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ジサトラハッチのPCメーカー探訪記

Ryzen搭載ラインアップを拡充するASUS、その理由や初めてRyzen 9を搭載した秘話などを聞いてみた

2021年06月18日 11時00分更新

文● ジサトラハッチ 編集●ASCII

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販売する製品は国の事情に合わせて決めている

編集部 御社のRyzen搭載製品で最も売れた製品を教えてください。

レイラ 日本ではメインストリームのVivoBookシリーズが売れています。ただし、認知度や影響力はゲーミング製品の方が高いです。
 各国でどのジャンルのニーズが高いかにより、販売モデルの出荷数が変わります。AMD製品のシェアが高い国で15.6インチが主流であれば、その手の製品が多くなります。
 また、東南アジアでゲーミングのシェアが多い国であれば、ゲーミングモデルの販売数が多くなります。そのため、一概にどの製品が世界で最も売れたかは言えません。その国によってどういった製品が必要か、それに合わせてAMD製品を組み合わせていくという考え方になります。

編集部 国によって販売する製品、売れている製品が異なるんですね。では、昔に比べて最近のRyzenとRadeonのイメージがどう変わったかを教えて頂けますか。

レイラ Ryzenは2017年に登場して以来、非常にインパクトがあり、Ryzenブランドにより、今までのAMDのイメージが一新しました。パフォーマンスも他社製品に比べて良くなり、世代を重ねるごとに性能が向上しています。
 最初のRyzenは14nmでしたが、最新世代は7nmと微細化しています。これが重要でメーカーとしてはCPUが微細化すると散熱しやすいので、持ち運びしやすい小型のPCが実現しやすくなりました。

編集部 ユーザーさんがAMD製品を購入する理由はどんなところにあるとお考えでしょうか。

レイラ ユーザーさんの選択肢としてAMD製品が増えたのはここ2~3年のことです。そして最初にAMD製品を選択するのは、一番情報を調べるDIYユーザーまたはゲーマーの方々だと思っています。しかし、この2~3年の間にAMD製品の技術が進化して性能が高いため、そうしたパワーユーザーのように詳しくないユーザーにも取り入れやすくなっていると考えいます。
 性能が高いため、情報を知らなくてもRyzenを搭載するVivoBookやChromebookでも自分でやりたいことができるため、自然にAMD製品が選択肢に入ってくる。そのように、AMDの製品が日常のユースにフィットするようになってきているため、選択しやすくなっています。

編集部 発表されたばかりの「Chromebook Flip CM5」は、15.6インチと画面も大きく、CPUに「Ryzen 5 3500C」を採用しています。どういったコンセプトでこういった構成になったのでしょうか。

CPUにChromebookとしては高性能なAMD「Ryzen 5 3500C」(4コア/8スレッド、2.1~3.7GHz)を採用した「Chromebook Flip CM5」。一般的なロースペックなCPUよりも処理性能と内蔵GPU性能が高く、最大11.1時間の長時間バッテリーも備え、動画視聴のみならずゲームプレイも快適としている。ゲームプレイでよく使うWASDキーがハイライトされているのもポイント

「Chromebook Flip CM5」も360度回転するフリップタイプ。シーンによってさまざまな使用方法が可能。また、別売りのUSI規格のスタイルペンに対応。4096段階の筆圧検知により、イラスト制作や文字入力も行なえる

レイラ 今までのChromebookは昔のネットブックのようなイメージが強く、ブラウジングがメインの作業になります。ただし、ブラウジングして何かアプリをダウンロードして実行しようとすると、CeleronやMediaTekといったロースペックのCPU搭載の製品では、落ちてしまうこともあります。
 そのため、より高性能なRyzenを採用することで、ユーザーの生産性を高めるという大きな狙いがあります。たとえば、Chromebookでもクラウドサービスでゲームができますし、画像編集も行なえます。15.6インチという大きな画面は、家で使うことを考えると作業しやすく、生産性を高めてくれます。そしてゆくゆくは、Windows PCの代わりにもなる、そのためのポテンシャルを秘めているのがRyzenだと思っています。

編集部 お話しできる範囲で、今後発売する新製品について教えてもらえますか?

レイラ ASUSが今後フォーカスするのは画面で、ノートPCの画面が15.6インチから16インチになっていきます。今よりサイズが大きくなるのではなく、15.6インチのボディーで画面が16インチになります。画面が大きくなるにも関わらず重くなりません。
 また、今の時代誰もがYouTuberになれるので、ラインアップを一新して、そうした一般的なクリエイター向けの製品を出していくので、ご期待ください。

編集部 いつごろを予定していますか?

レイラ 今年の後半にクリエイター向けの機能を出す予定があります。Ryzenはマルチタスクに強いので、ストリーマーなどにも活用して頂けるのではないかと思います。

編集部 御社のラインアップとしては、画面と一体型のAIO製品もありますが、Ryzenを採用する予定はあるのでしょうか。

レイラ 今年の4月にIntel CPU搭載モデルと一緒にRyzen搭載のAIOを発表しています。

AMD「Ryzen 7 5700U」(8コア/16スレッド、1.8~4.3GHz)を備えた「Zen AiO 24 A5401」は、23.8インチのディスプレーと一体型の最新PC。ワイヤレスのマウス&キーボードを付属し、harman/kardon認定の3W×2のスピーカーを備える。液晶一体型ながらHDMI出力も備え、別ディスプレーを接続して2画面での利用もできる

編集部 なるほど。純粋なタワー型のデスクトップPCの製品は、最近は新製品がないかと思いますが、新しいRyzenを搭載した製品などは予定にあったりするのでしょうか。

レイラ 今年の後半には発売する予定です。

編集部 では、AMDさんに対して何かご要望はありますでしょうか。

レイラ ここ2年間くらいAMDさんの製品は、非常に性能が向上していて、パフォーマンスにおいては文句の付けようがなく、業界をリードしておられます。
 ただし、まだCPUの発熱量がやや他社製品よりも高いです。そのため、さらに発熱量が下がれば、今よりもより軽量で薄型、より駆動時間が長いノートPCが作れるので、今よりも発熱のハードルを下げてもらえると、メーカーとしても開発がし易いです。

編集部 今後発表される新製品にも期待しています。本日はありがとうございました。

 ASUSで話を聞いたように、Ryzenはデスクトップ用だけでなく、モバイル向けの性能も格段に向上し、そのマルチコア性能の割には高コスパで、結果としてRyzen搭載PCを選んでいる人が多いようだ。

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