最新パーツ性能チェック 第359回
人気ゲームタイトルのプレイ+録画/配信、動画編集/エンコード、RAW現像まで!
第12世代Coreはゲーム最強!? 12900K/12700K/12600Kのゲーミング&クリエイティブ性能を徹底検証
2021年11月26日 11時00分更新
アウェーで勝つのが本当の強さ「Far Cry 6」
FPS系タイトル最後の検証として「Far Cry 6」の結果も見てみよう。このゲームはRyzen購入時の特典に採用された実績もあるほど、AMDが力を入れていたタイトルだ。つまり、インテル製CPUにとっては“アウェー”な存在のゲームである可能性が高い。画質は“最高”とし、レイトレーシングやアップスケール(FSR)は全てオフとした。ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測する。
平均フレームレートにおいては各セグメントで第4世代Ryzenより第12世代Coreがやや高い程度だが、最低フレームレートに関してはCore i5-12600KでもRyzen 9 5900Xを6fps、Ryzen 5 5600Xなら21fps上回った。
平均フレームレートの差が小さい理由はGPUで律速になっている可能性があるが、少なくともFar Cry 6の最低フレームレートについてはCPUがボトルネックであり、第12世代Coreで劇的に改善することが示された。
Far Cry 6もPコアのうちコアの実体のほう(左側のセル)に負荷が集中し、HTで増えた分身には負荷がまったくかかっていない。8基あるEコアにはすべて20%程度の負荷がかかっており、その大半はカーネル時間として計上されている。Apex LegendsとFar Cry 6のCPUの使われ方はタスクマネージャーで見る限りは似ているが、Apex Legendsでは第12世代CoreがパッとせずFar Cry 6では光り輝くのは、ゲーム側の設計に原因があるようだ。
「F1 2021」では第12世代Coreが強かった
FPS系が続いたので次はレーシング系で試してみよう。ここで試すのは「F1 2021」だ。画質は“Very High”だが、標準でレイトレーシングが有効になるのだがGPUがボトルネックになってしまうので、これを無効化。アンチエイリアスはTAA、異方性フィルタリングはx16とした。ゲーム内ベンチマーク機能でコースはMonaco、コンディションはWet設定でフレームレートを計測した。
第11世代Core対第4世代Ryzenでは圧倒的にRyzenが強かったゲームだが、第12世代Coreはさらにその上を行くパフォーマンスを発揮。特に重要なのが、最低フレームレートが200fps前後と極めて高い値を示している点だ。Cyberpunk 2077と同様、F1 2021においてもフレームレートの底上げにはCPUの強化が極めて有効な手段ということになる。ただし、この恩恵は第12世代Coreのハイブリッドデザインによるものなのか、DDR5メモリーの帯域によるものなのかという検証も今後必要だろう。
「DIRT 5」では上位モデルの差はほとんど出ず
別のレーシング系ゲームとして、「DIRT 5」も試してみよう。画質は“Very High”設定とし、動的解像度変更機能はすべてオフとした。VRS(Variable Rate Shading)は有効、レイトレーシングは無効としている。ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測した。
Min(1%)はRyzen 5 5600Xを除く9CPUで144.3〜146.4fpsの間に着地しており、決定的な差が見い出せない。平均フレームレートにおいてもせいぜい2fps程度と小さい。このゲームに関して言えば、あまり大きな差が出ていないと言えるだろう。
CPUの差がフレームレートに現れた
「Sid Meier’s Civilization VI」
次はストラテジー系ゲームで検証してみよう。今回は「Sid Meier’s Civilization VI」を使用した。拡張パック「Gathering Storm」を組み込み、内蔵ベンチマーク機能からグラフィックのベンチマークを実行する。APIはDirectX 12、画質は最高設定、アンチエイリアスはMSAA 8Xとしている。
Civilization VIのベンチマーク機能での出力はフレームタイム(ミリ秒)なので、これをフレームレートに変換してグラフにしてある。このゲームも起動時にAMDロゴが出るタイトルだが、ここでもMin(1%)は第12世代Coreが大きく引き上げている。アクション性の不要なゲームではあるが評価すべき事項だろう。また、平均フレームレートも各セグメントの対決で第12世代CoreはRyzenよりも優秀だった。
インテルの推す「Mount & Blade II: Bannerlord」では?
最後のタイトルは「Mount & Blade II: Bannerlord」だ。これはインテルが第12世代Coreの性能をアピールする際によく使っているゲームなので、当然最適化されていてもおかしくはない。Far Cry 6が“アウェー”のゲームであるとするなら、このMount & Blade II: Bannerlordは“ホーム”のゲームだろう。勝って当然のタイトルだが、どの程度の差で勝つかは確かめてみた。
画質は“Very High”に設定し、ゲーム内ベンチマーク機能を利用して計測した。結果はCPUフレームレートとGPUフレームレートの両方が出力されるが、描画性能にCPUが与える影響を見るためにGPUフレームレートで比較する。
さすがインテルが推すゲームだけあって、平均もMin(1%)も第12世代Coreが第4世代Ryzenを大幅に上回っている。ベンチマーク中は多量の兵士が動き回るシーンでCPU占有率が極めて高くなっていた。PコアやEコアの概念がない(すべてPコア扱いと言える)Ryzen 9 5950X(16コア/32スレッド)がコア数で劣るCore i5-12600K(10コア/16スレッド)に負けているという事実は、第12世代CoreのCPUアーキテクチャーとこのタイトルのかみ合わせの良さを示している。
この連載の記事
-
第458回
自作PC
Arc B580のRTX 4060/RX 7600超えは概ね本当、11本のゲームで検証してわかった予想以上の出来 -
第457回
自作PC
インテル新GPU、Arc B580の実力は?AI&動画エンコードは前世代より超強力に -
第456回
デジタル
「Ryzen 7 9800X3D」は高画質設定でも最強ゲーミングCPUであることに間違いはなかった -
第455回
デジタル
「Ryzen 7 9800X3D」が最強ゲーミングCPUであることを証明する -
第454回
デジタル
性能が最大50%引き上げられたSamsung製SSD「990 EVO Plus」は良コスパSSDの新星だ -
第453回
デジタル
性能も上がったが消費電力も増えた「Ryzen 7 9800X3D」最速レビュー、AI推論の処理速度は7800X3Dの約2倍! -
第452回
自作PC
Core Ultra 200Sシリーズのゲーム性能は?Core Ultra 5/7/9を10タイトルで徹底検証 -
第451回
自作PC
Core Ultra 9 285K/Core Ultra 7 265K/Core Ultra 5 245K速報レビュー!第14世代&Ryzen 9000との比較で実力を見る -
第450回
デジタル
AGESA 1.2.0.2でRyzen 9 9950Xのパフォーマンスは改善するか? -
第449回
デジタル
Ryzen 9000シリーズの性能にWindows 11の分岐予測改善コードはどう影響するか? -
第448回
デジタル
TDP 105W動作にするとRyzen 7 9700X/Ryzen 5 9600Xはどの程度化ける? レッドゾーン寸前を攻める絶妙な設定だが、ゲームでの効果は期待薄 - この連載の一覧へ