Web3.0時代のIDaaS「dAuth」を提供するブロックチェーンベンチャーのシビラ、電通グループと資本業務提携
シビラ株式会社
Web3.0時代のIDaaS「dAuth」は自己主権型アイデンティティの標準規格DIDs、VCs、FIDO2に対応できデベロッパーやエンドユーザーがNFTやPIDを簡単に扱えるウォレット機能を備える
シビラ株式会社(本社:大阪府北区、代表取締役:藤井 隆嗣、以下「シビラ」)と株式会社電通グループ (本社:東京都港区、代表取締役社長執行役員:山本 敏博)は、Web 3.0※1 時代における自己 主権型デジタルアイデンティティおよび情報流通インフラの構築・普及に向けて資本業務提携契約を締結致しました。
■ 背景
近年、様々なサービスやプラットフォームが管理するデジタルアイデンティティ(ユーザーに紐づ く情報)をアプリケーション横断的に活用することによって生活の利便性が向上する一方、デジタ ルアイデンティティの乱立や相互運用性不足、事業者からの大規模なアイデンティティ情報漏洩 などにより顕在化したプライバシーリスク、といった問題も生じており、従来のデジタルアイデンティ ティ管理では利便性とセキュリティの両立が困難であることが明らかになってきました。このような 背景を受け、企業などの管理主体を介さずに個人が自身のデジタルアイデンティティをコントロー ルできるようにすることを目指す概念である SSI(Self-Sovereign Identity、自己主権型アイデン ティティ)を実現するための議論が進行しており、W3C※2 などの標準化団体では、その土台となる 分散型識別子「DIDs」や証明書データモデル「Verifiable Credentials」といった新しい国際標準規 格の策定が進められています。
自己主権的なデジタルアセット(Verifiable Credential、NFT※3 など)管理を基礎として展開され る Web 3.0 においては、これらの標準規格群に準拠しながら、デジタルアセットの管理主体であ るデジタルアイデンティティを設計・実装する必要があります。しかし、このようなデジタルアイデン ティティの実現には様々な課題が存在します。
まず課題となるのが、エンドユーザーの秘密鍵管理です。前述した標準規格群は非対称鍵暗号 の利用を前提としているため、これらに準拠したシステムが広く社会に展開されるにつれて、エン ドユーザーが自身で秘密鍵を管理する必要性も高まりますが、現状、エンドユーザーがこれをセ キュアに行うための環境(ツールやサービスなど)は十分に整っていません。実際、非対称鍵暗号 がベースとなるブロックチェーン領域において、秘密鍵の役割やその紛失・盗難リスクを理解して いながらも秘密鍵管理の不備によってデジタルアセットを失ってしまう人は少なくありません。Web 3.0 の構築が進み、よりリテラシーの低いエンドユーザーが秘密鍵を管理する必要に迫られた場 合、その紛失・盗難などによる被害が増大することは目に見えています。
また、Web 3.0 におけるデジタルアイデンティティの構成要素として、NFT をはじめとしたブロッ クチェーン上のデジタルアセットは有用だと考えられますが、これらを操作するためには、ブロック チェーン上のアカウントとそれに対して操作権限を有する秘密鍵を管理するウォレットを保有し、 そのウォレットからブロックチェーンに対してトランザクション手数料を支払う必要があります。エン ドユーザーがこの手数料を用意するためには、KYC を経て暗号資産取引所にアカウントを作成 し、手数料の支払いに充てることが可能な暗号資産を購入し、自身のデジタルアイデンティティに 対して操作権限を有するウォレットに送付する、といった専門性の高いプロセスを経る必要があり ます。しかし、専門知識のないエンドユーザーがこのような準備を行うのは非常に厳しいでしょう。 また、このようなブロックチェーン上のデジタルアイデンティティ(デジタルアセット)を扱うアプリ ケーションの開発者は、厳しい法規制に抵触しない形式でウォレット機能を提供しない限り、サー ドパーティが提供するウォレットとの連携が必須となりますが、現状、このような連携を機能として 提供するウォレットは数が少ない上、専門知識を有するエンドユーザー、すなわち、前述したよう な秘密鍵管理やトランザクション手数料支払いの問題を自力でなんとかできるだろうエンドユー ザーの利用を前提としたものがほとんどです。
