モーダル小嶋のTOKYO男子めし 第43回
万人受けする味わい、だけど“火鍋感”もある:
日清「シビれる花椒の火鍋ヌードル」ちゃんとシビ辛だけど“やりすぎない”カップヌードルの美学
2021年04月24日 16時00分更新
「カップヌードル シビれる花椒の火鍋ヌードル」
日清食品
4月19日発売
193円(税別)
https://www.nissin.com/jp/products/items/10491
火鍋がカップヌードルになりました
初めて火鍋を食べたのはいつだったでしょうか。太極図に見立てた鍋を見たときは「うーん、さすが中国! 食文化が違う!」と意味のわからない感動を覚え、その香りと味わいにもびっくりしたものです。今ではけっこうメジャーな存在になったのかな。
日清食品はカップ麺「世界のカップヌードル」シリーズの新製品、「カップヌードル シビれる花椒の火鍋ヌードル」(以下、シビれる花椒の火鍋ヌードル)を4月19日から発売しています。価格は193円(税別)。
世界のカップヌードルシリーズは、世界各国で親しまれている料理を素材やレシピにこだわって再現。2014年の「カップヌードル トムヤムクンヌードル」から始まった「カップヌードル エスニックシリーズ」の後継ともいえるシリーズです。「カップヌードル パクチー香るトムヤムクン」「カップヌードル ピリッと生姜のグリーンカレー」などが発売されています。
シビれる花椒の火鍋ヌードルは、伝統的な中華鍋料理をカップヌードル流にアレンジ。花椒をはじめ、10種の香辛料をきかせたスープは、火鍋に特有の複雑で奥深い風味が特徴とのこと。別添の「特製辣油」でコクのある牛の旨みとラー油の風味を加えれば、クセになる味わいに仕上がりになるそうで。
気になるのは「10種の香辛料」という表記。何が入っているのかと思いますが、詳細が書かれておらず、味と香りで推測するしかありません。ちなみに容器の記載によれば、「辛さレベル」は3、「シビれレベル」は1だそうです。いまいち基準が判然としないな。
フタを開けると普通のカップヌードルとあまり変わらないように見えますが、お湯を入れるときくらげが目立っているように思います。ちなみに、具材は味付豚ミンチとチンゲンサイ、きくらげ、ネギ、赤唐辛子となっています。匂い自体も、それほど火鍋感がないかな。やはり特製辣油を入れないと、ということでしょうか。
さすがは特製辣油、入れるだけで辣油の香りだけでなく牛脂のような芳香も加わり、一気に“火鍋感”が出てまいりました。では、味はどうなっているのでしょうか?
刺激も牛の旨味もほどよい感じ
シビれる花椒の火鍋ヌードルは、麺がカップヌードルのそれなので、味の決め手はなんといってもスープとなるわけです。このスープ、よくできていると思います。
ちゃんと“シビ辛”なんですよね。いわゆる麻辣の味というか、花椒が効いているんですよ。鼻に抜けるあの感じ。本場もかくや……というほど強烈に存在を主張するほどではないにせよ、きちんと「火鍋のスープ」っぽい味です。
辛さは、口に入れた瞬間こそ唐辛子の鮮烈な辛さを感じられるものの、あまり舌に残らず、もう激辛でわけがわからなくなる、というほどではないと思います。“ピリ辛”というよりはもうすこし刺激的、といったところでしょうか。一応、辛いものが苦手な人は気をつけたほうがいいかなと。
特製辣油もポイントでして、牛の旨味が強めなんですよね。これがけっこう重要で、単純に香辛料だけだと旨味が足りないところを、ガツッとパンチがある味わいに仕立ててくれています。
一口に「火鍋」といってもさまざまな種類がありますが、日本の火鍋専門店では、たしかに牛脂を使ったものが多く、人によっては「くどいなあ」と思うものさえあります。シビれる花椒の火鍋ヌードルはそこまでではありませんが、牛の旨味を活かした点は高く評価したい。
具材もそれなりに多く、チンゲンサイ、きくらげ、ネギといったあたりが歯ごたえをプラスしており、このあたりの食感のよさも、満足感につながっていますね。その中にもしれっと入っている味付豚ミンチは、カップヌードルシリーズならではの個性というべきでしょうか。
めちゃくちゃ辛くはないですが、ピリ辛というよりもうすこし辛口。「薬膳のスープ」と評するほどには強烈ではないものの、香辛料(と、牛の旨味)の存在がちゃんとある。この“やりすぎない感じ”が好ましい。万人受けする味わいでありながら、個性もしっかり残している、おもしろいカップヌードルです。
もちろん、本場の火鍋のスープと比較すれば、もっと香辛料を、もっと辛味を……と思うかもしれません。ただ、シビれる花椒の火鍋ヌードルは、あくまで「カップヌードル」。やり過ぎない、だけど曖昧でもない、日本人向けに調整された味の美学があるわけで。
シビれる花椒の火鍋ヌードル、カップヌードルシリーズとしての味のまとまりを壊さず、その中にもほどよい刺激をプラスした、なかなか完成度の高い一杯になっています。隠れた人気商品になりそうな予感がしました。
モーダル小嶋
1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。一人めし連載「モーダル小嶋のTOKYO男子めし」もよろしくお願い申し上げます。
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