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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第284回

エリクソンがアップルを提訴 5G時代の本格化に向け、足場固めるプレイヤーたち

2021年10月23日 12時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII

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 モバイル業界が一時期、特許訴訟だらけだったことを覚えておられるだろうか? その状況は数年前に落ち着いたが、5G時代が本格化するにつれて、再び特許関連の訴訟が目立っている。最新の大きな動きが、エリクソン vs. アップルだ。

無線通信特許に1台あたり5ドルの支払いは多いか少ないか

 10月4日、エリクソンがアップルを提訴した。場所はテキサス州東部マーシャル地区連邦地方裁判所。特定の特許を侵害しているという内容ではなく、ライセンス合意に決裂したのだという。

 2010年代前半にモバイル業界各社が繰り広げた特許訴訟は、自社のデザインを真似たという類のものもあったが(アップル vs. サムスンが好例)、無線基地局など通信機器ベンダーと端末メーカーの場合はSEP(標準必須特許)のライセンスに関するものだ。

 今回のエリクソンの主張もこのタイプで、アップルが特許を使用するためのロイヤリティーを低くするために“不適切なやり方”をしているとし、適切な金額で支払うように求めている。エリクソンは「5G/NR端末1台あたり5ドル」「特定の条件下では低価格帯の5G/NR端末1台あたり2.5ドル」と訴状に記している。

 「エリクソンのような技術リーダー企業は、早期からR&Dに大規模な投資をしている。特許ライセンスを通じた公正な償いがあることは重要だ。これにより、技術への新しい投資が可能になり、開かれた協調的な標準化を継続できる」コメントしている。

OPPOとNokiaも特許係争を継続中

 エリクソンのような通信機器ベンダーは、無線通信のための特許を保有する。これらの多くは標準必須特許(SEP、Standard Essential Patent)と呼ばれ、「FRAND(Fair, Reasonable, And Non-Discriminatory)」、つまり公正、合理的、かつ非差別的な条件でライセンスするというルールがある。1つ1つの特許というよりも、特許ポートフォリオに対して一定のライセンス料を支払うことで訴訟を起こさないという合意を結ぶ。

 両者は2015年にも1年越しの和解をしており、その期限をまもなく迎えることになっている。

 アップルは、エリクソンの特許の価値を従来より低く見積もっているようだ。エリクソンによると、2020年12月から新しいライセンスについて話し合いを続けているが、アップルはエリクソンが提案する料金がFRANDではないとし、自社の計算方法こそがFRANDとしているとのこと。アップルはエリクソンに対し、すべての特許が本当に必須であり、有効なものなのかを証明するよう求めているという。

 5G関連の特許ライセンスで、通信機器ベンダーが端末メーカーと決裂したという前例がある。OPPOとNokiaの間だ。2018年に締結した特許ライセンス合意の期限が終了することを受け、Nokiaは5G特許も含んだものにしようとしたが(つまり、おそらくは値上げ)、OPPOがこれを拒否したために訴訟にもつれ込んだ。その後、OPPOがNokiaを訴えている。

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