5G端末ではアップル、通信機器ではファーウェイ
ここで無線通信ベンダーと端末ベンダーの市場での状況を見てみよう。
無線通信ベンダーでは、ブロードバンドアクセス、モバイルコアネットワークとRAN、SPルーターとスイッチなどを含むテレコム機器市場(売上ベース)では、ファーウェイが圧倒的なトップで、シェア28.8%。エリクソンは15%で2位、続いてNokiaの14.9%となっている。なお、ご存知のようにファーウェイは米国でほとんど展開していないため、自国と国外でシェアは大きく異なると思われる。
なお、ファーウェイは5G特許という観点でも群を抜いている。IP(知的所有権)のインテリジェンスプラットフォームであるIPlytics Platformが2月に公開したレポートによると、「5Gファミリーにおけるシェア」はファーウェイが15.39%でトップ。2位のクアルコムの11.24%に大差をつけている。ちなみにエリクソンは4.35%。
端末ベンダーの5G端末におけるシェア(出荷台数ベース)は、アップルが28.3%でトップ。続いてOPPO(14.4%)、サムスン(13.9%)となっている。5Gスマートフォンの先陣を切ったのはサムスンだったが、アップルが対応機種を発表すると市場が拡大するという、いつものパターンになっている。
米国の対中政策もありモバイル業界の構図が変わりつつある中、5Gでの特許ライセンス交渉が難航するケースが今後増えるのかもしれない。
筆者紹介──末岡洋子

フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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