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PHONE APPLI 社長の石原氏は地方創生の取り組みを紹介、「Salesforce Live: Japan」対談

TOKIO副社長の国分太一氏、起業やビジネスの体験から未来を語る

2021年06月02日 15時30分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 セールスフォース・ドットコムは2021年6月1日から4日まで、国内向けのオンラインカンファレンス「Salesforce Live: Japan」を開催している。「世界を動かすエネルギーを。社会とお客様とともに」をテーマに、基調講演や140を超えるセッションのほか、Salesforceの最新情報を紹介する16の製品ブース、39社のパートナーブースが並ぶバーチャルEXPO会場を用意。「人と人をつなぐバーチャルカンファレンス」と位置づけ、最新のイノベーションを体感できるイベントとしている。

セールスフォースがオンラインカンファレンス「Salesforce Live: Japan」を開催中

 開催2日目の午前に行われたオープニングセッションでは、「一人ひとりの創造力が、心を動かすビジネスをつくる!」をテーマに、今年4月から「株式会社 TOKIO」の副社長として新たな一歩を踏み出した国分太一氏、最新のクラウド技術を活用した地方創生にチャレンジしているPHONE APPLI 社長の石原洋介氏が登場。ビジネスから日本を変えていく創造力やアイデアの大切さ、そこにおけるITのあり方を探る内容となった。モデレータは、宣伝会議 出版・編集 取締役 兼 月刊「宣伝会議」編集長の谷口優氏が務めた。

(左から)PHONE APPLI 代表取締役社長の石原洋介氏、TOKIO 副社長の国分太一氏、宣伝会議 出版・編集 取締役 兼 月刊「宣伝会議」編集長の谷口優氏(モデレータ)

TOKIO国分氏:「TOKIOという会社を成長させることにワクワクしている」

 TOKIOの国分氏は「なぜオファーが来たのか驚いている」と切り出したうえで、株式会社TOKIOを立ち上げた背景や、ビジネスに携わる体験の新鮮さについて語った。

TOKIO 副社長の国分太一氏

 株式会社TOKIOは「なんでもつくろう!」を事業コンセプトに起業した会社だという。「まずは会社に必要な名刺を、自分たちで、木を使って作った。もっと薄く作る予定だったが、割れてしまうリスクもあり、厚くなった。想定とは違うものになったが、これも僕ららしい。また、4月1日に日本経済新聞に広告を出したが、これもしっかりと挨拶をするという意味があった。起業は大変だったが、楽しくできた」(国分氏)。

 また、フマキラーのテレビCM制作においてはクリエイティブディレクターにも挑戦。企画内容を説明するための資料を作成し、リモートでのプレゼンテーションも行ったという。「すべて人生で初めての経験だった。プレゼンテーション資料は、会社のホームページに公開した。これは、誰かにやってもらっているのではなく、自分たちが汗をかいてやっていることを知ってもらう狙いもあった」(国分氏)。

 ちなみに、これまで対面での打ち合わせが当たり前だった芸能界でも、リモート会議が普及しているという。これにより、屋外ロケなどの収録の合間にも会議に参加できるようになったため「リモート会議の普及は、株式会社TOKIOにとってはいいタイミング」だったと語る。

事業記録のページで企画書を公開している(画像はTOKIO Webサイトより)

 TOKIOメンバーが一体となって「会社をつくる」経験を通じて、メンバー間の絆も深まったという。「メンバーが5人から3人になったが、いつのときもグループを支える後ろにはチームがあった。今後はチームとして、みんなで表に立ちながら、がんばっていく姿が大切になる。会社を設立し、メンバー3人で話し合ってみると、お互いにわかっていなかった部分もあったと感じ、これもいい機会だった。『TOKIOという屋号を残す』という共通の思いのなかで、ワクワクを作るということでひとつになった」(国分氏)。

 「会社の経営としては、ど素人」だと語る国分氏だが、さまざまな人からアドバイスをもらいつつ成長ができたら「それもワクワク感につながる」と前向きな姿勢を見せる。「SNSでつながりながら、リアルロールプレイングゲームのように、TOKIOという会社を成長させる形にしていきたい」と述べた。

 なお株式会社TOKIOでは、6月17日までWebサイトで「新規事業」を募集しているという。

 「まだ見たことがない景色にチャレンジしたい。怖いという気持ちはあるが、これをワクワクに変えていきたい。一緒にやりたいと思ってもらえる人たちに、TOKIOが苦手なことを補完してもらって『共創』につなげたい。これまで共創という言葉は知らなかったが、グループからチームへと変わるなかで共創の時代が訪れていることは、TOKIOにとって偶然ではなく必然だと思っている。たくさんの人たちと腕を組んで前に進んでいくことが、エネルギーに変わる。それも楽しみにしたい」(国分氏)

PHONE APPLI石原氏:Salesforce開発者を地方で育成、地方創生や雇用に取り組む

 コミュニケーションツール「PHONE APPLI PEOPLE」などを開発、提供するPHONE APPLIでは、「働き方コンサルティング事業」も行っている。「『働く』を変える。『生きかた』が変わる」を企業メッセージとしており、「人の力を引き出す」働き方改革に取り組んでいるという。

 「社員が力を発揮し、新たな価値を提供できる企業に生まれ変わりたいと考えている会社に対して、働き方改革のやり方を提案したり、ITサービスを提供してサポートしたりしている」(石原氏)

