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オンラインショップの体験を実店舗でも ゼブラが小売業調査を披露

2020年04月07日 09時00分更新

文● 大河原克行 編集●大谷イビサ

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 2020年3月25日、バーコードプリンター大手のゼブラ・テクノロジーズは、12回目となる「小売業界のテクノロジー改革に関するグローバル調査」の内容を披露した。買い物客の多くがオンラインショップでの顧客体験を実店舗にも求めるようになっているほか、売り手と買い手で重視するポイントに大きなギャップが生まれている点が明らかになった。

ロボットや分析プラットフォーム、ARを推進

 ゼブラ・テクノロジーズは、バーコードを印刷するプリンターの開発、製造、販売で、1969年に設立。本社は米イリノイ州。グローバルに事業を展開しており、2019年度の売上高は44億ドル、売上高の10%を研究開発に投資しており、自動認識システムでは世界最大手だ。社名のゼブラは、バーコードの白と黒の縞模様から命名している。

 2014年10月にモトローラのエンタープライズ部門を買収。現在は、小売、物流、製造、医療の4分野にフォーカスしている。これらの領域で利用するRFIDリーダー、バーコードスキャナー、デスクトップブリンター、テーブルトッププリンター、モバイルプリンターなどを商品化しており、いずれも世界ナンバーワンのシェアを獲得。フォーチュン500社のうち、95%の企業で同社製品が採用されているという。

 日本では、1998年から事業を開始している。ゼブラ・テクノロジーズ・ジャパンの古川正知社長は、「日本の小売業において、新たなテクノロジーが求められており、その領域では、競合他社に比べて優位性を発揮できると考えている。日本の市場における変革に貢献したい」としている。

 最新の製品として、管理ツールである「Smart Sight」と「EMA50」と呼ばれるロボットを活用した店舗向けソリューションを紹介。ロボットがスキャナーで店舗内の在庫状況をチェックし、適正価格の表示や、正確な棚割が行われているかどうかを確認し、スマホに情報を送り、スタッフに作業を指示する。「ロボットと人が協調して作業をすることができる。この仕組みは、今年から欧米に展開し、日本をはじめとするアジア太平洋地域への展開は来年以降になる」という。

ロボットを活用した店舗向けソリューション

 また、小売店舗および倉庫向け分析プラットフォームの「Profitect」、倉庫でのシームレスなピッキング業務を行うためのヘッドアップディスプレイとARを組み合わせた「Fulfillment Edge」、RFIIDとカメラ機能を内蔵したユニットを天井に設置し、顧客や店員、商品の動きを収集し、分析することで、発注予測や在庫管理、棚補充などが行える「SmartLens」などを開発。今後、日本でも展開していくことになる。

実店舗で品切れの場合、買い物客はオンラインで購入

 今回発表された「小売業界のテクノロジー改革に関するグローバル調査」は、ゼブラ・テクノロジーズが毎年実施しているもので、今年で12回目。日本のほか、北米、中南米、アジア太平洋、欧州、中東の世界16カ国を対象に、435人の小売業意思決定者、1100人の小売業販売員、4811人の消費者の合計6346人から有効回答を得ており、ショッピング体験や情報端末の活用方法、デジタル変革を推進するテクノロジー、物流および配送などのトピックに関して、実店舗とオンラインショップの両方から調査を実施している。

 これによると、買い物客の満足度は、実店舗では82%、オンラインでは78%に達し、上昇傾向にあるとするものの、依然として課題が残されているという。たとえば、実店舗で買い物客が何も買わずに店を出る理由として、商品が買えない「品切れ」、好みに合わない「品揃え」、オンライン店舗を含んだ、より販売条件がいい「競合店」、オンラインと異なる「価格差」、長蛇の「レジ待ち」が要因に挙がっているという。

買い物客の満足度は上昇傾向

 実店舗に足を運んで品切れだった場合、何も買わずにオンラインで購入するとの回答は、ベビーブーム世代では26%に留まっているのに対して、ミレニアル世代は75%、X世代では53%に達している。また、店員の43%は品切れに対する買い物客からのクレームが最大のストレスであると感じているという。

 品切れだった際の対応策として、「品切れだった商品を注文して自宅に配送」、「商品が入荷した際に利用できるディスカウントを提供」、「在庫がある他店舗を調べ、行き方を教える」といった方法を用意しており、57%の店員が品切れだった商品の代替品を探すことができるとしているものの、実店舗における買い物客の49%が、品切れだった商品をその場で注文できる仕組みには満足していないと回答している。

 古川社長は、「実店舗においては、在庫管理という課題に直面していることが明らかになった」としている。

実店舗でテクノロジーによって強化されたショッピング体験を求める

 さらに、実店舗があるオンライン小売業者で購入を希望している買い物客は、ミレニアル世代は67%、X世代は55%であるのに対して、ベビーブーム世代は40%に留まっていることも明らかになった。また、実店舗においては、「最新テクノロジーを用いた店員の接客によって、ショッピング体験が改善した」との回答は59%、「情報検索は自分でするよりも、最新テクノロジーを活用する店員が望ましい」との回答が57%、「店員よりも自分の方が簡単に情報を入手できる」との回答が52%、「有人レジの列に並ぶよりもセルフレジを選ぶ」の回答が52%と、いずれも過半数を占めた。

