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多様化するニーズに応えて進化した法人向けスマートフォン「arrows BZ02」

2021年07月26日 11時00分更新

文● 村元正剛(ゴーズ) 編集●ASCII

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 FCNTが、法人向けスマートフォン「arrows BZ02」を8月下旬に発売する。現行の「arrows BZ01」の後継機種で、チップ性能を向上させて、メモリー容量を大幅に増やし、操作性の強化が図られている。BZ01に引き続き、プライベートLTE規格のsXGPに対応し、新たに「Dual SIM」を採用することで公衆回線とsXGP内線の両方を同時に使えるなど、利便性も向上させている。ここではarrows BZ02を進化ポイントを中心にレビューし、FCNTが新たに開始した「ワイド保証サービス」「レンタルサービス」も紹介する。

ビジネスの現場で「arrows BZ」シリーズが選ばれる理由

 法人向けスマートフォン「arrows BZシリーズ」は、2014年12月に初代モデル「ARROWS M305/KA4」が発売された。通信事業者の回線契約は不要で端末だけを購入でき、導入企業のニーズに応じたカスタマイズや技術サポートを受けられる販売方式は現在も継承されている。

 初代モデルのARROWS M305/KA4には、アクセスポイントの切り替えをスムーズに行ない、快適な通信を維持する「Wi-Fiハンドオーバー」が搭載された。2016年12月に発売された「ARROWS M357」では、米国国防総省の調達基準であるMIL規格14項目をクリアする堅牢性を強化。さらに、2019年11月に発売されたarrows BZ01は、構内PHSの後継として規格化されたプライベートLTEのsXGPに対応した。これらの機能はさらなる改善を経て、最新のarrows BZ02にも受け継がれている。

 数年前までは、法人向けの通話・通信端末は、限られた用途をこなす専用機が中心だった。たとえば、通話機能だけが必要な場合、機能が少なく安い端末が求められる傾向があった。しかし、近年の働き方改革や業務の効率化のために、スマートフォンが活用されることが増え、さらに昨年来のコロナ禍によって、衛生的に使えることや、リモートワークでの利便性も重視されるようになってきた。ビジネスの現場のニーズに応えてアップデートを続けていることが、「arrows BZシリーズ」が多くの企業に採用されている理由だろう。

arrows BZ02はここが進化した!

 それでは最新モデル、arrows BZ02の進化点をチェックしていこう。ディスプレーは前モデルと同じ5.6型で、持ちやすいサイズ感や堅牢性を継承。SoCはSnapdragon 450からSnapdragon 460へと進化し、CPU性能は1.5倍、GPU性能は1.3倍の向上が見込まれる。メモリーは3GBから4GBに増え、データサイズが大きめの業務アプリでもサクサクと動作する。ストレージも32GBから64GBに倍増された。

本体サイズは約148×71×9.4mmで、重さは約160g。5.6型の有機ELディスプレーの解像度はHD+(720×1480ドット)。CPUへの負荷を軽減するために、前モデルのフルHD+(1080×2220ドット)からあえて下げて、操作性と電池持ちを向上させている

背面には指紋センサーと1300万画素カメラ、FeliCa/NFCを搭載。カメラを必要としない場合は、使えないようにするカスタマイズが可能

片手で楽に持てて、ディスプレーの視認性も高い

 最も注目すべきなのが電池持ち。arrows BZ01のバッテリー容量は2780mAhだが、BZ02は3600mAhへと大幅にアップ。単純計算で、3割ほどの電池持ちの向上を期待できる。さらに、電池の劣化を抑える「電池長持ち充電」という機能を搭載。スマートフォンに使われるリチウムイオン電池は、100%まで頻繁に充電したり、100%になっても充電をし続けると、電池の劣化を早める原因になる。「電池長持ち充電」は、あらかじめて設定した容量で充電をストップする機能で「50%」または「85%」に設定可能。「85%」に設定した場合でも、BZ01よりも多い3060mAhまで充電でき、電池持ちと同時に、電池の寿命も延ばせるわけだ。

「電池長持ち充電」は50%または85%で充電を停止する設定が可能

新機能 その1 Dual SIMに対応

 arrows BZ01から引き続き、プライベートLTE規格のsXGPに対応していることは先述したが、新たに2枚のSIMを挿して、2つのネットワークを同時に利用できるDual SIMにも対応した。通信事業者の公衆回線と、自社で運用するsXGPの両方を使うことができ、sXGPを使わない場合は公衆回線のSIMを2枚挿して、業務によって使い分けることも可能だ。なお、公衆回線はドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの全事業者の4Gに対応している(5Gは非対応)。

