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最新パーツ性能チェック 第340回

WQHDゲーミング向けGPU「Radeon RX 6700 XT」の実力を試す【後編】

2021年05月01日 11時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトラ ハッチ/ASCII

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前編で検証したゲームの結果を再チェック
DiRT 5は最適化されフレームレートが向上!

 前編のレビューでは、「Rainbow Six Siege」「Assassin's Creed Valhalla」「DiRT 5」の3本でレビューしたが、ドライバーやResizable BAR対応、あるいはゲームそのもののアップデートで無視できない程度にパフォーマンスが向上したので、改めてデータを取り直し、比較することにした(3DMarkや消費電力は誤差程度にしか変化しなかったので割愛する)。

 まずは「Assassin's Creed Valhalla」のアップデートから。画質は“最大”とし、ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測した。

「Assassin's Creed Valhalla」1920×1080ドット時のフレームレート

「Assassin's Creed Valhalla」2560×1440ドット時のフレームレート

「Assassin's Creed Valhalla」3840×2160ドット時のフレームレート

 RTX 30シリーズがResizable BAR対応となったことで、フルHD〜WQHDにおける平均fpsが向上したが、オンとオフの差は5〜7%と非常に小さい(この辺は別記事を参照されたい:ユージが編集中のGeForce-ReBAR記事のリンク)。前編ではRX 5700 XTとRTX 3070 FEのフレームレートが並ぶという結果だったが、Resizable BARでなんとか抜け出した。

 しかし、Resizable BAR対応をもってしても、RX 6700 XTの方がRTX 3070 FEよりフルHD時で約30%上回る。解像度が上がるとアドバンテージは14%→-3%と急激に下がる。上位のRX 6800はそこまで失速しないため、これはRX 6700 XTのメモリーバスの狭さやCU数の少なさなどが関係してそうだ。

 続いては「Rainbow Six Siege」だ。APIはVulkan、画質は“最高”をベースにレンダースケール100%を追加した設定を準備。ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測した。

「Rainbow Six Siege」Vulkan、1920×1080ドット時のフレームレート

「Rainbow Six Siege」Vulkan、2560×1440ドット時のフレームレート

「Rainbow Six Siege」Vulkan、3840×2160ドット時のフレームレート

 前編と比較すると、Radeon勢はほとんど変わっていない(フルHDで+2fps程度の差)。しかし、RTX 3070 FEの最低fpsがぐっと伸び、それに連動するように平均fpsも伸びた点だ。これはAGESA 1.2.0.0以降のBIOS+RTX 30シリーズ+Rainbow Six Siege(Vulkan)の組み合わせで特異的に発生していた不具合だが、RTX 30シリーズのResizable BAR対応でそれが解消された結果だ。ただ完全解消という訳ではなく、4Kでは平均fpsが全く出ない不具合も観測された。

 しかしながら、RX 6700 XTの主戦場であるWQHDに注目すると、平均fpsでRTX 3070 FEの方が10%程度RX 6700 XTを上回ってはいるものの、平均258fpsと非常に高いフレームレートを示している。

 残る「DiRT 5」では、3月末のアップデートにより描画システムが大きく刷新され、DXR(DirectX Raytracing)を利用した影の表現と、FidelityFX アンビエントオクルージョン(AO)が追加された。

 まずはDXRやFidelityFXはオフ、その他の画質は“Ultra High”とし、動的解像度設定は無効とした。内蔵ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測する。

「DiRT 5」1920×1080ドット時のフレームレート

「DiRT 5」2560×1440ドット時のフレームレート

「DiRT 5」3840×2160ドット時のフレームレート

 描画周りのバージョンアップはかなり効果的で、前編の時よりもフレームレートが上昇した。RX 6700 XTの場合、フルHD時では122.3→127.1fpsへ上昇、RX 6800に至っては138→148.2fpsとさらに上昇幅が大きい。この伸び幅の違いはメモリーバス幅やCU数などの違いであることは明らかだ。ただRTX 3070 FEもResizable BAR対応効果も加わったことでRadeon以上にフレームレートを伸ばしており、前編ではほぼ同等だった性能がRTX 3070 FE>RX 6700 XTとなった。

 今度は新たに加わったDXRとFidelityFX AOを加えて検証してみる。FidelityFX AOは“Ultra High”とした。

「DiRT 5」DXR/FidelityFX AOあり、1920×1080ドット時のフレームレート。RX 5700 XTはDXRに非対応なGPUであるため、テストからは除外した(以下同じ)

「DiRT 5」DXR/FidelityFX AOあり、2560×1440ドット時のフレームレート

「DiRT 5」DXR/FidelityFX AOあり、3840×2160ドット時のフレームレート

 RX 6000シリーズのレイトレーシング性能はRTX 30シリーズには劣るという前提を踏まえた上で話をすると、DXRを有効にしてもDXR無効時と性能比は大きく変わっていない。フルHD時の平均fpsで見ると、DXR有効時も無効時もRTX 3070 FEの7〜8%下にRX 6700 XTがいる。RTX 3080対抗がRX 6800 XTならば、RTX 3070対抗はRX 6800であるとも言えるので、そう考えるとRX 6000シリーズの性能はそう悪くはない。

 RX 6700 XTがなぜここまで伸びないかと言われれば、CU数を減らしたことによりInfinity Cacheが減り、メモリーバス幅を192bitに絞ったことでパフォーマンスも伸びづらくなったから、ではないだろうか。そういう意味では、RX 6700 XTの“ちょっと物足りない部分”が浮き彫りになったベンチといえる。

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