 また、買い物客が活用したいと思う店頭サービスでは、電子棚札が62%、スマートカートが61%、位置情報に基づくクーポンが58%、ショッピングマップが55%、自動チェックアウトが54%、近隣店舗やオンラインストアの在庫状況も表示する「エンドレスアイル」が51%となり、テクノロジーによって強化されたショッピング体験を期待している声が多いことがわかった。

買い物客が活用したい店舗サービス

 古川社長は「買い物客は、店舗内に導入されるテクノロジーに期待し、店員の能力を強化する情報端末の活用や、セルフサービス機能の導入により、スムーズでストレスのないショッピング体験が提供されることを求めている」としたほか、「ミレニアル世代は、オンライン、実店舗を問わず世代別でもっとも高い満足度を記録し、新たなテクノロジーの受け入れにも柔軟である。また、実店舗に対しても、手持ちのスマートフォンと同等以上の満足度を期待している。

 これに対して、X世代およびベビーブーム世代は、対面の顧客サービスを好む傾向があり、テクノロジーには不慣れであり、1人ひとりのニーズに沿った、十分な知識に基づく接客を希望している」と分析。「買い物客は、店舗内に導入されるテクノロジーに期待し、店員の能力を強化する情報端末の活用や、セルフサービス機能の導入により、スムーズでストレスのないショッピング体験が提供されることを求めている」とした。

 さらに、買い物客が商品の購入場所を決定する要因として、実店舗では、「商品を見て回り、手に取ることができる」「商品購入が可能かどうか(在庫があるかどうか)」「その場で得られる満足度」が上位となり、オンラインショップでは「送料無料」「商品購入が可能かどうか(在庫があるかどうか)」「オンライン限定のオファー」が上位となった。

 古川社長は、「買い物客はオンラインでチェックした商品を目当てに、実店舗を訪れる傾向がある。一方でオンラインショップにおける最大の課題はその場で得られる満足度をいかに提供できるかにある」と総括した。

値段、返品対応に見られる売り手と買い手のギャップ

 一方で、優れたサービスよりも値段を重視すると回答した買い物客は56%であるのに対して、買い物客が何よりも安さを重視していると考える小売業界幹部は42%に留まっており、「消費者の目的は、欲しい商品を簡単にみつけて、最低価格で、すぐに手に入れたいというものである。買い物客は業界幹部の認識以上に、販売価格を気にかけている」としている。その一方、今までは価格、利便性、品質が重視されてきたが、今後5年後をみると、パーソナライズ化やカスタマイズ化、共創デザインなどが重要な鍵になるという結果も出ている。

 返品対応への不満を持つ買い物客の比率は、ミレニアル世代は34%、X世代は44%であるのに対して、ベビーブーム世代は54%と、世代を追うごとに10ポイントずつの開きがあり、世代別に行動や反応が大きく異なっていることが明らかになった。また、合計値では41%の買い物客が返品に不満を抱いているが、小売業界の幹部の80%は、買い物客が返品には満足していると考えており、大きなギャップがあることがわかった。「返品や交換は、デジタルネイティブによってハードルが高くなっており、レジ精算と同様に、スムーズに返品プロセスを提供する小売業者が高く評価される傾向にある」(古川社長)。

返品に関する課題

 オンライン注文の返品管理が大きな課題であると認識する幹部は75%であり、2025年までに返品管理システムのアップグレードを計画しているか、すでに実行している小売業は46%に達している。具体的には、「オンライン/モバイル端末経由で購入した商品の返品を店舗で受け付ける」、「返品送料無料」、「専用のフルフィメントセンターや返品センターで受付」、「販売業者が提供する返送用ラベルを使用して返品」などが挙がった。

 今回の調査結果から、同社は「買い物客はオンラインショップでの体験を実店舗でも体験できることを期待している。また、買い物客が求めているのは、買いたい商品を店舗でみつけ、もっとも安い価格で購入できる利便性である。そして、世代間によって期待値は異なるが、共通しているのは、モバイル端末などの最新テクノロジーを駆使して、詳しく商品説明を行い、相談に乗ってくれるスタッフに対応してもらうことである。買い物客は店舗内に導入される最新テクノロジーに順応しているが、自動化が進んだとしても、依然として求められるのは人と人とのコミュニケーションやパーソナライズ化である」とまとめている。

モバイル端末の活用が鍵に

 古川社長は、「小売業におけるデジタルディスラプションが進むなかで、実店舗も、オンラインショップも、顧客の満足度は前年よりも向上している。だが、その一方で、小売店側と買い物客との間にギャップがあることが明らかになっている。買い物客の視点で考えていく必要がある」と指摘した。また、「実店舗では、モバイルテクノロジーの活用によって、買い物客のショッピング体験が向上すると考えている店員は73%、買い物客では58%に達している。日本市場では、RFIDソリューション、モバイルテクノロジーを利用して小売店舗オペレーションの効率化と買い物客のショッピング体験を向上させていきたい」とした。

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