気象IoTデバイス、見守りサービスのIoT電球の開発経緯
ウェザーニューズ、ヤマト運輸&ハローライトが挑む社会課題の解決
IoT電球で高齢者を見守る「あんしんハローライトプラン」
続いて登壇したのは、IoT電球「HelloLight」を用いた見守りサービスを提供するヤマト運輸 リテール事業本部の川野智之氏と、ハローライト 代表取締役の鳥居暁氏になる。
宅配便で国内一位のシェアを誇るヤマト運輸は、全国7000もの宅急便センターで、国内を100%カバーする。従業員は約22.4万人、セールドライバーは約6万人という規模となっており、昨年取り扱った宅急便の数は約17.9億におよぶ。こうした物流の力とネットワークを活かし、社会課題に取り組むサービスとして手がけるのが「見守りサービスあんしんハローライトプラン」になる。
ヤマト運輸の宅急便にとどまらず、買い物や家事などを代行する生活支援サービス「ネコサポ」を提供している。こうしたサービスを展開する中、同社は独居高齢者の増加という課題を目の当たりにしたという。現在では、コミュニティが希薄化し、見守りる側の人材も不足している状態。そして家族が気軽に会いに行けないという昨今のコロナ禍がこの状況を加速しているという。
こうした課題に対して、ヤマト運輸が提供する「あんしんハローライトプラン」は、IoT電球「ハローライト」を活用した見守りサービス。ハローライトはあらかじめ見守り対象となる実家の電球と交換しておくと、点灯状態によって登録された通知先にアラートを発呼することができる。発呼を受けた通知先の家族が訪問や電話で安否を確認できれば問題ないが、もし連絡がとれなかったり、遠かったりした場合には、ヤマト運輸に依頼すれば、最寄りのセンサーにいある運輸スタッフが代理で訪問し、安否を確認する。「見守りのツールだけではなく、ツールの設置や訪問まで一体となったサービス」と川野氏は語る。
川野氏が最初にハローライトに問い合わせ、面談したのが2019年12月。サービスを開発し、2020年6月には多摩地域で実証実験を開始し、導入要望を受けて、2021年の2月から対象地域を全国に拡大。4月には東京住宅供給公社の見守りサービス提供事業者にもなっている。「日本全国を網羅する同社のネットワーク、宅急便で培ってきた地域での信頼感、リアルな顧客接点と、IoTツールを組み合わせ、低コストで実効性の高いオンリーワンの見守りサポートを提供している」と川野氏は語る。
進化するためにもソラコムのテクノロジーを使っていく
続いてハローライトの紹介。インターネット接続できるハローライトの試作品ができたのは、今から6年前の2015年にさかのぼる。当時はインターネットに接続するための装置が別途必要だったため、コストや設定の敷居が高かったが、3年間かけて研究開発と実証実験を繰り返したという。そんな中、ソラコムとの出会いがあり、LEDとSIMの一体化に成功し、2018年12月にIoT電球のHelloLightが誕生。マーケットの反響が大きかったことを受けて、2019年にハローライトを起業することになる。
日本の高齢者は世界でもっとも高い水準の人口比28.4%で、そのうち約700万人が一人暮らし。こうした高齢化社会の課題を解決するのがHelloLightの役割だという。通信機能を搭載しているので、WiFiも、機器も、工事も不要で、電球を交換するだけ。家の景色も一切変わらないというメリットがある。鳥居氏は、「お年寄りの活動がわかれば、安心して住居を貸せるし、元気であることがわかれば、電話連絡も減らせる。生活リズムがわかれば、健康状況も予測できる」と語る。今後は倉庫やビニールハウス、車庫などでの防犯用途で利用するために人感センサーを搭載しきたいという。
こちらもソラコム二神氏による質疑応答が行なわれた。ヤマト運輸からの話があったときのインパクトについて鳥居氏は、「ヤマト運輸は日本で一番、玄関先でお客さまとつながれる会社だと思っている。そんなヤマト運輸さんがHelloLightを使ってもられば、全然違う可能性が拓けると感じた」と語る。
サービスの評価について川野氏は、「電球を交換するだけなので、ご高齢の方にとってもシンプルでわかりやすい。ヤマト運輸が提供することで安心して使えるという声も頂戴しています」と語る。最近は、個人ユーザーや不動産会社、自治体からの問い合わせも増えており、サービスの拡がりを感じるという。
最後、ハローライトの鳥居氏は「HelloLightはソラコムがなければ生まれてこない製品。APIも使いやすいし、どんどん進化している。(HelloLightは)テクノロジーの塊なので、われわれが進化していくためにもソラコムのテクノロジーも使わせてもらい、みなさんが考えてないものを作っていきたい」とソラコムを評価した。