スペックが抑えられているものの、品質はハイエンドと変わらない
5万円台で買える15.6型ノートPC「LIFEBOOK WAB/E3」、リーズナブルでも良質なワケ
2021年09月30日 15時00分更新
およそ7万円の15.6型ノートPC「LIFEBOOK WAB/E3」
LIFEBOOK WAB/E3は、富士通クライアントコンピューティングの15.6型ノートパソコン。前回のレビューでは、一部のスペックを抑えることで低価格を実現しつつ、パソコンの基本性能を国産ならではの高い品質でしっかりと確保したモデルだと評価した。
今回は外観や使用感などのより細かいに迫り、LIFEBOOK WAB/E3の魅力を紹介しつつ、それをとおして「ノートパソコン選び」という行為について考えてみたい。
まずはざっくりと本機のスペックをチェックしよう。LIFEBOOK WAB/E3の主なスペックはAMD 3020e(定格1.2GHz、最大2.6GHz)、AMD Radeonグラフィックス(CPU内蔵)、4GBメモリー、256GB SSD(PCIe接続)、15.6型ディスプレー(1366×768ドット)などとなっており、IEEE 802.11a/b/g/n/ac(MU-MIMO対応)、Bluetooth 5.1でのワイヤレス通信にも対応する。
インターフェースの豊富さは、LIFEBOOK WAB/E3の特徴の1つで、USB 3.1(Gen2)Type-C端子、USB 3.1(Gen1)Type-A端子×2、USB 2.0 Type-A端子、HDMI出力端子を搭載するほか、SDカードスロットと光学式のDVDスーパーマルチドライブを搭載する。バッテリー駆動時間はJEITA2.0規格で、およそ8.4時間と必要十分だ。
LIFEBOOK WAB/E3のサイズはおよそ幅361×奥行き244×高さ27mm、重量はおよそ2.0kgとやや大きめで、モバイルマシンというよりは、ほとんど据え置きに近い使い方をするタイプのモデルだ。とはいえ、2.0kgはそれほど重くもなく、オフィス内や、家庭内を持って歩く分には、苦労することはない。
外観のデザインにクセはなく、すっきりと仕上げられている。どちらかというと、ことさらに見た目のスタイリッシュさに気を配っているというより、ノートパソコンに求められる機能を、実直に詰め込み、すべてを最適な位置関係に整えたといった方が適切だ。狭ベゼルや、フレームいっぱいに配したキーボードなど、現代的なノートパソコンらしいデザイン要素は持っているが、昔ながらのノートパソコンのよさも併せ持っていて、真面目な印象のデザインともいい換えられる。
キーボードの作りのよさも、LIFEBOOK WAB/E3の特筆すべき部分だ。配列は標準的なJIS 108キーで、10キーも搭載。フレームのギリギリまでレイアウトしているため、キーピッチは18.4mmと広く、かつアルファベットキーと10キーのあいだに大きな隙間を設けている。キーストロークも2.5mmとノートパソコンとしてはかなり深い。打鍵感はさすがの富士通製ノートパソコンといえる完成度で、ぐらつきが少なく、安定感に優れている
リーズナブルなノートパソコンを選ぶということ
ノートパソコンを選ぶときに、何を重視するだろうか。スペック、価格、見た目、使用感を含めたデザイン、ブランドなど、人によってかなりの差がある。
だが、予算の範囲で最良の製品を選びたいという点は、誰しもに共通しているはずだ。ノートパソコン選びは、しばしば予算と希望スペックが合致しないことがあるが(ほしいスペックはなぜか予算を超えてくる……)、低価格帯においては、「どの部分にこだわりたいか」という考え方が必要だと思う。
すなわち、ハイエンドクラスのノートパソコンなら、スペックの高さ故に対応できる作業の範囲も広く、その時点でのメーカーの最高の技術が詰め込まれている。そのため、後になって想定外の不満が出てくることも少ない。
しかし、低価格なノートパソコンには、必ず低価格な理由がある。CPUやGPUのクラスやメモリー容量など、分かりやすく数値にできるポイントはもちろん、塗装の品質や、筐体の設計の緻密さといった部分にも、それは表れる。より上位のモデルと同等の筐体の品質を持ちつつも、スペックを落としているからリーズナブルなのか、スペックを限界まで高めつつ、そのほかの部分でコストを落としているからリーズナブルなのか。その部分を考えると、製品のメリットとデメリットが詳細に見えてくる。
上記の例をLIFEBOOK WAB/E3に当てはめると、筐体の強度やインターフェースの豊富さ、キーボードの品質の高さ、ヒンジの硬さや排熱機構といった、ノートパソコンの基本的な機能については、同社の高価格帯のノートパソコンと比較しても遜色がなく、しっかりと作り込まれている。
その分、15.6型ディスプレーで1366×768ドットというディスプレーの解像度の低さや、AMD 3020eと、高負荷な作業には向かないCPUを搭載している点、Wi-Fi 6に対応しない点など、主にスペックの面で、価格を大きく抑えているといった印象だ。
ここから言えるのは、LIFEBOOK WAB/E3は、写真編集や映像編集、映像の書き出しや製図、高い描画性能が求められるゲームなど、高負荷な作業には対応しにくいノートパソコンだが、そういった作業をする必要がないのなら(スペックが使用感に影響を与えない範囲で利用するなら)、定価7万4800円、キャンペーン価格5万4800円(9月30日現在)という価格にも関わらず、ハイエンドノートパソコンと同等の使用感が得られるということである。
もしも高負荷な作業をする機会がなく、これからもないことがわかっていて、予算を抑えたノートPC選びをしたいと考えているなら、LIFEBOOK WAB/E3は最良の選択肢のひとつになるだろう。
「どの部分にこだわりたいか」という前述の文章に当てはめれば、国産メーカーならではの、ノートパソコンの基本的な作りのよさにこだわりたい人に、とくにオススメしたい製品だ。
試用機の主なスペック | |
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CPU | AMD 3020e モバイル・プロセッサー |
グラフィックス | AMD Radeon グラフィックス |
メモリー | 4GB |
ストレージ | 256GB SSD(PCIe) |
光学式ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
ディスプレー | 15.6型ワイドHD(1368×768ドット) |
通信規格 | 無線LAN(IEEE 802.11a/b/g/n/ac)+Bluetooth v5.0、有線LAN(1000BASE-T) |
インターフェース | USB 3.1 Type-A×2、USB 2.0 Type-A、USB 3.1 Type-C、SDカードリーダー、マイク・ラインイン・ヘッドフォン・ラインアウト・ヘッドセット兼用端子、HDMI出力端子 |
内蔵カメラ | 約92万画素ウェブカメラ |
バッテリー駆動時間 | 約8.4時間 |
サイズ/重量 | およそ幅361×奥行244×高さ27mm/約2.0kg |
OS | Windows 10 Home(64bit) |