ダイナミック型ドライバーの搭載にこだわる
もともとIE 40 PROは、放送向けのワイヤレスマイクシステム「SR3000」シリーズの受信機付属イヤホン「IE 4」(2003年)の音を改善したいという意図で企画された。開発に10年を費やしたのち、IE 40 PRO/IE 400 PRO/IE 500 PROの各機種ががリリースされている。ゼンハイザーの説明では、正確で些細な音もキャッチでき、疲れにくいというモニターイヤホンに求められる要素を考えて、ダイナミック型を採用している。
1ドライバーでワイドレンジをカバーでき、最大音量でも歪みにくく、複数ドライバーを使用することによって生じるドライバーごとの位相差やクロスオーバーの影響を考慮しなくて済むといった特性を重視したためだ。イヤーモニター用途ではダイナミック型が圧倒的に有利で合理的だというのがゼンハイザーの主張で、特に聞き取りにくさの原因になる、3次倍音の少なさに注力しているという。
アーティストや音楽制作のプロも絶賛
IE 100 Sの発表に合わせて、シンガーソングライターでトラックメイカーのAAAMYYY(エイミー)さんのコメントを聞くことができた。ソロ/バンド活動(Tempalay)/TENDREのキーボードなどサポートメンバーとしての活動に加え、木村カエラさんやDAOKOさんなど有名アーティストへの楽曲提供もこなすAAAMYYYさんだが、スタジオではモニタースピーカーのNEUMANN KH80、モニターイヤホンのIE 500 PRO、モニターヘッドホンのHD25などライブ/制作の現場で普段からゼンハイザーの機器を使っているのだという。
モニターイヤホンに求めるポイントとしては、シンセ演奏時での音量感、定位がハッキリわかることや、コーラスやボーカルのニュアンス、強さや弱さを聴きながら表現できることなどを挙げた。ゼンハイザーのモニターイヤホンについては演奏者がパフォーマンスしやすい温かみのある音像で、気持ちよく演奏に臨める点を評価。上級機のIE 500 PROと比較したIE 100 PRO(IE 40 PRO)の特徴としては、完璧主義で細部まで細かく音を聴きたくないシーンでも確認すべき必要な場所が分かり、初心に戻ったような感覚になれるといった感想を述べながら、楽曲全体のまとまり感を確認する際に適しており、そこに良さがあるとした。
また、Suchmosなどのライブも手掛ける、PAエンジニアの西川一三さんもビデオレターを寄せ「この価格帯、この音でいいじゃない」とコストパフォーマンスの良さを絶賛。また、最近こなしたオンラインライブの経験に触れながら、すごい音量がなっている中でも問題なくミックスができ、ライブが終わっても疲れを感じなかったという点もメリットとして挙げていた。