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世界4000カ所以上のエッジ+分散DC+コアDCで構成する「Akamai Connected Cloud」が新たな事業の柱に

アカマイCEO、2023年は独自の“超分散型”クラウドサービスに注力と強調

2023年03月06日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 「Akamaiがビジネスを始めた25年前はCDNサービスが最大のプロダクトラインだった。しかし現在はセキュリティサービスがそれに取って代わって最大となっている。そして今後5年から10年を見据えると、おそらくコンピュートサービスが最大の柱になるのではないかと考えている。コンピュートサービスは成長が非常に速く、市場も大きいからだ」(Akamai CEOのトム・レイトン氏)

 アカマイ・テクノロジーズ(Akamai)は2023年3月2日、同社 CEOで共同創業者でもあるトム・レイトン氏らが出席する2023年の事業戦略発表会を開催した。今年は特に、2月に発表した“超分散型”の新しいエッジ/クラウドコンピューティングサービス「Akamai Connected Cloud」に注力していく方針で、今後のビジネスにおける「大きな柱」になることを期待しているという。

これまで提供してきたCDN、セキュリティ、エッジコンピューティング(FaaS)といったサービス群もすべて「Akamai Connected Cloud」基盤に統合し提供する

米Akamai Technologies CEO兼共同創業者のトム・レイトン(Dr. Tom Leighton)氏、アカマイ・テクノロジーズ 職務執行者社長の日隈寛和氏

4000カ所以上のエッジと分散DC、コアDCを統合したアーキテクチャ

 Akamai Connected Cloudは、135カ国4200カ所以上に展開する超分散エッジコンピューティングネットワーク「Akamai Intelligent Edge Platform」をエッジサイトとして、同じバックボーン上に24のコアサイト、50以上の分散型サイト(いずれも2023年内の計画数)を加えて構成される、新たなクラウドコンピューティング基盤を用いたサービスとなる。なお日本では東京、大阪(予定)にコアサイトが設置される。

Akamai Connected Cloudは、用途の異なる3種類のサイトで構成される新しいエッジ/クラウドコンピューティングサービス

 Akamaiではこれまでエッジサイトにおいて、画像/動画の自動最適化処理やサーバーレス型のFaaSである「Akamai EdgeWorkers」、キーバリューストアの「Akamai EdgeKV」などのサービスを提供してきた。これらに加えて、コアサイトにおけるフルスタックのコンピューティング/ストレージ/マネージドデータベースサービス、分散型サイトにおける仮想マシン/ストレージサービスも提供する。同じバックボーン上にあるひとつのプラットフォームから、これらのサービスが統合されたかたちで提供されることになる。

 こうした超分散型エッジ/クラウドプラットフォームを構築することで、ユーザーにより近い地点からのサービス提供による低遅延(低レイテンシ)なワークロードと、分散/コアサイトで運用する汎用ワークロードの統合的な実装を狙う。発表では「エンドユーザーに対するレイテンシを1桁ミリ秒に抑えながら、グローバルなリーチを実現できる」としている。

 想定されるユースケースとしては、IoTアプリケーション、コネクテッドカー、ゲーミング、メタバース、Eコマース、メディアのリアルタイムトランスコーディングなど、低レイテンシが求められる用途などを第一に挙げている。

他のハイパースケーラーとの大きな違いは「低レイテンシの実現」

 レイトン氏は、AkamaiはこれまでFaaSを提供するエッジコンピューティングのリーダーであったが、今後はコアクラウド領域にもサービスを拡大していくと説明した。2022年に買収したLinodeが保有していた11のサイト、およびクラウドコンピューティングサービスを統合することで、ハイパースケーラーが提供するような、コンテナ実行環境/Kubernetes、仮想マシン環境などもas a Serviceで(マネージドサービスとして)提供する。

 「つまり、ハイパースケーラーが提供するクラウドサービスの利用を検討する際に、Akamaiもその選択肢に加わるということだ。Akamaiが買収したLinodeは、開発者フレンドリーで使いやすいコンピューティングプラットフォームを、手ごろかつ透明性のある価格で提供してきた。さらに買収後には、ロケーション(サイト)の拡大にも投資している。これにより、ミッションクリティカルなワークロードを、高いパフォーマンスとスケーラビリティ、信頼性をもって利用いただけるようになった」(レイトン氏)

Akamaiが提供してきたエッジコンピューティングサービス、買収したLinodeが提供してきたクラウドコンピューティングサービスを融合させた、新たなクラウドサービスを提供

 レイトン氏は、ハイパースケーラーのクラウドサービスと比較した場合の優位性について、通信レイテンシの低さとユーザーエクスペリエンスの向上、大量のデータをエッジで処理することによるクラウドの通信料金(エグレスコスト)の低減などを挙げた。「なぜこの市場参入タイミングなのか」という質問には次のように答えた。

 「Akamaiは、20年以上前からエッジのビジネスを展開してきたアーリープレイヤーだ。そして近年になって、世界の側でエッジやクラウドに対する準備が整ってきた。たとえばメディアのリアルタイムトランスコーディング、ゲーミング、コマースなど、低いレイテンシが求められるようなアプリケーションに対するニーズが高まっている。IoT、5Gとつながるラストワンマイルの部分もそうだ。さらに、現在だからこそ実現できる価格体系というものもある。そこからわれわれは『今こそが適切な(クラウド市場参入の)タイミングである』と判断した」(レイトン氏)

あらゆる業界に「つながる社会」実現のソリューションとして提案

 アカマイ日本法人社長の日隈寛和氏は、今回の新サービスのキーワード、そして他のクラウドベンダーとの差別化ポイントは「Connected」と「超分散処理(Massively Distributed)」だと強調する。

 「自動運転車、IoT、スマートシティといったコネクテッドワールド、インターネットを通じてすべてがつながる(コネクトする)社会を作っていこうという方向性。それを達成するために必要なのが超分散処理。このMassively Distributed、“Distributed”という言葉が、AkamaiのDNAではないかと考えている」(日隈氏)

 日隈氏は現在、あらゆる業界に一貫するトレンドが「つながる社会」であり、そこに対するソリューションとしてAkamai Connected Cloudを打ち出していきたいと語った。

 なお、Akamaiは日本市場において約800社の顧客企業を抱える。そのビジネスを売上比率で見ると、現状(2022会計年度)はCDNが47%、セキュリティが45%を占め、前述したFaaSなどのクラウドコンピューティングは7%にとどまる。ただし、2年前(2020会計年度)と比較するとセキュリティが構成比を大きく伸ばしており、「コンピューティングについてもここから伸びていくのではないか」と、日隈氏は新サービスへの期待を語った。

日本市場の売上比率(左:2020年度、右:2022年度)。WAFなどのセキュリティサービスが急成長している

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