このページの本文へ

前田知洋の“マジックとスペックのある人生” 第139回

マグネシウム洗濯で汚れは落ちるか検証してみた

2021年04月20日 16時00分更新

文● 前田知洋 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

愛着のあるモノはユーザー同士の意見が分かれる

 電化製品についての話題の中に、筆者にとって興味深い現象があります。「ユーザー同士のレビューは口論になりやすい」というものです。

 家電なら、洗濯機と掃除機。家電以外のジャンルであれば、古くは「パソコンはWindowsかMacか?」も議論が絶えませんでした。最近なら「AndroidかiOSか?」や「CPUはIntel(iシリーズ)かAMD(Ryzen)か?」などでしょうか。

 もっとも、インターネット黎明期に比べると、最近は消費者がさまざまな情報を検討できるからでしょうか、ショッピングサイトのユーザーレビューも丁寧なものが多くなり、ニュートラルな論評も増えてきたように思います。

 それでも、みんな愛着のあるメーカーや製品ってあるんですよね。これって、製品のスペックを超えて、好みと慣れの問題……そう筆者は推測しています。ペットに近い感覚といったら、メーカーやユーザーに怒られるでしょうか。

愛用の洗濯機でマグネシウム洗濯を実践

 筆者が愛用する洗濯機は東芝「TW-Z9000R」ですが、元日に故障したり、マイクロスイッチの部品が生産終了で修理してもらえなかったりという事情があり、2回ほど自分でオーバーホールして使用中。

 だから、かなり愛着があります。ヒートポンプで熱交換するタイプで省電力、いつ壊れても悔いがないのですが、また壊れたら分解修理をしてしまいそうな気もしています(笑)。

仕事用のシャツから趣味の武道の道着までお世話になっている愛用の洗濯機

 といっても、今回は洗濯機のレビューではなく、タイトルにもある通りマグネシウムが主役。マグネシウムの不思議なパワーについては、前回の記事「ネットで話題のマグネシウムに、人気コンテンツの作り方が隠されている」をご覧いただければ幸いです。

ショピングサイトで購入したマグネシウム粒

 今回は、マグネシウムを漬けた水で洗濯した場合と、洗濯洗剤で洗濯した場合の違いについて検証してみましょう。

ブラインドテストで検証してみる

 レビューをするとき、とくに難しいのは、ブランドやメーカーに対する思い入れや、新しいテクノロジーへの期待などが、人間の感受性に影響を与えてしまうところです。

 これは、レビュアーがウソを書いたり、オーバートークになってしまったりというわけではなく、「きっと良いはず」と心のバイアスが自然にかかってしまい、本当に優れているように錯覚してしまう感受性の宿命でもあります。

 筆者の仕事のマジックも、そんな人間の感受性のおかげなのですが、多くのプロダクトでは客観的な検証やスペックは大切なこと。

 そこで「ブラインドテスト(盲検法)」という検査があります。観察者が、どの実験だかわからない状態で結果を調べる方法。人間特有のバイアスがかからずに判断しやすいテストです。

 ただ、このテスト、飲料や食べ物などでは比較的簡単ですが、電化製品は難しいんです。なぜかというと、製品を複数買い揃えたり、製品を観察者にわからないように覆い隠すのは、メーカーならまだしも、個人でやるには大変な手間で、ほぼ不可能だからです。

ちなみに、洗濯する際はマグネシウム粒をこのようなネット袋に入れています

 でも今回は、洗濯機同士を比較するのではなくて、同じ洗濯機で洗濯の方法を比較するケース。なので、ステイホームをチャンスとばかり、時間をかけて実験してみました。

実験スタート!

