前編で検証したゲームの結果を再チェック
DiRT 5は最適化されフレームレートが向上!
前編のレビューでは、「Rainbow Six Siege」「Assassin's Creed Valhalla」「DiRT 5」の3本でレビューしたが、ドライバーやResizable BAR対応、あるいはゲームそのもののアップデートで無視できない程度にパフォーマンスが向上したので、改めてデータを取り直し、比較することにした(3DMarkや消費電力は誤差程度にしか変化しなかったので割愛する)。
まずは「Assassin's Creed Valhalla」のアップデートから。画質は“最大”とし、ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測した。
RTX 30シリーズがResizable BAR対応となったことで、フルHD〜WQHDにおける平均fpsが向上したが、オンとオフの差は5〜7%と非常に小さい(この辺は別記事を参照されたい:ユージが編集中のGeForce-ReBAR記事のリンク)。前編ではRX 5700 XTとRTX 3070 FEのフレームレートが並ぶという結果だったが、Resizable BARでなんとか抜け出した。
しかし、Resizable BAR対応をもってしても、RX 6700 XTの方がRTX 3070 FEよりフルHD時で約30%上回る。解像度が上がるとアドバンテージは14%→-3%と急激に下がる。上位のRX 6800はそこまで失速しないため、これはRX 6700 XTのメモリーバスの狭さやCU数の少なさなどが関係してそうだ。
続いては「Rainbow Six Siege」だ。APIはVulkan、画質は“最高”をベースにレンダースケール100%を追加した設定を準備。ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測した。
前編と比較すると、Radeon勢はほとんど変わっていない(フルHDで+2fps程度の差)。しかし、RTX 3070 FEの最低fpsがぐっと伸び、それに連動するように平均fpsも伸びた点だ。これはAGESA 1.2.0.0以降のBIOS+RTX 30シリーズ+Rainbow Six Siege(Vulkan)の組み合わせで特異的に発生していた不具合だが、RTX 30シリーズのResizable BAR対応でそれが解消された結果だ。ただ完全解消という訳ではなく、4Kでは平均fpsが全く出ない不具合も観測された。
しかしながら、RX 6700 XTの主戦場であるWQHDに注目すると、平均fpsでRTX 3070 FEの方が10%程度RX 6700 XTを上回ってはいるものの、平均258fpsと非常に高いフレームレートを示している。
残る「DiRT 5」では、3月末のアップデートにより描画システムが大きく刷新され、DXR(DirectX Raytracing)を利用した影の表現と、FidelityFX アンビエントオクルージョン(AO)が追加された。
まずはDXRやFidelityFXはオフ、その他の画質は“Ultra High”とし、動的解像度設定は無効とした。内蔵ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測する。
描画周りのバージョンアップはかなり効果的で、前編の時よりもフレームレートが上昇した。RX 6700 XTの場合、フルHD時では122.3→127.1fpsへ上昇、RX 6800に至っては138→148.2fpsとさらに上昇幅が大きい。この伸び幅の違いはメモリーバス幅やCU数などの違いであることは明らかだ。ただRTX 3070 FEもResizable BAR対応効果も加わったことでRadeon以上にフレームレートを伸ばしており、前編ではほぼ同等だった性能がRTX 3070 FE>RX 6700 XTとなった。
今度は新たに加わったDXRとFidelityFX AOを加えて検証してみる。FidelityFX AOは“Ultra High”とした。
RX 6000シリーズのレイトレーシング性能はRTX 30シリーズには劣るという前提を踏まえた上で話をすると、DXRを有効にしてもDXR無効時と性能比は大きく変わっていない。フルHD時の平均fpsで見ると、DXR有効時も無効時もRTX 3070 FEの7〜8%下にRX 6700 XTがいる。RTX 3080対抗がRX 6800 XTならば、RTX 3070対抗はRX 6800であるとも言えるので、そう考えるとRX 6000シリーズの性能はそう悪くはない。
RX 6700 XTがなぜここまで伸びないかと言われれば、CU数を減らしたことによりInfinity Cacheが減り、メモリーバス幅を192bitに絞ったことでパフォーマンスも伸びづらくなったから、ではないだろうか。そういう意味では、RX 6700 XTの“ちょっと物足りない部分”が浮き彫りになったベンチといえる。
この連載の記事
-
第439回
自作PC
暴れ馬すぎる「Core i9-14900KS」、今すぐ使いたい人向けの設定を検証! -
第438回
デジタル
中国向け「Radeon RX 7900 GRE」が突如一般販売開始。その性能はWQHDゲーミングに新たな境地を拓く? -
第437回
自作PC
GeForce RTX 4080 SUPERは高負荷でこそ輝く?最新GeForce&Radeon15モデルとまとめて比較 -
第436回
デジタル
環境によってはGTX 1650に匹敵!?Ryzen 7 8700G&Ryzen 5 8600Gの実力は脅威 -
第435回
デジタル
VRAM 16GB実装でパワーアップできたか?Radeon RX 7600 XT 16GBの実力検証 -
第434回
自作PC
GeForce RTX 4070 Ti SUPERの実力を検証!RTX 4070 Tiと比べてどう変わる? -
第433回
自作PC
GeForce RTX 4070 SUPERの実力は?RTX 4070やRX 7800 XT等とゲームで比較 -
第432回
自作PC
第14世代にもKなしが登場!Core i9-14900からIntel 300まで5製品を一気に斬る -
第431回
デジタル
Zen 4の128スレッドはどこまで強い?Ryzen Threadripper 7000シリーズ検証詳報 -
第430回
デジタル
Zen 4世代で性能が爆上がり!Ryzen Threadripper 7000シリーズ検証速報 -
第429回
自作PC
Core i7-14700Kのゲーム性能は前世代i9相当に!Raptor Lake-S Refreshをゲーム10本で検証 - この連載の一覧へ