本体上部のSIMスロットには2枚のSIMを装着できる

大手キャリアや主要なMVNOのAPNがプリセットされている

新機能 その2 FASTメモで素早くメモが取れる

 ロックを解除しなくても、素早くメモがとれる「FASTメモ」も追加された。コンシューマー向けのarrowsシリーズで人気の機能で、ロック画面の端からスワイプするだけで、「音声」「テキスト」「写真」のメモがとれる。残したメモは、通知パネルやロック解除後に「FASTメモ」アプリで確認できる。

「FASTメモ」は画面端から内側にスワイプし、アイコンを選択することで、使いたいメモを起動できる

メモはいつでも確認でき、テキストメモは編集も可能

新機能 その3 オンライン会議の不便さを改善する
オンラインコミュニケーションマネージャー

 リモートワークの普及により、音声通話だけでなく、ビデオ通話やオンライン会議が必要となる場面も増えてきた。その際の不便さを改善する「オンラインコミュニケーションマネージャー」という新機能も追加された。「Zoom」「Webex Meeting」「Microsoft Teams」といったオンライン会議アプリはもちろん、「Duo」「LINE」などでのビデオ通話時にも起動可能。会議中の通知や着信を制御したり、省電力モードに切り替えたりできる便利な機能だ。

 録画をしている大事な会議中に、通知で資料が読みにくくなったりするときには「通知抑止」、会議中に別の電話がかかってきて困ることがあるが、そんなときは「着信SMS」、スマホで会議に参加しているときにバッテリー切れが気になるが「省電力」で稼働時間を延ばすこともできる。さらに、スクリーンショット機能はセルフタイマーも備えている。

「Zoom」などのオンライン会議、ビデオ通話アプリの起動中に「オンラインコミュニケーションマネージャー」を表示できる

「オンラインコミュニケーションマネージャー」でできる設定・機能

新機能 その4 マスクが欠かせない時代だから
マスク通話モード

 新型コロナウィルスの感染防止のために、しばらくはマスク着用が欠かせなさそうだが、通話相手がマスクをしていても聞き取りやすい「マスク通話モード」も追加された。様々なマスクでの音声特性を分析し、マスクによる周波数の落ち込みを改善して、肉声に近づける技術が用いられている。なお、あくまでもレシーバー側の機能なので、相手に自分の声が聞こえやすくなるという機能ではない。

「マスク通話モード」をオンにして、通話相手にマスクを着けてもらって音声を確認してみた。マスクによる声がこもるのが軽減されたためか、非常にクリアな音で聞こえた

 なお、arrows BZ01に引き続き、泡ハンドソープで洗ったり、アルコール除菌シートで拭いたり、医療向けに耐薬品性能などを備えているが、さらにボディーにも抗菌加工が施されて、SIAA(抗菌製品技術協議会)の認定も受けているので、より清潔に使えるようになった。

従来モデルで好評な機能はそのまま継承

 最新モデルとは言え、従来モデルから継承されている機能や仕様も多い。たとえば、初代モデルから搭載されているWi-Fiハンドオーバーは、導入企業からの評価が高い機能で、精度を向上させつつ、継続されている。

 スマートフォンとしては珍しく、ストラップホールを備えていることも利点。ケースに入れずに、軽量・コンパクトなままで、ネックストラップを着けて、首からぶら下げたりできる。病院などでは素早く電子カルテをチェックできるし、ポケットに入れて落とすこともないので、導入企業から好評とのこと。

右側面に電源キーと音量キーを搭載

底面にUSB Type-Cポートとイヤホンジャックを搭載し、左下にはストラップホルダーを備えている

 画面端からスワイプして呼び出せる「スライドインランチャー」や、カメラを「拡大鏡」として使える機能も引き続き搭載。従来からarrows BZシリーズを使っている人は、使い慣れた機能をそのまま使い続けることができる。

