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業界人の《ことば》から 第445回

ハイブリッドワーク時代を見据え、進化するWebex

2021年08月10日 09時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

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ハイブリッドワークに対応できる環境の整備が急務に

 シスコシステムズでは、未来の働き方は、オフィス勤務、在宅勤務、リモートワークを組み合わせたハイブリッドワークになると予測する。

 シスコシステムズの中川社長は、「日本においても、確実にテレワークが進展し、働き方に対する意識が変化している。そして、ワクチン接種の広がりなどにより、やがて経済活動が回復すると見込まれるなか、コロナ後の働き方は、全員がオフィスに戻るのではなく、バーチャルとリアルが共存するハイブリッドの世界が定着するだろう」とみる。

 シスコシステムズは、日本においても、コロナ前からテレワークによる働き方が進んでいた企業の1社であった。それでも、コロナ前には7割以上の社員が毎日オフィスに通っていたという。

 コロナ禍において、改めて日本の社員を対象に調査したところ、今後、毎日オフィスで働くことを希望している社員は、わずか2%に留まったという。その一方で、約8割の社員が、月2、3回程度、必要な範囲で出社したいという意思を示したという。

 「かつてのようなオフィス中心の働き方には戻らない」というのが、中川社長が出した答えだ。

 そして、中川社長が語るように、Webex Suiteへの進化は、ハイブリッドワークを前提に、バーチャル環境であっても、対面以上の体験できるようにすることを目指したものだ。

 同社によると、コロナ前には、リモートからの参加者がいる会議は8%であり、残りの92%が対面の参加者だけの会議だった。だが、コロナ後には、少なくとも1人の参加者がリモートで出席している会議が98%になると見ている。
「これまでの会議は、リモートでの参加はサブであったが、これからの会議は、リモートの参加者が中心になってくる。オフィス勤務、在宅勤務、リモートワークのすべてがイコールの関係で仕事をしたり、議論をしたりといったことが前提となる」(シスコシステムズの石黒執行役員)

 ただ、それを実現する上では、いくつもの問題があるという。

 そのひとつが、これまでのオフィスの会議室は、外部に接続することを前提に設計されておらず、いまだに80%の会議室では、最適なオンライン会議を行えない点だ。

 「会議室がハイブリッドワーク用に設計されていないため、それを解決する必要がある」というのが、企業がこれから直面する課題になる。

 コロナ前の働き方改革の中心は、出社を前提としてオフィスの働く環境を充実させることが中心になりがちだったが、コロナ禍においては、在宅勤務などによるテレワークに最適化した環境づくりが急務となった。そして、これからは、ハイブリッドワークに向けた環境づくりに投資をしていかなくてはならないというわけだ。

 シスコシステムズでは、Webex Suiteへの進化のほかに、コラボレーション専用端末として、Webex Desk CameraやWebex Desk Pro、Webex Desk Hub、Webex Roomなど、個人ユースから数10人規模の会議室などで利用できる製品をラインアップ。オールインワン卓上型、フリーアドレス型、USB型、オフィス設置型、パーソナル型といった用途別の提案を通じて、ハイブリッドワークの実現を支援する考えだ。

 そして、日本の企業からのニーズが高まっているのが既存のデバイスやアプリケーションとの連携を強化だ。シスコシステムズでは、Webex Suite に関するAPIとSDKを提供。今後、国内企業とのパートナーシップにより、日本ならではのアプリケーションとの連動やニーズに則したカスタマイズにも対応する姿勢をみせる。

 また、ハイブリッドワーク支援特別プランを強化し、これを「Active UserFlex3.0」として提供。1000人や1万人の企業であっても、導入初年度は40人分のライセンスを購入するだけで、全社員が、会議の主催を含む、コラボレーションの全機能を、制限なく利用できるようにし、ハイブリッドワークへの移行のハードルを引き下げる。

 もちろん、Webex Suiteの機能強化も継続的に進める考えだ。

 「Webex Suiteを通じて、かんたんに設置し、利用でき、運用が可能な環境を提供するとともに、さらに、安全にあらゆるものとつながり、効果を見える化できるようにする。これにより、ハイブリッドワークの定着を支援したい」とする。

 Webex Suiteは、単に機能を統合したり、機能を進化させたりしただけでなく、未来の働き方であるハイブリッドワークの実現に向け、必要とされる存在になることを目指したものだといえる。

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