東京都 戦略政策情報推進本部 次世代通信推進課です。
戦略政策情報推進本部は、東京の成長戦略やICT利活用の更なる推進のため、2019年(平成31年)4月に新たに設置された組織です。その中で、次世代通信推進課は、TOKYO Data Highwayの構築を推進し、いつでも、誰でも、どこでも「つながる東京」の実現に向け、取り組んでいます。
都民の皆様がどこにいてもサクサクつながる環境を構築するため、全国初となる5Gアンテナ基地局を搭載するスマートポールの試行設置や通信事業者が5Gアンテナ基地局を設置しやすいように、行政財産を開放するなど様々な取組みを展開しています。こうした日々の取組みを都民の皆様に情報発信していきます。
2020年11月6日から東京都庁第一本庁舎1F、2Fの公共スペースで携帯キャリア3社(docomo、au、Softbank)の5Gが使えるようになっています。
東京都プレス発表
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/11/06/03.html
インフラシェアリングとは
この5Gの電波発射で肝となった技術がインフラシェアリングです。あまり聞きなれない言葉ですが、要は、5Gの無線設備を各携帯キャリア間でシェアしましょう、というものです。屋内という限られたスペースに、各携帯キャリアの5G用アンテナ、ケーブルなどを個別に何系統も設置するよりも、一系統にまとめて設備を共用したほうが効率的です。屋内の共用設備で5G電波を発射したのは、国内初の事例です。世界的にもそれほど事例は多くないのではないでしょうか。爆速で電波発射まで協力頂いた各携帯キャリア、そしてインフラシェアリングを手掛けて頂いた(株)JTOWERには感謝です!
都庁舎でインフラシェアリングを導入した理由
東京都庁舎が完成したのが1990年12月。当時は携帯電話など持っていない人がほとんど。オフィスでは固定電話が使われていた世の中で、当然のことながら基地局やアンテナ、ケーブルなど携帯電話のインフラを設置することまで考慮されていない建物でした。従って、それらの設備を設置するスペースも限りがあります。現在、都庁内では、都民の方などの来庁者や職員が利用するエリアにおいて4G(LTE)が使えますが、これは各フロアに携帯キャリア毎にアンテナなどの設備が設置されているため使用できるものです。このうえ更に周波数の特性上、4G(LTE)より多くのアンテナが必要となる5Gの設備を携帯キャリア毎に設置することは、スペース的には既に限界の状態でした。また、設置費用も各社それぞれ発生するので、コストが高くつき、都庁舎内の工事もその都度発生し、工期も長くなってしまいます。
それを一つのシステムにまとめて各携帯キャリアで共有する形をとることで、これらの問題は解決できてしまう、というわけです。一般的には、省スペースで設置でき、工事費用も削減でき、工期も短縮でき、おまけに電気代も節約できる。まだ5Gの共用機の歴史が浅く、多方面の課題もあったりするのですが、シェアリングのメリットは大きいです。
職員見学会を実施
5Gの共用設備について理解を深めるため、先日職員で無線機が設置されている機器室と共用アンテナの見学に行ってきました(場所は、保安上の観点から内緒です)。
高層階の5G化はまだ先?
一方で5Gには課題もあります。少々専門的になりますが、先日都庁で始動した5Gは3.7Ghz/4.5Ghz帯という、所謂sub6と呼ばれる周波数帯域となります。特に3.7Ghz帯は衛星放送として使っている周波数帯と近いため、ビルの高層階において電波干渉のリスクがどうしても発生します。第一本庁舎は48階建、第二本庁舎は34階建なので、この電波干渉の回避というのが大きな課題の一つとなります。ただ、5Gの周波数はsub6の他に28Ghz帯のミリ波と呼ばれる帯域も利用することができ、この帯域であれば衛星通信との電波干渉は避けられるので、この帯域を使った設備とするなどの対策が考えられます。ただ、このミリ波を使ったサービスですが、まだこれに対応した携帯端末も多くないなど一般的ではないため、今すぐに、というわけにはどうもいかないようです。
このような課題にも技術の進歩に合わせて上手く対応していくことで、今後5G端末の普及に合わせ、都庁舎内のほかのフロア及び、他の都保有の施設など含め、需要と環境に合わせた最適なソリューションを採用しながら都民の皆様をはじめとした方々の利便性向上を目指して参ります。
◆この記事は、下記より転載しています
https://note.com/smart_tokyo