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CPUクーラーやファンをNoctua製で統一! コダワリのケース内部をチェック

静音性にこだわったケースやCPUクーラー&ファンが魅力、RTX 3060搭載デスクトップPC「Silent-Master NEO Z590」で静かなひとときを!

2021年05月30日 12時00分更新

文● 宮里圭介 編集●市川/ASCII

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サイコムの「Silent-Master NEO Z590」

 パソコンで静音性を重視したいといっても、高負荷時でも常時静かで高性能というのは難しい。これは、性能が高くなるほど発熱が大きくなるため、物理的に厳しくなるからだ。裏を返せば、ある程度条件をゆるめる部分を作ってやれば、そこそこの静音パソコンは実現しやすい。

 最もやりやすいのは、性能を下げること。騒音の原因はCPUやビデオカードを冷やすクーラー部分にあるため、そもそもの発熱量を抑えることで静音化しようというものだ。CeleronやAtomクラスのCPUを搭載したファンレス無音パソコンがいい例だろう。

 次にやりやすいのは、ある程度の静音性で満足すること。水冷クーラーを使うパソコンがこれに当てはまる。水冷クーラーは大きなラジエーターで冷却できるため、高負荷時でもファン回転数があがりにくく、かつ騒音も抑えられるからだ。低負荷時でもポンプやファンが動き続けることから常に騒音はあるが、ファンの回転数が大きく変化しないことから、騒音が気になりにくいパソコンとなる。

 サイコムの「Silent-Master NEO Z590」が目指した静音性はこのどちらでもなく、低負荷時の騒音が小さいというもの。低騒音ファン搭載の空冷CPUクーラーと、低負荷時にファンの回転を止めるセミファンレス仕様の電源やビデオカード、そして騒音を外に漏らしにくい静音性に優れたケースを採用することで、静音パソコンを実現しているのだ。

 そもそものパソコン利用状況を考えてみると、パソコン利用時間のほとんどはウェブサイトの閲覧、動画の視聴、書類の作成など、負荷が低い用途で占められており、高負荷で使っている時間は意外と短い。つまり、多くのシーンで静かに使えることになる。

 もちろん、3Dゲームや動画編集の書き出しといった高負荷時はそこそこ騒音が大きくなるが、こういった用途では、静音性よりも性能や安定性のほうが重要だ。Silent-Master NEO Z590は利用時間のほとんどで静かに使えるほか、高負荷時はしっかりと性能が出ることを目指したパソコンといえるだろう。

 今回は、その静音性の要となる内部をチェックしていこう。

Silent-Master NEO Z590
標準スペック 試用機スペック
CPU Core i5-11400 Core i7-11700K
CPUクーラー Noctua NH-U12S
グラフィックス GeForce GTX 1660 SUPER 6GB GIGABYTE製GV-N166SOC-6GD GeForce RTX3060 12GB GIGABYTE製GV-N3060GAMING OC-12GD
メモリー 16GB
ストレージ 500GB SSD(Crucial CT500MX500SSD1)
内蔵ドライブ DVDスーパーマルチドライブ
PCケース CoolerMaster Silencio S600
電源 CoolerMaster V650 Gold-V2(650W/80PLUS Gold)
OS Windows 10 Home(64bit)
価格(5月30日現在) 18万4170円 23万3060円

CPUクーラーもケースファンもすべて静音性に優れたNoctuaへ

 Silent-Master NEO Z590が採用しているCPUクーラーは、Noctuaの「NH-U12S」。これは5本のヒートパイプを使った大きなヒートシンクを持ち、120mmファンで冷却するサイドフロー方式の空冷CPUクーラーだ。

 空冷CPUクーラーは、ケース内の空気をヒートシンクに当ててCPUを冷却するため、ケース内温度が上昇してしまえば冷却性能が落ちてしまう。つまり、CPUをしっかりと冷やすには、いかにケース内温度を低く保てるかが重要になるわけだ。

