの一機能である「Anthos Config Management」の紹介のようにも取れますが、それだけではなく、金融サービスに求められるセキュリティなどのクリティカルな要件を、クラウド基盤上で満たすために必要な原則も語られています。

★ 【おすすめセッション②】
 「How Goldman Sachs manages Google Cloud resources with Anthos Config Management」

● おすすめの理由
 ・ 顧客がクラウド活用に向けてとった技術的リスクアプローチの実例を知ることができる
 ・ ライフサイクルやポリシー管理も見据えたプロビジョニングへの挑戦を解説している
 ・ スケーラビリティと共にガバナンスを実現するPolicies as Codeを紹介している

 Anthos Config ManagementはKubernatesクラスタを統合管理するサービスですが、このセッションではそれだけでなく、Workload Identity機能の活用や、Google Cloud上での組織、フォルダ、プロジェクトの管理についても、顧客自らが金融サービスにおける実例を紹介しています。Anthos Config Managementだけでなく、コンテナの活用もGoogle Cloudの活用もこれから、というみなさんにもおすすめのセッションです。

段階的、戦略的なクラウド活用に必要なハイブリッド・マルチクラウド

 シンプルに既存の非クラウド基盤からクラウド活用を進めていく場合でも、ピンポイントで切り替えができるものではないので、クラウドジャーニーと呼ばれる道のりをしっかりと描く必要があります。その過程においても、ハイブリッド・マルチクラウド アプローチの観点は必須です。

 以下にご紹介するセッションでは、その過程で有用かつ代表的なアーキテクチャを紹介しています。

★ 【おすすめセッション③】
 「5 hybrid and multicloud architecture designs for an effective cloud strategy」

● おすすめの理由
 ・ ハイブリッド・マルチクラウドに求められる要件を原則から説明している
 ・ 各パターンにおける利点とベストプラクティスを紹介している
 ・ 広い視点におけるエッジ活用やデータ分析要件などのパターンも紹介している

 エッジの例にもあるとおり、今やクラウド技術は非クラウド環境上でも活用していくことが求められています。取り扱うサービスが増えることで、同類サービス間の仕様差異や運用方式の違いなど様々な視点で懸念が多いハイブリッド・マルチクラウド アプローチ。適材適所で複数のサービスを活用することはみなさんの通常業務においても一般的ではあるものの、容易ではないことかと思います。

 先に挙げたとおり、ハイブリッド・マルチクラウドがクラウド ジャーニーにおける重要なアプローチであることは間違いないですが、それはクラウドへの移行や活用の初期段階だけではなく、クラウド活用の理想形を見据えて初期段階から設計に織り込むことで、複数のサービス同士が複雑にもつれ合う密結合を避けるためのアプローチにもなります。

 また当セッションにおいても、先のセッションとは別の金融サービスを展開する顧客が、自らのアプローチについてQ&A形式で話しています。こちらもぜひご覧ください。

GKEでのKubernetesクラスタとコンテナ運用のベストプラクティス集

 次のおすすめは、EC基盤としての活用に留まらないGKEの活用ナレッジが集約されたセッションです。

★ 【おすすめセッション④】
 「Running a competitive IT ecommerce infrastructure with GKE」

出典:Google Cloud Tech YouTube チャンネル「How to run an IT ecommerce infrastructure with GKE」(2021/11/6)

● おすすめの理由
 ・ クラスタのノード、Kubernetes、アプリケーションの各層に委ねる要件を整理できる
 ・ GKEが備えるクラスタ管理・運用機能を幅広く紹介している
 ・ Kubernetesが備える機能や、担うべき観点にも言及している

 このセッションについては「百聞は一見にしかず」、全編にナレッジが凝縮されていますので、セッションページからリンクされているスライドPDFもご参照のうえ、じっくり何度もご覧いただければと思います。

おまけ:Google Cloudを“実践した”気になれる各種デモセッション

 イベントにおけるセッションの醍醐味として、ドキュメントなどの公開情報だけでは分からない、実際の機能の使用感が伝わるデモンストレーションが見られる点を挙げられる方も多いかもしれません。そこで参考までに、デモが含まれているセッションもいくつかご紹介いたします。

● Building globally scalable and resilient services with Anthos Service Mesh
● Modernizing app development and delivery with the Google Cloud golden path
● Bringing the Cloud Run for Anthos developer experience to multicloud and hybrid

 冒頭や中間の機能説明部分を省いて、デモ部分だけを観ることが可能なのもアーカイブ視聴の利点かと思います。また、スピーカーが複数人のセッションでは掛け合いのようなやりとりもあり、違った観点でお楽しみいただけるかもしれません。

最後に

 私の独断で取り上げたおすすめセッションですが、これら以外にも多種多様なセッションが提供されています。「他にこんなのないかな?」などご関心がおありでしたら、ぜひGoogle Cloud Next '21のサイトから検索してみてください。

 またGoogle Cloud Next '21全体のまとめを日本語で提供する「Google Cloud Next '21 Recap: Japan」というイベントも開催され、アーカイブ配信されています。たとえば、本記事で1つめに紹介したセッションとあわせて「Compute Engine で費用を最適化するためのベスト プラクティス」「本番稼働段階のオペレーションを Google Cloud のインフラストラクチャで劇的に簡素化する」という日本語版セッション もご覧いただくと、さらに理解を深められるかと思います。その他のセッションもぜひご覧ください。

 そして最後に、6回にわたってお送りしてきた当連載は、今回が最終回となります。みなさんが普段お見かけしないような観点の内容をお届けしようと心がけてまいりましたが、いかがでしたでしょうか。連載自体は終了しますが、ご感想コメント等ございましたら、ぜひ付記のうえ記事をシェアいただければ幸いです。

 それでは最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 いつかまたどこかで、お会いできることを楽しみにしています。

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