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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第268回

日本では不具合の接触確認アプリ、英国では50%以上がダウンロード&予防件数は60万人と推定

2021年02月24日 12時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII

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次の段階となるワクチンパスポートは大丈夫!?

 NHSのアプリは、元々は中央型だったのを分散型に作り直したという経緯がある。現行版のローンチは昨年9月と遅れたが、iOS向けのバージョン履歴を見たところその後も月3回以上は更新されている。評価は5点満点中で4.6点。対する日本のCOCOA(iOS版)は2020年6月19日に公開、6月30日、7月13日と更新され、9月は2回、10月はゼロで、11月に1回、12月に2回、そして2月18日のバージョンと、NHSのものと比べると更新頻度が少ない。

 日本でCOCOAの不具合放置が明らかになったのと同時期、NHSは先述のような成果に加え、アプリにより累計で170万人が隔離を求められ、感染の連鎖を防ぐことに繋がっているという声明文を出している。アプリのリリースこそNHSより早かったが、効果については明暗が分かれてしまったと認めざるをえない。

 家族に感染者が出て、私自身も濃厚接触者として自粛生活を送った経験から、最短15分で通知がいく点は素晴らしい。筆者の場合、PCR検査を受けて結果を得るまでに1日半、その後、保健所から聞き取り調査の電話をもらうまでに2日。その間は家族以外の(感染の可能性のある)濃厚接触者は通常通りの生活を送り、陽性だった場合は他の人を感染させていた可能性があるからだ。

 さて、新型コロナ関連で国の対策が気になるのは、接触確認アプリだけではない。ワクチンの接種がじわじわ始まっているところで、世界では「ワクチンパスポート」なるもの(ワクチン接種を受けていることを証明するもの)の動きも始まっている。世界的にはアプリを使う方向で進んでいるが、ここでも日本政府のしっかりした計画がなかなか聞こえてこない。

 6月末のバルセロナでのMWCは(現時点では)リアルでも開催するそうだが、ワクチンパスポートが遅れると日本の記者が現地入りできない、みたいな状況も出てくるかもしれない。

筆者紹介──末岡洋子

フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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