 用意したのは、3つのコットンのガーゼハンカチ。それに醤油、ソース、口紅を(なるべく同量、同範囲に)付着させ、24時間放置して乾燥させました。

左から醤油、ソース、口紅

 洗濯に使う水は「ネット袋に入れたマグネシウムを漬けた水」「最新の洗濯洗剤(ドラム式)」「水道水」の3つです。マグネシウムと洗剤の比較実験ですが、「水道水」をサンプルに加えたのは「水だけでも汚れが落ちるのでは?」という反論を想定しています。

普段の洗濯に使うpH9.7の弱アルカリ水

 洗剤は、メーカー指定の「30リットルあたり10g」と同じ濃度(500mlに0.17g)の洗剤溶液にしました。マグネシウムは、普段の洗濯に使うものと同じpH9.7(普段は温水で洗濯していますが、実験用に常温)にしました。もちろん水道水も常温です。

 それらの水と汚したガーゼハンカチをボトルに入れて、10分おきに10回シェイクを3回繰り返し、水道水ですすぎ、干して終了です。

左から、S(洗剤溶液)、W(水道水)、M(マグネシウムを漬けた水)

 ブラインドテストとはいっても、実験が終わってから「どれがどれだっけ?」となっては困りますので、ボトルにはちゃんと印を付けました。

マグネシウムは洗浄力がある

結果はこうなりました。どれがマグネシウムかわかりますか?

 さっそくですが、洗濯の結果は上のようになりました。どれがマグネシウムの洗濯によるものか、おわかりになるでしょうか?

 もちろん、ブラインドテストなので、結果を測定した後、どのハンカチにどの水溶液を使ったかを明確にします。

答えはこちら。左端の醤油の汚れはすべて消えている。ソースの汚れは薄く残り、口紅の汚れはどれも残った

 醤油汚れはどの洗濯でも消えました。ソース汚れは水道水でも薄くなっていますが、(写真ではすこしわかりにくいものの)洗剤とマグネシウムはさらに薄くなっていて、ほぼ同等の洗浄力といってよいでしょう。口紅汚れはどれも残っていて、わずかに洗剤での洗濯はシミの滲みが多い、つまり、かすかながら汚れが落ちている状態です。

 醤油、ソース、口紅の汚れで検証したところ、水道水だけよりも、洗剤とマグネシウムは洗浄力があり、油脂性の強い汚れはやや洗剤が優勢という結果になりました。(ただし、これは筆者の住む地域の水質やpHの場合です)。

洗濯機内部をキレイに保ちたい、匂いやカビを付けたくない人向け

 前からずっと検証してみたかった、洗剤の代用としてマグネシウムを使う洗濯法。ステイホームのおかげで検証ができた今回の実験ですが、いかがでしょうか。

 マグネシウムを入手したり、洗濯機の乾燥機能を使う前にマグネシウムを取り出したりなど、手間もあります。また、汚れも千差万別ですから、洗剤を使うほうがきれいに落ちる場合もあるでしょう。

 しかし、筆者にとっては、マグネシウム洗濯は、ライフスタイルに合う洗濯法だという気がします。将来、高性能洗剤が登場したり、気分が変わったりすれば、また洗剤に戻すかもしれませんが、いまのところ楽しく洗濯しています。

 筆者の場合、普段のタオルやTシャツなどはマグネシウムと水、たまに洗浄力(漂白力)を上げたい場合は、洗濯槽洗浄をかねて過炭酸ナトリウムを大さじ1くらい入れると真っ白に仕上がります。ちなみに、外国のホテルのタオルのようなザラッとした仕上がりが好きなので、柔軟剤は使っていません。

 洗濯機を分解したときに発見した、内部のヌルヌルやカビは、洗剤カスと汚れが結合したものが原因だとか。洗浄力を落とさず、洗剤量を少なくすることで、そんな内部汚れは減るはず。もし洗濯機の内部をキレイに保ちたい、匂いやカビが気になる、在宅の時間が増えて多少の手間はOK……という方は、一度マグネシウムでの洗濯をお試しいただくのもいいかもしれません。

前田知洋(まえだ ともひろ)

 東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。

 著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

最新記事

ASCII.jpメール アキバマガジン

クルマ情報byASCII

ピックアップ