米中間の対立がネットワークからアプリにまで拡大している。政権交代を控えたトランプ大統領が、Alipayなど8種のアプリケーションを禁じる大統領令を出した。
Alipayら8つの中国ベンダー製アプリが対象
1月5日にトランプ大統領が出した大統領令は、「中国(香港とマカオを含む)の人々が開発・管理している一部のモバイルおよびデスクトップアプリケーション、その他のソフトウェア」が米国に広がっており、「米国の国家保安、外交政策、経済にとって脅威をもたらし続けている」として、45日後に米国の住民や企業がそれらのアプリやソフトウェアのトランザクションを禁じるというものだ(https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/executive-order-addressing-threat-posed-applications-software-developed-controlled-chinese-companies/)。
具体的に対象として名前を挙げられたのは、Alipay、WeChat Pay、QQ Walletなどのペイメント系のアプリに、メッセンジャーTencent QQ、動画アプリVMate、ファイル共有SHAREit、オフィススイートWPS Office、スキャナーアプリCamScannerの8つ。
これらのソフトウェアは個人を特定できる情報などの機密情報を取得しており、「中国および中国共産党が米国の個人情報や専有情報へのアクセスを提供する脅威」があり、連邦政府の職員や契約社員の位置情報を追跡したり個人情報の記録構築につながりかねないと主張する。
この大統領令が有効になると、App StoreやGoogle Playなどのアプリストアで提供ができなくなると思われる。
一方、TikTok問題はいまだ決着がついていない
トランプ政権下でハッキリと表面化した米中貿易戦争だが、最初の矛先はファーウェイ、ZTEなどのネットワーク機器ベンダーだった。これらの企業の通信機器が国家安全保障における脅威として排除するとともに、”ファイブアイズ”ことカナダ、英国、オーストラリア、ニュージーランドをはじめ、他国にも排除を呼びかけてきた。紆余曲折はあったが、英国、フランス、スウェーデンなどでは5Gネットワークでファーウェイを排除することになっている。
米国はさらに、中国のByteDanseが提供するTikTokに対しても、米国事業の切り離しを求めた。これは2020年8月のこと。Microsoft、Oracleなどが取得に名乗りをあげたが、Microsoftは9月に諦めたことを発表した。OracleはWalmartと組み、TikTok Globalとして新会社を立ち上げることを発表しているが、TikTokクリエイターの訴訟により阻まれている。
12月7日には、商務省による米国でのTikTokの運営停止を否定する判決が出された。司法省はこれを不服として上訴している。
今回の大統領令の対象となったWeChat PayのWeChat(ともにTencentが提供)については、すでに8月に大統領令が公布されている。こちらも訴訟により有効に至っていない。
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