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社内業務の自動化や可視化を担う次のロードマップ

累積稼働台数5万台を突破した「KUSANAGI」の次の一手

2021年06月11日 08時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 セキュアで高速なWordPress環境を提供する「KUSANAGI」の累積稼働台数が6年間で5万台を突破した。KUSANAGIの開発を手がけつつ、サーバーやアプリケーションの運用を手がけるプライム・ストラテジーに次の方向性について聞いた。

KUSANAGIにAIや自動化を取り入れたプラットフォームへ

 「超高速CMS実行環境」を謳う「KUSANAGI」は、WordPressサイト上で高いパフォーマンスとセキュリティを実現する。OSやDB、各種ミドルウェアまで統合された仮想マシンイメージとして提供されるため、パブリッククラウドを中心に国内外27のプラットフォーム、世界28カ国・198リージョンで利用できる。2015年の公開からの累積稼働台数はいよいよ5万台に達したという。

累積の稼働実績は5万台を突破した

 直近1年ではCentOS8や最新のミドルウェアに対応し、Python3.8によるリファクタリングを行なった「KUSANAGI 9」をMicrosoft Azure上に展開。来期以降を目処に各クラウドへの展開を進めていくほか、ビジネス向けの有償版「KUSANAGI」である(Premium Edition、Business Edition)でも対応を進めていく。

 また、レンタルサーバー大手のエックスサーバーとも技術提携を開始した。仮想マシンやDockerイメージで提供されるKUSANAGIの高速化技術を、レンタルサーバーに導入したユニークなサービスが今度お目見えすることになるはずだ。

 現在、同社はWebシステムの高速化とセキュリティを提供するKUSANAGIをベースに、AIや自動化ツールを取り入れた「KUSANAGI Stack」としてプラットフォームを固めている。このKUSANAGI Stackをベースにプライム・ストラテジーが自社開発・運用したシステムの外販化が、次に説明するロードマップの鍵となる。

既存のWebサイトのニーズとは異なる業務改善や自動化領域へ

 今後の方向性としては、クラウドやAIの隆盛、コロナ渦のテレワークの普及、DXの加速といった昨今の動向を受けて、かなり野心的な製品ロードマップを見据える。

ロードマップ

 まずプライム・ストラテジー社内で利用している運用管理システムである「KUSANAGI Cloud」を「KUSANAGI Cloudエンタープライズ版(仮称)」として一般公開する。これを利用することで、分散配置されたKUSANAGIを一元的に管理することが可能になるという。

 また、KUSANAGI Cloud上に複数のビジネスクラウドの情報を集約・可視化する経営ダッシュボードもサービス化に踏み切る。こちらもテレワーク下のプライム・ストラテジーにおいて内製化されたシステムのプロダクト化になる(関連記事:自社開発CMSで現場向けのダッシュボードを作ったらテレワークの生産性が上がった)。会計や労務、営業、プロジェクト等のうち経営の重要指標となりうるデータを1つのダッシュボードに集約し、リアルタイムに可視化するという。まずはクラウドに親和性のIT業界をターゲットにダッシュボードを展開していく。

KUSANAGIベースの経営ダッシュボード

 さらに、リモート制御技術とAIによる業務の自動化も推進する。同社では、人材採用のプロセスでこれらを活用しており、数万人の中から自動的に適合性の高い候補者を抽出。また、AIによるリコメンドにより、候補者に迅速にアプローチできるようになった。業務工数の削減や適合性の高い候補社の獲得、採用コンテンツの改善なども実現されたという。Webシステムの基盤を支えるシステムから、社内業務の自動化や可視化を担う次のKUSANAGIに注目だ。

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