先日、ちょいと品川区へ行く用事(取材なのだけど)があり、せっかくなので旧品川宿をぶらぶら散歩してたら神社で猫に会ったのである。少し奥まった場所にある神社に隣接したおうちの門の前でしゃがんでるおじさまおばさまのカップル。家の門の前でしゃがんでじっと見てる、って文字で書くと不審者以外のナニモノでもないのだが、彼らの目線の先にいるのは猫。
猫たちは門の奥からこちらへ出てこようとせず、なんとか気を惹こうと落ちている枯れ枝を目の前でひょいひょい動かしているのだ。それが冒頭写真。猫目線で撮るべくバリアングルモニターを開き、地面すれすれから狙ってみた。こういうとき「猫瞳AF」がありがたい。
どうやら、その神社に何匹もの地域猫がおり、その世話をしているのがこのおうちということらしい。好奇心に勝てなかったのはハチワレの方。
強い逆光で撮りづらい環境だったのだが、地面に伸びる門のハシゴ状の影がカッコよかったのでそれが大きく入る構図で。目の前に動くものはなんでも気になるお年頃なのだ。
撮影を楽しんだのち、立ち上がって振り返るとそこには神社の社殿。その脇で黒い塊がもぞもぞしてる。暖かい日差しの下で黒猫がお昼寝してたのだ。黒い毛いっぱいに日差しを浴びてさぞ温度も上がってるだろう、ああ撫でてみたいと思うが猫は参拝者は入れないエリアにいるのでかなわず。
その後、その黒猫がもぞもぞと出てきて社殿脇の路地のすみにちょこんと座ったので、わたしも一緒にちょこんとしゃがんで猫目線。α7Cは小さくていいんだけど、猫目線でさっと撮るにはバリアングルよりチルト式がいいなあ、なぜチルト式じゃないんだ、と今でも思ってる。
さらにぶらぶらと歩いていると、いくつかの寺社で猫と遭遇。こちらも耳がカットされてるので地域猫として世話されてるのだろう。寺社が多い古い街には猫が安心してくつろげる境内があるからか遭遇率が高いのだ。その中から寺社らしさを感じるものを1枚。お寺っぽさをだすために小さな石仏(たぶん地蔵菩薩)を前ボケで入れてみた。ちょっと警戒心が強かったけど、美猫でありました。
最後は別の日に別のカメラで。三鷹市のとある神社にて、社殿への斜面にある坂で座ってるじいさまがいたので、単にぼーっとしてるのかなと思ったら、目線の坂に猫がくつろいでたのである。
にこやかに猫を見つめてるので、そっと声をかけてみると、神社の隣に住んでいる方で、ハチワレキジトラは彼の飼い猫。ときどき猫を外に出して一緒に散歩してるそうな。確かによく見ると首輪をしてる。彼は猫を静かに見守っていたのだ。なるほど、飼い猫であったか。猫の名を呼んでくれたがとなりにわたしがいるからか警戒してちょっと反応するだけ。
普段は自宅で、ときどき隣の自然があって人が少なくて安全な神社でのんびり散歩させるって飼い方も……隣がなじみの神社だからできるんだけど、よいものですな。
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筆者紹介─荻窪圭
老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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