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購買客は実店舗とオンラインの「シームレスな体験」求める、ゼブラのグローバル調査

小売業の6割以上がコロナ禍で「テクノロジー投資計画を加速」

2021年09月09日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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新たな課題に小売業はどう対応すべきか

 こうした課題に対処するため、小売経営者はテクノロジー投資/導入を加速させている。今回の調査によると、パンデミックの影響で「テクノロジー投資計画が加速された」と回答した小売経営者は61%、同様に「デバイスとソリューションの導入計画が加速された」は77%に及んだ。また、小売店従業員の61%もモバイルデバイスなどテクノロジーの供給について肯定的にとらえている。この61%という数字は、前年比で10ポイント以上の増加だという。

小売業側のテクノロジー投資や導入に対する見方はポジティブなものに

店舗従業員にテクノロジーを供給して業務改善を

 古川氏は、前述した3つの課題に対する対処法についても説明した。

 まずオンラインと実店舗のシームレスな融合、すなわち小売のオムニチャネル化については、店舗への積極的なテクノロジー導入によって店舗従業員を“即戦力化”し、顧客満足度の向上につながる業務に集中できるようにすることが重要だと指摘する。

 調査によると、店舗従業員は店舗とオンラインのシームレスな購買体験を提供することが大切だと理解しているが、それを実現するための人員、トレーニング、仕事量の軽減などの不十分さを、経営者よりも強く実感している。ここに適切なテクノロジーやツールを導入することで従業員の業務負荷を軽減し、接客時間やトレーニングに充てるべきというのがゼブラの考えだ。

店舗へのテクノロジー導入の必要性については経営者、従業員とも意見が一致しているが、職場の問題については経営者の見方はまだ甘い

「在庫切れ」を防ぐソリューションが求められている

 購買客の大きな不満要因であり、販売機会損失の原因でもある「在庫切れ」を防ぐソリューションの必要性は、店舗従業員の側も強く感じている。その一方で、客から問われるたびに在庫確認に毎回手間がかかってしまうのでは、従業員の業務効率は上がらない。

 リアルタイムな在庫の可視化はテクノロジーで解決できる課題であり、経営にも大きな改善効果をもたらしうる。その課題は経営者、店舗従業員の双方で強く認識されるようになっている。

店舗従業員、小売経営者の双方で、在庫切れを防ぐソリューションの必要性が強く認識されている

セルフサービス/非接触の導入で店舗従業員の安全も守る

 コロナ禍を通じて「安全性」を重視するようになったのは、店舗を訪れる購買客の側だけではない。店舗従業員、経営者の側も同様である。ただし「当社の店舗は健康を安全を重視している」に同意する経営者は91%に及ぶが、従業員は77%とやや低く、両者間では意識にギャップもある。

 セルフレジの導入についても、経営者と従業員の双方でポジティブな見方がなされている。総じて経営者のほうが肯定的なとらえ方をしており、ここには従業員の「テクノロジーの導入で職が奪われる」という不安が反映されている可能性がある。「そうではなく、従業員はより付加価値の高いサービスに仕事をシフトするのだという“意識あわせ”が必要だ」と古川氏は語る。

店舗での安全確保は意識されているが、経営者と現場の意識にはギャップがある

 なお、経営者に「2025年に向けて小売業に必要なテクノロジー」を尋ねた結果のトップ10は次の図のとおりだ。

小売経営者が考える「2025年の新しいテクノロジートップ10」

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