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アクセス集中への対応とパーソナライズ要求の両立目指し、Cookie処理をエッジにオフロード

「BUYMA」で「Akamai EdgeWorkers」早期採用、エニグモが語る評価

2021年06月21日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 アカマイ・テクノロジーズ(Akamai Technologies)が、2021年6月15日から18日の日程で開催したオンラインカンファレンス「Akamai TechWeek 2021 Japan」。2日目には、エッジサーバーレス基盤「Akamai EdgeWorkers」を2020年12月にいち早く導入し、自社サービス「BUYMA(バイマ)」の運営に活用しているエニグモの木村慎太郎氏が出席。BUYMAのサービス成長に伴って生じていたインフラ課題、その課題解消を目指したEdgeWorkersの採用、そしてユーザー視点での評価を語った。

エニグモが提供するファッションマーケットプレイス「BUYMA(バイマ)」(buyma.com)

エニグモ サービスエンジニアリング本部 データテクノロジーグループ マネージャの木村慎太郎氏

世界のファッションアイテムを購入可能、アクティブ会員数は130万人を突破

 木村氏は2013年の入社後、WebアプリケーションエンジニアとしてBUYMAの開発に従事し、それ以来一貫してBUYMAの運営にエンジニアとして携わってきた人物だ。BUYMAのユーザー規模拡大に伴い、2015年ごろからシステム負荷対策のためのリファクタリング/リアーキテクティングを担当し続けている。さらに現在では、BUYMAの検索機能を強化する目的で機械学習や全文検索の基盤開発/運用を手がけるデータテクノロジーグループを立ち上げ、マネージャーとして同グループを率いている。

 エニグモが提供するBUYMAは、世界中のファッションアイテムを購入できるマーケットプレイスである。世界各国のパーソナルショッパーが出品者となってBUYMAに出品し、購入者の注文を受けてから現地で買い付けを行うというユニークな“越境CtoC”モデルを採用することにより、国内では入手困難なアイテムなど、購入者一人ひとりにとって価値の高い商品を購入できる。エニグモでは、このBUYMAを“スペシャルティマーケットプレイス”と位置づけている。

BUYMAのビジネスモデル。世界各国のパーソナルショッパーが出品し、購入者の注文を受けて買い付けを行う点が大きな特徴

 現在のBUYMAでは、164カ国、約17万人のパーソナルショッパーが500万点以上の商品を出品しており、アクティブ会員数(過去1年間に購入履歴のある会員数)は130万人を突破している。

 「とくに最近ではコロナ禍による“STAY HOME”のトレンドもあり、家具やインテリア雑貨の需要も拡大している。BUYMAはスタートから17年目のサービスだが、現在もなお堅調な成長を続けている」

 アクティブ会員数の増加にともなって、サービストラフィックも増加を続けてきた。BUYMAのサービスインフラは、オンプレミスデータセンターで稼働しており、仮想サーバーは200台以上。その8割ほどを占めるWebアプリケーションサーバー(本番環境用)では、ピークタイムに分間およそ5万リクエストをさばいているという。

 「すでにサービス規模がデータセンターの設計上限に達しつつあり、これ以上のスケールアウトが困難になっている。そこで来年(2022年)中の完了をめどとして、AWSへのマイグレーションを進めている」

 なお、BUYMAの開発と運用に携わるエンジニア数は40名ほど。テストやデプロイの自動化、開発環境/ツールの整備といった部分にも注力しており、木村氏は「その成果として、毎週40件ほどのデプロイが可能な開発スピードを維持している」と説明する。

過去10年間のアクティブ会員数の推移と、サービスを支えるインフラの規模

「アクセス集中への対応」「パーソナライズ対応」という2つの事業課題

 それではなぜ、BUYMAのサービス基盤にEdgeWorkersを導入することになったのか。木村氏はその背景として、直面している2つの事業課題を挙げた。

 まずは「アクセスの集中を伴うマーケティング施策への対応」だ。具体的には、BUYMA会員に対するモバイルへのプッシュ通知、フラッシュセール(ブラックフライデー、サイバーマンデー)といった、アクセス集中を引き起こすマーケティング施策を実行しても問題の生じないサービスインフラを用意する必要があった。

 「プッシュ配信増加の背景には、時代やサービス成長フェーズの移り変わりがある。BUYMAの注力ポイントは、TV CMのようなマスマーケティング(新規顧客の獲得)からOne to Oneマーケティング(既存顧客のリテンション)へと変化している。LINE公式アカウントを登録いただいているユーザーはロイヤルティも高く、一斉送信した場合はTV CM放映以上のアクセス集中が生まれる。また、毎年11月末から12月にはフラッシュセールを実施するが、期間や商品(在庫)に限りがあるので開始直後にはアクセスが集中する」

 こうしたアクセス集中に対応するために性能改善を重ねているものの、前述したとおりスケールアウトも難しくなり、会員数の増加ペースに追いつけない状況があるため、セール開始後などにはサイトパフォーマンスが不安定になっていたという。

プッシュ配信、フラッシュセール開催といったマーケティング施策を実施するために、アクセス集中時のトラフィック負荷対応が必要となっている

 もう1つの事業課題は「プライバシー保護とパーソナライズの両立」である。マーケティング施策やUX(ユーザー体験)のパーソナライズとユーザーのプライバシー保護対策は、どちらも「時代の要請」となっているが、具体的な取り組みにおいては相反する部分もあり難しい。

 特に、プライバシー保護に対する意識の高まりから、近年では主要ブラウザにおいて、これまで使われてきたユーザー識別手法(ブラウザフィンガープリント、サードパーティCookie、クライアントサイドCookie)が制限/規制/廃止される流れとなっている。そのため、規制外として残るファーストパーティCookieを通じてデータ収集を行い、ユーザーごとのパーソナライズに生かすことが重要となっている。

 木村氏は「これらをまとめると、アクセス集中下においても、自らユーザーを追跡し、データを収集する必要性があった」と述べ、これらの課題解決策としてEdgeWorkersを採用することにしたことを説明する。

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