圧倒的にRadeonが強かった「Assassin's Creed Valhara」
最後に重量級ゲームの代表「Assassin's Creed Valhara」で試してみよう。画質は“最高”とし、ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測する。
まず驚くのはここまでずっと最下位を独占していたRX 5700 XTとRTX 3070のフレームレートがほぼ同レベルという点だろう。元々AMD肝いりのゲームだけあってRadeonに帯する最適化がかなり進んでいると考えられるが、Ampere世代のRTX 3070 FEが型落ちのRX 5700 XTに並ばれるとは意外だった(ただ解像度が上がるとRTX 3070 FEが力を持ち始めるが……)。
そしてRX 6700 XTはRTX 3070 FEよりも最大45%上のフレームレートを出せている。元々このゲームはResizable BARの恩恵が強く得られるゲームであるのに加え、原稿執筆時点ではRTX 3070のResizable BAR対応vBIOSは未配布。Radeon最適化とResizable BAR対応でここまで差が付いたのは驚きだ。ただし解像度が高くなるとじりじりとRTX 3070に詰め寄られてしまい、4Kではほぼ追い付かれてしまう。メモリーバス幅192bitの辛いところだろう。
RTX 3060のレビュー時では、メモリーバス幅192bit幅のGeForce RTX 3060では、Resizable BARがあまり効果を上げなかったので、その検証もここでしておきたい。RTX 3060でResizable BARの効果があまり得られない原因として考えられたのが、メモリーバス幅192bitの狭さだ。つまりRX 6700 XTでResizable BARの効果をチェックすれば、RDNA 2が優秀だから効果が出たのか、192bit幅から出ないのかがハッキリする。
そこでResizable BARの効果が得られたAssassin's Creed Valharaで、Resizable BAR無効時のデータと比較してみたい。解像度はフルHDのみで行なう。
RX 6700 XT環境では上のようにResizable BARを無効にしただけで約15%平均fpsが下がった。つまりメモリーバス幅192bit幅でもResizable BARは意味があることが確認できた。同時にRTX 3060でResizable BARの効果が見られないのは、GPUアーキテクチャーとゲームの組み合わせが悪い、もしくはInfinity Cacheのような仕組みがない、等の理由が考えられる。今後既存のGeForce側にもResizable BARが実装された時にどうなるかが楽しみだ。
評価は値段と入手性次第か
駆け足だったが、RX 6700 XTレビュー前編はこれまでとしたい。後編ではもっと数多くのゲームでRX 6700 XTの性能や挙動を明らかにしていきたいところだ。
だが今回のパフォーマンスを見る限りRTX 3070とかなり良いどころか、むしろ押しているという印象が得られた。メモリーバス幅192bitという狭さがネックだが、RTX 3070と同等、ゲームによっては圧倒することができる。
もちろんDXR(DirectX Raytracing)を使ったゲームではRTX 3070に軍配が上がることは容易に想像できるが、DXRを使わないゲームの数が圧倒的なことを考えれば、従来型レンダリングを使ったゲームをプレイするのに格好のGPUといえるだろう。
ただし、問題は価格だ。ライバルであるRTX 30シリーズは買いたくても簡単に買えない状態であるため、ここに十分な流通量を確保できれば覇権をとるのは確実だ。だが同じ7nmプロセスを使うRyzenの供給すらままならない現状を考えれば、RX 6700 XTの流通量にも期待はできない。欲しいなら初期ロットの確保に全力を傾けるようにしたい。
ちなみに、RTX 3060で話題を呼んだマイニング制限だが、AMDとしてはそのような制約を設ける予定はないとプレス向けブリーフィングで語っていた。今回も仮想通貨マイナーとの激しい争奪戦になるだろう。この点においてもAMDには製品供給を頑張っていただきたいものだ。

この連載の記事
-
第473回
デジタル
Ryzen 7 9800X3Dと9700Xはどっちが良いの?! WQHDゲーミングに最適なRadeon RX 9060 XT搭載PCの最強CPUはこれだ! -
第472回
sponsored
触ってわかった! Radeon RX 9070 XT最新ドライバーでFPSゲームが爆速&高画質に進化、ストレスフリーな快適体験へ -
第471回
デジタル
8TBの大容量に爆速性能! Samsung「9100 PRO 8TB」で圧倒的なデータ処理能力を体感 -
第470回
デジタル
HEDTの王者Ryzen Threadripper 9980X/9970X、ついにゲーミング性能も大幅進化 -
第469回
デジタル
ワットパフォーマンスの大幅改善でHEDTの王者が完全体に、Zen 5世代CPU「Ryzen Threadripper 9000」シリーズをレビュー -
第467回
デジタル
Radeon RX 9060 XT 16GB、コスパの一点突破でRTX 5060 Tiに勝つ -
第466回
デジタル
Radeon RX 9060 XTは6.5万円でVRAM 16GBのお値打ちGPUになれたか? -
第465回
デジタル
遅れてやってきたPCIe5.0 SSDの大本命、リード14GB/秒超えのSamsung「9100 PRO」を実機レビュー -
第464回
デジタル
Radeon RX 9070シリーズの仕上がりは想像以上だったことがゲームベンチでわかった -
第463回
デジタル
Ryzen 9 9950X3Dは順当進化。3D V-Cache搭載Ryzenの最強モデルだがクセありな部分はそのまま -
第462回
デジタル
RTX 5070の足を止めた「Radeon RX 9070 XT/ 9070」レビュー - この連載の一覧へ