■ シビラの取り組み
これらの背景を踏まえ、Web 3.0 を構成する標準規格やブロックチェーンについての専門知識 を持たない開発者が自己主権型のデジタルアイデンティティを扱うアプリケーションを構築し、同 様に専門知識を持たないエンドユーザーに対して提供することをサポートする ID as a Service「 dAuth」の開発を進めて参りました。
dAuth は、各種 API・SDK と合わせて、サードパーティが連携可能なノンカストディアルウォレッ トも提供しますので、前述したようなエンドユーザー側の課題(秘密鍵管理やトランザクション手数 料支払い)や開発者側の課題(法規制に抵触しないウォレットの実装・連携)の解決に活用するこ とも可能です。このウォ
レット機能と連携することで、例えば、昨今注目を集めている NFT を扱う アプリケーションを、ブロックチェーンに関する専門知識を持たないエンドユーザーでも利用できる ような形式で構築することが容易になります。
比較表の元画像はこちら:https://sivira.co/assets/img/20210609-02-image_5.jpg
■ 電通グループとの協業
当社のブロックチェーン技術および Web 3.0 関連技術と、電通グループの事業開発力、クリエ イティビティ、ネットワークを掛け合わせ、以下の 3 領域を中心とした R&D 活動を推進してまいり ます。
1)Web 3.0 時代の自己主権型 ID
コンテンツやブランドなど様々なtoC事業において、ユーザーとの中長期的な関係構築のための エンゲージメントの向上が重要になってきています。そこで、「ユーザーのコミュニティ形成やパー トナー化の促進」、「サービス外でのユーザー貢献の可視化・評価・貢献に対する還元を可能にす るアプリケーション横断型のロイヤルティプログラムの構築」などを行うため、プログラマブル※4 な 自己主権型 ID インフラの構築に、共同で取り組みます。
2)Web 3.0 時代のコンテンツ ID
アプリケーションが横断的に展開されるコンテンツのn次利用において、「コンテンツn次利用にま つわるライツ・マネジメント」、「コンテンツ利用により得た収益の一部を原著作者へ確実に還元す る仕組み」、「コンテンツのデジタルアセット化による新しいマネタイズ」などを実現するため、プロ グラマブルなコンテンツ ID インフラの構築を、共同で推進します。
3)Web 3.0 時代のソーシャルエコノミー
SDGsに代表されるソーシャルグッドな活動の持続的な成長には、企業・個人による自発的な貢 献が促進されるためのインセンティブモデルの形成が重要だと考えています。そこで、「活動実績 のデジタルアイデンティティ化」、「活動を楽しくするコミュニティ形成の促進」、「金銭的報酬以外の ことも含むさまざまなインセンティブの提供」などをプログラマブルに行うことのできる価値還元イ ンフラの構築に共同で取り組みます。
※1 Web 3.0
データに対するアクセス権・所有権を自己主権型で管理する SSI の考え方に則り、デジタル資産 を軸にアイデンティティ構築を行う、価値のインターネット。
※2 W3C
WWW(World Wide Web)で使用される各種技術の標準化を推進するために設立された標準化 団体。HTTP や HTMLなど、昨今のインターネットの規格を策定してきた実績がある。。https://w3c.org/
※3 NFT
Non-Fungible Token の略語。ブロックチェーン上でその唯一性が保証されているトークンであり、 暗号学的にその保有や来歴を証明することが可能。現状、ゲームアイテムやアートの表現手段と して活用されることが多いが、今後はデジタルアイデンティティの構成要素(ゲームアイテムや アートなども含む)の表現手段としてより広範に活用され、アプリケーションを横断したアイデンティ ティの共有、アイデンティティに付帯する権利(ユーティリティ)の証明、といった発展的なユース ケースも増加していくことが予想される。
※4プログラマブル
プログラムによって動作を制御できる状態であり、契約・権利の自動執行やボーダーレスなアプリ ケーション連携を可能とする。
【リリースに関する問い合わせ先】
シビラ株式会社
HP:https://sivira.co/index-ja.html#products
Email:info@sivira.co