片手で素早く表示できる「スライドインランチャー」は、表示位置やアプリを変更するなど、使いやすいように設定可能

「拡大鏡」や「ブルーライトカット」など、業務によっては欠かせない機能は、クイック設定パネルから素早く起動可能

企業の細かいニーズに合わせたキッティングにも対応

 導入する法人のニーズに合わせたカスタマイズサービスも充実。一例を挙げると、業務に不要なプリインストールアプリを削除したり、カメラ機能やスクリーンショット機能を抑止することも可能。起動画面に自社のロゴを表示させるといった、細かいキッティングも依頼できる。1台だけでも依頼でき、工場内に専用ラインを設けて、大量のキッティングに対応してもらうことも可能だ。

 arrows BZシリーズは、販売開始から2年半、同じモデルを継続して提供することが約束されている。OSのバージョンはAndroid 11だが、原則としてOSのバージョンアップはしないので、導入後に追加購入したい場合も、Android 11を搭載した同一モデルを購入できる(OSのバージョンアップを希望する場合はFCNT側と要相談になる)。また、発売終了後、最長3年間の保守サポートが提供される。つまり、2021年8月に発売される「arrows BZ02」の場合、2024年3月末まで販売が続けられ、2027年3月末まで修理の対応をしてもらえるわけだ。社内のシステムを変えることなく、長期的に運用できるので、業務の効率化にもつながるだろう。

キッティングのフロー図

 なお、OSをバージョンアップしないのは、意図せぬ自動アップデートによって導入済みの業務システムの動作が不具合を起こすことを回避し、安心して使い続けられるようにするため。Android 11向けのセキュリティパッチはFCNTが独自に提供し、ユーザーがその適用をコントロールできるようになっている。

新たにワイド保証&レンタルサービスも開始

 FCNTは、arrows BZユーザーに向けたサービスも強化している。今年3月に始めたのは「ワイド保証サービス」。従来から、保証期間を3年間に延長する「長期保証サービス」を提供しているが、そのサポート内容をさらに手厚くしたものだ。

 「長期保証サービス」は、自然故障の場合は無償で修理してもらえて、水濡れや落下など、ユーザーの過失による故障の場合は有償修理となる。新たに提供された「ワイド保証サービス」では、ユーザーの過失による故障でも5500円(税込)で修理でき、利用回数に制限はない。火災や落雷などによる故障もサポートされる。なお、「ワイド保証サービス」には「長期保証サービス」の内容がまるごと含まれるので、ユーザーに責任がない自然故障の場合は無償修理となる。

 5月からは、arrows BZシリーズをレンタルできるサービスも始まった。arrows BZ本体だけでなく、充電用のACアダプター、スマートフォンケースも付属し、先述の「ワイド保証サービス」も付帯するので、安心して使うことができる。

サービスインしたばかりのレンタルサービス

 arrows BZ02を試しに使ってみたい企業はもちろん、「導入時の費用負担を平準化したい」「資産管理が大変なので資産化したくない」といったユーザーにも便利だろう。最短3ヵ月から利用できるので、イベント開催時など、一定期間だけ利用したい場合にも好都合だ。

 興味がある人は以下レンタルサービスのサイトをチェックしてほしい。

■関連サイト

【まとめ】最大の利点は、長期的に安心して運用できること

 arrows BZ02は、前モデルのBZ01で好評だった機能をそのまま受け継ぎ、基本性能を向上させて、ニューノーマル時代に求められる新機能を追加したスマートフォンだ。法人向けモデルなので、スペックは最先端ではなく、むしろ抑えめ。これといって目立つ機能があるわけでもない。あくまでも「安心して長く使い続けられること」を重視して開発された、極めて硬派なモデルと言えよう。業務に合わせてカスタマイズができるので、さまざまな業種のビジネスの現場で活躍すること請け合いだ。

「arrows BZ02」の主なスペック
メーカー FCNT
ディスプレイ 5.6インチ有機EL
画面解像度 720×1480ドット
サイズ 約148×71×9.4mm
重量 約160g
CPU Snapdragon 460
1.6GHz×4、1.8GHz×4、オクタコア
内蔵メモリー 4GB
内蔵ストレージ 64GB
外部ストレージ microSD/microSDHC/microSDXC
(最大1TB)
OS Android™ 11
カメラ アウト:約1310万画素
イン:約800万画素
対応バンド(4G) 1/3/5/8/19/26
無線LAN 802.11a/b/g/n/ac(5GHz対応)
バッテリー容量 3600mAh
FeliCa/NFC ○/○
GPS GPS、GLONASS、BeiDou、Galileo、QZSS(みちびき)
ワンセグ/フルセグ ×/×
防水/防塵 ○/○
(洗える/アルコール除菌/耐薬品)
生体認証 指紋認証
Dual SIM
(microSDは排他使用)
USB端子 Type-C
カラバリ ブラック

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