盛田諒です、こんにちは。「起きたら届いてたんだよね!」と3歳児がサンタクロースの仕事ぶりに興奮していたことがつい先日のように思われますが、気づけば年明けから2週間も過ぎてしまいました。12月に赤ちゃんを迎え、3歳児と0歳児の保護者となってから、日々はよりあわただしくなりました。これは子どもの強大なエネルギーが時空をゆがめ、通常よりも時間が早く過ぎているため。この事実を科学的に証明し、イグノーベル賞を受賞するのが今年の目標です。
年明けからしょうもないこと書いてて恐縮ですが、2回目の子育てはアホなこと言えるくらいには余裕が出てくるものですね。「2人目の苦労は1.5人分」なんてことを言いますが実際そのとおりでした。在宅勤務をやりながら子ども2人と暮らすのはしんどい部分もありますが、この1ヵ月を振り返ると、2ヵ月の育休を取った3年前よりも相当ラクをさせてもらっている感覚があります。
なぜラクかってそりゃほとんどの時間妻に赤ちゃんを見てもらっているからだろってのが大きいんですが、振り返るとどうもそれだけでもなさそうです。
●1人目の子は孤育てを救う「誰か」になる
まず、夫婦ふたりとも新生児がどんなものかをわかってるもんですから、何があっても「まあ大丈夫だな」と余裕があります。「あ〜沐浴のとき泣くよね〜」「乳児湿疹とかあったわ〜最初の子はなかったけど〜」と懐かしさが先に来て、かつて自分たちをビビらせた事柄が軒並みかわいいものに見えてきます。家事もドラム式洗濯乾燥機やホットクックやロボット掃除機の手を借りることでラクになりました。家電ってのは親の味方なんだなとしみじみ感じます。
次に、1人目と2人目では性格と体格が違います。2人目は全体にドッシリして大関的貫録があり、全体に安心感というか安定感が漂います。3年前の長男坊はガリガリにやせていて、終始「オニャーア!オニャーア!」と子猫のように泣くのでハラハラしっぱなしでしたが、今度は「へフへフ……」と泣くまでに“ため”の時間をとってくれて、いざ泣くときはここぞとばかりに「オンギャアー!」とわかりやすく泣いてくれるのでむしろ安心できます。「2人目は(女子は)育てやすい」などと言わることもありますが、これが個性ってもんではないでしょうか。
そしてこれは想像していませんでしたが、3歳児がいることが救いになります。3歳児は本当に赤ちゃんをかわいがっていて、毎日のように抱きあげてはキスをしてくれています。私たちが毎日のように3歳児を抱っこしてキスをしてきたおかげでしょうか。「ミルクをあげてあげるね」「お風呂のお湯かけてあげるね」とお世話をする姿や、「もう使わないから」と自分の毛布やおもちゃをあげる姿を見ているだけで、こちらにも正体不明のエネルギーが充填されていきます。
3歳児と私、0歳児と妻がなんとなくペアになったことにも救われました。まだ妻の床上げがすんでいない年末年始、私が3歳児と出かけ、妻が0歳児と家にいるということが多かったのですが、それがいいバランスになりました。
3年前に新生児を育てていたとき、夫婦2人ともむちゃくちゃ息がつまったときがありました。寝不足と疲れと緊張とホルモンの変化がないまぜになり、無人島でデスゲームやってるレベルの緊張感があり、「誰でもいいから人に会いたい」としくしく泣いていたことも。今回は3歳児がその誰かになってくれたため島流しが回避できたものと思います。
ですがこうして「1人目が救いになりますよね」と言えるのは、2人目が比較的ドッシリとした人で、私自身がテレワークでほぼ家にいられるからこそなんだろうとも思います。これが1人目と同じように抱っこしないと始終泣いている人だったり、私があまり家にいられないという状態だったら救いなんて言っていられなかったでしょう。昨今の感染状況のおかげで実家の支援も受けづらくなっている中、幸運というほかありません。
●1人目と2人目が一緒に寝られない問題はある
そういうわけで今のところ2人目のことであまり困っていることはないのですが、若干どうしたもんかと思っているのが寝る時間です。
これまで3歳児は21時ごろに寝ていたんですが、0歳児が20時ごろに起きてくることで、毎晩22時過ぎまで寝られないようになってしまいました。子も夜に強いわけではないので眠くなると露骨に不機嫌になってきて、「お父さん赤ちゃんの寝かしつけするのやーだ!」とエイエイ蹴りを入れたりしてきます。「そういうことするとお父さんが泣いちゃうよ!」「泣いてもいいの!」などやりとりをして、うんざりしたまま寝落ちするという日々が過ごされました。
赤ちゃんがベビーベッドではなく添寝できるようになればまた変わるだろうと思いつつ、3歳児と0歳児がともにすやすや寝てくれる夜の過ごし方を探る日々はしばらく続きそうです。3歳児は一度寝てしまえば眠りが深く、真夜中に0歳児が泣いてもまったく起きないので助かっているのですが。
よく聞く1人目の「赤ちゃん返り」もまだそんなに激しくありません。授乳中にさみしくなったのか「抱っこしてえ」ということはありますが、かわいいねえというくらいのもの。ただそれもやっぱり夫婦二人あってこそで、ワンオペだと「ちょっと待ってて」が増え、1人目の子がさみしくなって甘えが増えるんじゃないかと思います。育児というと授乳やおむつ替えなどに目が行きがちですが、子どもと遊ぶことも大切な育児なんだろうなと感じました。
もっと言えば、人間つらいのは寂しい思いをすることなので、愛をもって家族の誰かを孤独にしないことも育児というか家庭の本体なのかもしれません。むしろ子どもと遊ぶことで私の孤独がケアされ、私自身が子どもに救われている部分も大きいです。これが行きすぎると子どもへの依存となり、子どもと自分を不幸にしてしまうのかもしれませんが。
早いもので産後1ヵ月が経ち、妻はまもなく仕事に復帰します。そのときにはまた新しいあわただしさに包まれるのでしょうが、3歳児の力で救われるのではないかという念仏のような期待も抱いてしまっています。ああ3歳児様、たかが日常にあわてふためく私をお救いください。
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ。3歳児くんの保護者です。Facebookでおたより募集中。
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