PHONE APPLI 代表取締役社長の石原洋介氏

 PHONE APPLI PEOPLEで提供するウェブ電話帳は、現在154万ユーザーが利用しており、同分野ではナンバーワンのシェアを持つという。スマートフォンやPCのブラウザ上で利用することができ、社員一覧を表示してタップするだけで電話/チャット/メール/テレビ会議によるコミュニケーションが可能になる。さらに、相手がいまオフィスのどこにいるのかがわかったり、個々人がプロフィールを公開したりすることもできる。

 「自分のことをシェアすることで、ほかの社員が話をしてみたいという気持ちになったり、共同作業に最適なスキルの人を探したりといったことができる。リモートワークでは、人に対する興味が薄れがちになる。また、社員が50人を超えると、経営者は社員の名前はわかっても、どんな経験やスキルを持っているのかということがわからなくなる。そうした課題も解決できる」(石原氏)

PHONE APPLI PEOPLEは単なる“社内電話帳”ではなく、社員一人ひとりの力を引き出すコミュニケーションポータルという位置づけだ

 同社は社内での取り組みもユニークだ。

 およそ300人の社員を抱えるPHONE APPLIでは、柔軟な人事制度を実現する「ルール」、どこでも働けるIT環境を実現する「ツール」、最もパフォーマンスを出せる場所で働く「プレイス」という3つの取り組みを行っているという。

 たとえば「ルール」では、上司と部下が毎週30分の1on1ミーティングを行い、そこでは部下が7割の時間を話すように定めている。上司が一方的に話すのを防ぐためだが、これはシステムでトラッキングしており、上司が3割以上話すとアラームが出るようになっているという。また部門ごとに“幸福度”も測っており、経営者として社員の成長や育成につながる環境づくりを進めているという。

 コロナ禍で生じた働き方の変化についても言及した。リモートワークを実現する技術は以前から存在したが、コロナ禍を通じて企業がこれらのテクノロジーを使いこなすための人事制度や文化、風土を取り入れたことが、大きな変化だと指摘する。

 「以前は、東京採用の社員と比べて、地方採用の社員とのコミュニケーションが薄くなりがちだった。今年はチャットやビデオ会議でいつも接しているので、東京の社員も、地方の社員もフラットにつながった。地方との差がなくなり、社員のやる気や能力が高ければ、場所の制限がなく、活躍できる世界が訪れている」(石原氏)

 こうした新しい働き方を進めるうえでは、すべての情報をクラウドに集約することが大切だとも語る。PHONE APPLIでは経営の基盤としてSalesforceを活用し、顧客情報から社員の情報、サービスや会計情報までをクラウドで管理しているという。これにチャットやWeb会議などのコミュニケーションツールを組み合わせることで、「自分の力を発揮しやすい場所で働くことができる。これがIT活用のポイントになる」と述べた。

 同社では2019年10月、山口県萩市に「萩明倫館アプリ開発センター」を開設した。これは旧萩藩校明倫館を利用した施設で、萩市の高卒者を採用し、Salesforceのエンジニアになるための教育を実施している。

 「プログラマーは大卒理系というイメージがあるが、Salesforceのノーコード/ローコードの技術を使うことで、100%人力でコードを書いていたものが30%の人力で済むようになる。理系ではない高卒者でも、1年間の短期集中で一人前のプログラマーに育成できる。この場所を使って、オンラインで海外の技術者からトレーニングを受けることもできる」(石原氏)

同社が山口県で開設した「萩明倫館アプリ開発センター」

 2019~2024年の5年間で、Salesforceによって、日本では100億ドル以上の新規ビジネスと約20万人の新規雇用が創出されるという予測データもある。Salesforceエンジニアになることで雇用機会を得る、高い収入を得ることも可能になるだろう。

 「4年前の米Salesforceのイベントで、職を失ったベビーシッターが、SalesforceのWebトレーニングを受けて3カ月で管理者の資格を取得し、すぐに職が決まったという話を聞いた。『ITの民主化』が起きており、やる気さえあれば、理系でなくてもSalesforceのエンジニアになれる。アプリ開発センターではそこに着目し、萩にいる人材と、PHONE APPLIのどこでも働き学べる環境、Salesforceの世界共通のプラットフォームが組み合わせることで、地域創生、雇用創出、人材不足といった課題が解決できた」(石原氏)

 萩市では、25人の職員が市内1000kmの道路をメンテナンスしているが、Salesforceプラットフォームを活用したスマホアプリを開発し、道路の陥没などを発見した市民が写真撮影して、市役所の土木課にすぐ送信し、迅速に改修工事が行える仕組みを構築したという。

 「こうしたアプリが短期間に、地域の人たちの手によって作ることができる。ITが限られた人だけのものではない。多くの人のアイデアを実現し、世の中を良くできるものになった」(石原氏)

* * *

 「Salesforce Live: Japan」では、会期中の4日間をそれぞれのテーマに分けて構成している。1日目は業種や課題にあわせた幅広いセッションで構成する「ビジネスの成功をどこからでも」、2日目は先進企業による事例セッションや業界のトップランナーによる特別公演を用意した「ビジネスは変革のためのプラットフォーム」、3日目はどこからでも働くことを可能にする“Cloud 3.0時代”のテクノロジーを活用した最新の働き方、経営のあり方を示す「Cloud 3.0時代のDX」、4日目はTrailblazerによる先進事例やSalesforce活用のポイントなどを紹介する「先駆者と共に成功を」となっている。

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