 この温度上昇を防ぐのに効果的なのが、ケースファンの存在だ。冷たい外気をしっかり取り込み、熱くなった内部の空気を素早く排出できれば効果的だ。

 Silent-Master NEO Z590の側面パネルを開けてまず気がつくのが、吸気と排気で2つのケースファンがあること。前面の吸気ファンは通常よりも大きな140mmファンとなる「NF-A14 FLX」を採用。CPUクーラーと同じくNoctua製品で、1200rpmという低回転で静音仕様となっていながら風量が多く、外気をしっかり取り込んでくれる。

静音仕様の要となるのが、騒音を抑えたNoctua製のファン。とくに前面は140mmと大きなファンを採用し、冷たい外気をしっかり取り込めるようになっている

 背面の排気ファンは120㎜の「NF-S12A FLX」。こちらもNoctua製で1200rpmとなっており、ファンから出る騒音を可能な限り小さくなるよう工夫されている。

 実はこのファンの並びも考えられたものとなっており、吸気ファンからの冷たい風がビデオカードとCPUの両方に届く位置に設置されている。また、サイドフローのCPUクーラーから出た熱風はまっすぐ背面ファンへと送られ、ケース内に拡散されることなく、素早く排出されるようになっている。

CPUクーラーと背面ファンの高さが合わせてあり、熱をケース外へと排出しやすいレイアウトだ

 ケース内でもう1つ気がつくのが、驚くほどにケーブル類が見当たらないことだ。ケーブルがとぐろを巻いていると吹き溜まりができ、熱がこもりやすくなるだけに、裏配線を徹底して組み上げられているのだ。

裏配線が多用され、ケース内のケーブルは必要最小限。エアフローに貢献するだけでなく、将来パーツの換装や増設時にもいじりやすい

 中身が見えるガラスパネルではないからと手を抜くことはなく、こだわって組み立てられているという点に好感が持てる。

 今回の構成では、ビデオカードはギガバイト製の「GV-N3060GAMING OC-12GD」が搭載されていたが、この製品、負荷が低いときはファンがオフになるというセミファンレス仕様となっている。ゲーム中などはさすがに騒音が大きくなるが、通常のパソコン利用時はファンが動かないため、静音性に優れている。

GeForce RTX 3060を搭載しながら、セミファンレス仕様というのがうれしいビデオカード

 なお、BTOオプションで多数のビデオカードが選択できるようになっているが、Silent-Masterシリーズではすべてのビデオカードがセミファンレス。どれを選んでも静音仕様となるのがうれしい。

 もちろん、CPUもビデオカードも負荷が高くなればファン回転数が上がり、騒音は大きくなってしまう。この騒音を少しでも小さくなるよう抑え込んでくれるのが、静音性を重視したケースとなる「Silencio S600」だ。

複数の遮音材を組み合わせ、サイドパネルやフロントパネルの内側に装備。これにより、漏れ出る騒音が小さくなるよう工夫されている

 サイドパネルや本体部分の素材には、重量のあるスチールを採用。内部の騒音はもちろんのこと、振動やビビリ音なども抑えてくれる効果がある。また、サイドパネルやフロントパネルには遮音材が貼られており、ここでも騒音を吸収。外部へと音を極力漏らさないよう、徹底した工夫が凝らされている。

 サイドパネルに強化ガラスではなくスチールをあえて選んでいるのも、この静音性を重視した結果だ。

パーツの厳選と組み立ての技術で静音性を実現

 コストパフォーマンスの高いゲーミングパソコンはスペック面では魅力的に思えるものの、実際使ってみると騒音がひどく、がっかりすることが多い。パソコン利用時はヘッドフォンをほぼ装着しており、騒音は気にならないという人なら問題ないだろうが、そうでなければかなり気になってしまう。スペックも重要だが、静音性も性能のうちだと考えているのであれば、Silent-Master NEO Z590は理想に近い1台といえるだろう。

静音性を重視する人にオススメしたい1台!

 今回は静音の要となる内部を中心に見てきたが、次回は性能面からチェックしよう。

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