セカンドタイム表示と、アラーム機能を搭載
明るいバックライトで暗所でも時刻がハッキリ見える
モードは通常の時刻表示以外に、アラームとセカンドタイム表示機能を搭載している。本体左下のモードボタンを押すと、3つのモードが順に切り替わる仕様で、この操作感もまたレトロだ。しかし、操作感はさすが現代の製品。意図せず押そうとしなければ押せないが、いざモードを変えようと思えば、軽く押しただけで確実にモードが切り替わる。
セカンドタイムを表示している際は、通常モード時に曜日が表示される部分に「T2」という文字が表示されるので、いま、どちらの時間帯を見ているのかが、ひと目でわかる。
バックライト機能も優秀だ。参考までに、表示内容が見えないレベルになる暗所に本製品を持ち込んでみた。その様子が上の写真だ。そして、バックライトを点灯させた状態が、下の写真である。
どうだろうか? 写真からも、かなり視認性がいいことがわかると思う。試用しているスモークステンレススチール(FS5846)モデルはネガティブディスプレーを採用しているので、文字の部分が青緑色に浮かび上がる。
アナログの腕時計が、針に塗布されたルミノバや、かつてはトリチウムなどで暗所での視認性を確保していたのに対し、デジタルの腕時計は昔からバックライトを搭載してきた。デジタル時計の歴史は1970年代に始まったとされているが、1980年代の世の中では、人々は「デジタル表示」という新しさにときめき、意味もなくバックライトを光らせて楽しんでいたかもしれない……そのようなことを思わせる、これもまたどことなくレトロ感のある発光色だ。
1本買っておきたい、コレクションにもおすすめな製品
RETRO DIGITALの魅力をまとめれば、現代のスタイルに完璧にフィットする実用性を保ちつつ、80年代を彷彿させるレトロ感を携え、かつモダンなデザインに落とし込んでいるという点になるだろう。しっかりと作り込まれているのに、1万5400円と手に取りやすい価格を実現している点もうれしい。
近年ではスマートウォッチも十分に普及しているし、よく言われるように、スマートフォンも時刻を知る手段としての役割を果たしている。結果として、腕時計を着けるという行為のファッション的な要素や、腕時計の物としての魅力といった側面が、かつてよりも一層引き立っているように思える。
つまり、身につけていて、または所有していて嬉しいものであるかどうかが、価格の大小を問わず、腕時計の重要なポイントになっていると思うのだ。そうした視点から見ると、RETRO DIGITALは80年代の空気感を現代に甦らせているという面白さを持っているし、現代のファッションにも違和感なく溶け込み、さりげないアクセントになる。視認性も抜群で、実用性も兼ねている。
すこし人とは違った腕時計がほしいという人の最初の1本や、すでに複数の腕時計を持っている人の新たなバリエーションとしてはもちろんオススメだが、コレクターにとってはフォッシルというブランドが自社の創設年の空気感を再現した記念碑的なモデルとして、日頃からスマートウォッチを使っている人にも、時に80年代のテクノロジーに思いを馳せるきっかけとして、ぜひ手に取ってほしいモデルだ。